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SEOのテストとドロップシッピングのテスト

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2007年04月05日
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カテゴリ:小説
26
 彼女は上を見たり、下を見たり何か落ち着かない様子だった。彼女の言葉はさっきから止まったままだった。そんな彼女を見てもどうして良いかわからず、ただ黙って見ているしかできなかった。

 「何か話せ。」

 あの声が突然聞こえた。しかし、その内容は要領を得なかった。
 「何か話せって言われても何を話したらいい?」
 「でも、彼女の様子もおかしいし、ここは何か話さないとどうしようもないような。」
 一瞬の間に、自問自答を行った。
 「どうかしましたか。」
 少し紳士的な言い回しを決めたつもりだった。彼女もそんな僕の表情を見て安心したのか、僕をまっすぐに見つめて話しかけてきた。
 「大河内さん。」
 「はいっ。」
 彼女があまりにも勢いよく僕の名前を呼ぶので、まるで小学生の出席のように返事をしてしまった。さっきの紳士的な自分と今の小学生のような自分、そのギャップがおかしく彼女の緊張をほぐしたのだろうか、彼女の顔がいつものように戻っていった。
 「ポルノグラフィティのライブ、一緒に行きませんか?」
 あまりに意外な彼女の言葉に僕は理解できずにいた。
 「さっき、ライブのチケット取れなかったって言っていたじゃないですか。さっき、友達からメールが来て急に行けなくなったって言うんですよ。こういうのってポルノ好きな人と行った方が絶対に楽しいと思うんです。前に興味がない友達と言ったら、途中で帰ろうとか言うんですよ。ひどいって思いません?」
 彼女は自分が今、僕を誘った事を正当化したいかのように次から次へと言葉が出てきた。その言葉のせいで僕は相変わらず何も話せないままだった。まだ、彼女は次々に言い訳をしていた。一駅も話していただろうか、やっと、彼女は自分がずっと話し続けている事に気が付き一言僕に謝った。
 「すみません。私ったら、ずっと話しちゃって。」
 「これじゃ、大河内さんが返事したくても出来ませんよね。」
 そう話した後、一瞬、間を置いて、もう一度同じ質問を僕にしてきた。
 「一緒に行きませんか?」
 
27
 会社に着くと僕は仕事もそっちのけでポルノグラフィティの事を調べだした。ネットで男が2人で歌っている事、かなり売れている事、ノリの良い曲が多い事、それなりの事はわかった。でも、さすがに会社のパソコンで音楽を聴くわけにはいかず、どんな曲なのかは相変わらずわからなかった。
 あの声も音楽を教えてくれる事はなさそうだった。もっとも、あの声で歌われても気味が悪いと思っていたので、別に気にはならなかった。
 「やっぱり、CD聴かないと曲はわからないよな。」
 そう思って財布を開けてみると2千円しかなかった。給料日前の僕の財布はいつもこんな感じだった。先立つものがなく僕は途方に暮れていた。
 
 「後ろを向きなさい。」

 あの声が急に聞こえてきた。その通りに従い後ろを向くと、吉原先輩が何か困っている様子だった。吉原先輩は、気の良い先輩で僕を何かと面倒見てくれたいい人だった。
 「先輩、どうかしたんですか?」
 先輩は周りの様子を伺ってから僕に耳打ちした。
 「実はさ、今日、俺デートなんだよ。」
 「なのに、この間、和田さん大ポカやらかして降格になっただろ。その代わりって事で、俺がトランスライダーの担当になったんだけど・・・。」
 「あそこの社長がさ、急に来いって言うんだよ。」
 後半は半分涙声になっていた。

 「代わりに行け。」

 いくら何でもまずいと思ったが、あの声が言う事なので従ってみる事にした。
 「先輩。」
 先輩の顔は、待っていましたといった感じだった。
 「良かったら、僕、代わりに行きましょうか。」
 今度は喜びで少し涙声になっていた。
 「大河内。お前、良いやつだな。」
 そう言って、僕の手に何かを押し込んだ。
 「じゃあな。」
 僕の肩をたたくと先輩は急いで出て行った。先輩を見送った後、僕は自分の手に何か押し込まれたのを思い出して掌を広げた。そこには1万円札が1枚くしゃくしゃになっていた。
 僕はその1万円札をしばらく見つめていた。


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Last updated  2007年04月05日 23時17分08秒
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