働く人のカウンセリング:誰の仕事?
仕事柄、知り合いになった人から職場での悩みを聴くことがよくあります。ようやく定着ルートに乗った感のある産業カウンセリング、キャリア・カウンセリング、さらに様々なガイダンスやコンサルテーション、果てはコーチングやファシリテーションに至るまで、実に多種多様のニーズがあるものだと我ながら思います。職場での悩みは職場で解決すべき、他人の(たとえその道のプロといえども)手は借りない、とする企業や組織がまだまだ多いのが気にかかります。以前お話をうかがった方の所属先がよい例でした。その方 「人事部で昨年からカウンセリングのようなことを始めたんですが、あまりうまくいかないんですよ。難しいものですね」当方 「カウンセラー役は御社所属の方ですか? もしかして、人事部員がお悩み相談を受ける、なんて宣伝していませんか?」その方 「あれっ、よくわかりましたね。その通りです。せっかく社歴の長い、まあ言っちゃ悪いですが・・・いろいろ社内で『ご苦労』されたベテランにお願いしているんですが、あまり相談に来ないんですよ。せっかく『部屋』も用意したのに・・・」当方 「そのカウンセラー役の方は、何かそちらの経験はおありですか? あるいは何か資格をお持ちですか? 『部屋』って、もしかして人事部のお隣にあるのではないですか?」その方 「とても温厚な人ですよ。資格については知りません。カウンセリングの部屋は、おっしゃる通りで、前は人事関連の書庫に使っていました。けっこう改装費用かけてきれいにしたんですけどね」当方 「カウンセラー役の方は、専業というわけじゃなくて、サービス時間帯以外は・・・」その方 「普通に人事部の仕事をしていますが」タブー事項ばかりの例です。これではうまくいかず、むしろ人事部の見識の浅さを露呈しているようなものです。