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売り場に学ぼう by 太田伸之

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Nobuyuki Ota

Nobuyuki Ota

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2025.04.12
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カテゴリ:太田伸之
社長業のとき、たびたび部下の結婚披露宴に主賓として招かれました。新郎新婦両方部下の社内結婚ならば主賓扱いは私一人ですが、新婦側だと新郎の上司が挨拶したあとに出番が回ってきます。これまでもこのパターンでムカッときたが何度もありました。新郎主賓の上司が長々と会社のことばかり話し、新郎自身のことにはほとんど触れない、これが一番ムカッとします。

いまでも忘れられない披露宴がひとつあります。某上場企業の子会社の社長が新郎側主賓のとき、この方は親会社がいかに素晴らしいかを延々としゃべりまくり(たぶん親会社からの出向者でしょう)、新郎のことにはほとんど触れませんでした。しかも参列する新郎の上司や同僚たちは嬉しそうに社長の話に頷いている。私の部下の女性は新郎主賓が褒めたたえる親会社と結婚するのではありません。私は考えてきた挨拶を止めてアドリブで強烈なイヤミを述べました。

〇〇〇(親会社の名前)は立派な大企業、新婦が働くわが社は中小企業です。比較すれば規模は小さいんですが、恐らく〇〇〇より世界的には名前が通っている会社だと思っています、と。新婦側のテーブルにいる私の部下たちは大喜び、新郎側は下を向いていました。学生時代から長い付き合いの末にゴールインした二人でしたが、その後意外にも早く離婚、原因は私の挨拶ではないとは思いますが。

新婦側の主賓でスピーチする際、私は決まって同じことを言います。

新郎と新郎のお母さまにお願いがあります。結婚して女性が家庭に入り、仕事をしなくなるのは日本だけ。欧米でも近隣諸国でも結婚後女性が仕事を続けるのは当たり前、新婦がずっと働き続けられるよう協力してあげてください。仕事の関係でお嫁さんより息子さんが早く帰宅すると、多くのお母さまはお嫁さんに「息子がお腹すかせてあなたの帰りを待っているのよ」と文句をおっしゃる。これでは女性は仕事を続けられません。ご支援よろしくお願いします。

この話をすると、新郎側新婦側であれ共働きのお母さまは乾杯のあと主賓テーブルに飛んできてニコニコ顔で私にお酒を注いでくれますが、保守的な新郎の母親はすぐに挨拶には来ませんし、来るときはほとんどが笑顔なしです。

数年前投資ファンド社長のとき女子社員の結婚披露宴に出席、「もしも新郎が新婦より早く帰宅された日は新郎がご飯を作るか、コンビニ弁当を買って食べるかしてください」と具体的な話をしました。数日後新婦らと一緒に海外出張した際、「私の出張中ダンナはコンビニ弁当買って食べてます」と嬉しそうに報告してくれました。私は「いいダンナだねえ」。

これまで女性社員には「定年まで働いてくれ」とよく言いました。もちろん本人にその気がなければ、あるいは特別な事情があれば専業主婦はありでしょう。しかし日本の風習として、結婚したら女性は家庭に、ですよね。これ、おかしいとずっと言い続けてきました。男女平等、家事折半、料理が下手な亭主は食器洗いかゴミ出しくらいは担当すべき、トイレやお風呂の掃除は亭主がやってもいいでしょう。

女性が結婚して子供を産んで仕事を続けるためには亭主とその母親など身内の理解のみならず、会社もいろんな制度を作って労働環境を作るべきです。「人類のおよそ半分は女性、多くの日本企業はその半分を切り捨てている。それが日本経済の大きな問題」、経済界の集まりで東京大学経済学部の高名な教授がおっしゃった言葉です。私もずっと同じことを社員に言い続けました。亭主もその細君も両方部下の場合、「子育てを女房に押し付けるな、キミがやれ」と男子社員にはよく言ったものです。


Kさんが働いている売り場

今日たまたま売り場で15年ほど前に新卒採用した元部下のKさんに声をかけられました。彼女は現在5歳と3歳の男児がいるママさん、二度の産休から復帰していまも同じ会社で販売スタッフとして働いています。

お子さんが小さい場合、託児所が預かってくれない週末ママさんは休みを取るしかありませんが、会社や同僚の理解があればこれは可能、仕事は続けられます。Kさんの先輩たちの中にも産休から復帰してずっと店頭で働く女性は少なくありませんから、いい会社だと思います。


数か月前、私の部下だった現社長と久しぶりに会食しました。彼は職場結婚、私が披露宴の主賓でした。現在会社には、私が九州のお店から都内ショップに転勤させた女性販売スタッフと、新卒採用以来ずっと店頭で働く女性が執行役員に任命されています。前者は私が社長時代に本社勤務させて以来ずっとマーチャンダイジングに関わり、後者はいまも毎日店頭で実際に販売スタッフとして接客しています。販売職経験の長い女性を、しかも二人も執行役員にしている社長、「キミは経営者として素晴らしい」と言いました。なかなかできることではありませんから。

ファッションビジネスは多くの女性客を相手にする仕事であり、女性社員が過半数を占める会社がほとんでありながら幹部のほとんどが男性、しかも直接商売を担ってきた営業系、いわゆる総合職がほとんどです。彼らだけで構成する役員会、果たしてファッション企業として機能するのでしょうか。日々お客様と接する販売職、工場さんとやりとりする生産管理職、ものづくりのデザイナーやパタンナーなど技術職からも抜擢し、女性社員も幹部に登用すべきだと思います。私も社長時代はそう考えて幹部の人選をしていました。

今日Kさんから「うちを整理していたら、太田さんの勉強会のテキストが出てきました。商品分類とか、懐かしいです」と言われました。こう言ってくれると元上司としてはとても嬉しい。彼女が定年までこのままずーーーと活躍してくれることを期待しています。





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Last updated  2025.04.12 19:20:24
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