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Nice to meet you!

19.旅行に散った恋の花

まず断っておきたいのですが、
今回のタイトルである「旅行に散った恋の花」というのは、
俺の親友であるタクマのことです。

タクマは中学1年生のとき以来、
ずっとナツミちゃんと続いていたのでした。

修学旅行数日前、
俺は驚愕すべき場面を目にします。

ナツミちゃんが高校近くのある場所で、
ウチの高校と同じ制服を着ている、
見知らぬ顔の男の子とキスをしていたのです。

この時初めて知ったんですけど、
ナツミちゃん、実は浮気してたんですね。

その時はすぐさまその場から立ち去ったのですが、
俺はマジでタクマにそのことを言うかどうか悩みました。

その翌日、俺は一年のサッカー部の後輩を使って、
ナツミちゃんの浮気相手について調査をさせました。
つまり、ウラを取ったのです。
結果、ナツミちゃんはハンドボール部の一年生と浮気をしていたのです。

やっぱり俺は何もいえませんでした。
荒波は立てたくなかったし、
何しろ表面的には二人の仲は良好でした。
でもタクマとイチャイチャしているナツミちゃんを見ると、

ナツミちゃん!その笑顔も演技なんだよな!!

俺はそう思ってしまいました。
すでに俺はナツミちゃんに対する憎悪の念が生まれていたのです。

ナツミちゃん、マジヒデーよ!
ただそう思い続けていました。
親友であったタクマを裏切っていたナツミちゃんを
俺は許せなかったのです。

友達としてどうするのが一番かっていうことを真剣に悩みました。
だって、タクマはナツミちゃん命だったんですから。

浮気をすることなど全くなく、
女の子のメル友を作ることもなく、
学校でもできるだけ女の子とは
話さないように努力していたくらいです。

でも、タクマのそんな思いも
ナツミちゃんには届いていなかったのでした…

「カップルの相愛期間が続くのは大抵3年まで…」

これは俺たちが“ホスト”と呼んでいた友達レンくんの言葉です。
でも俺たち(ユウキ、タクマ、トシヤ、ツークン、俺)は、
そんなこと絶対にないって信じてました。

でも残念なことにタクマのケースは、レンくんの言うことが正しかったのです…
それは修学旅行中に全てハッキリとしました…

ナツミちゃんの浮気について、俺は誰にも言いませんでした。
もちろん調査させた後輩の一年生にも完全に口封じをしました。
しかしそんな努力はムダに終わったのです。

旅行初日。
タクマは目的地に向かうバス、
新幹線を共にナツミちゃんの隣の席を半強制的に確保していました。
この日はどうやら何事もなかったようです。

しかし日程二日目。
とうとうナツミちゃんにボロが出たのです。
ナツミちゃんが浮気相手に電話をかけているのを
偶然タクマが目撃してしまったのです。
場所は滞在しているホテルの裏庭。
もう神様のいたずらとしか思えないようなめぐり合わせでした。

俺はその場に居合わせなかったのでユウキの話を聞いただけなのですが、
会話はもう浮気を確信させるような言葉を連発していたそうです。

例えば、「△△(←浮気相手のこと)のこと一番好きだよ」とか、
「じゃあ、帰ったら遊園地行こうね」とか…。

普段は超明るいタクマも黙ってその場を立ち去ったそうです。
きっとその夜、タクマは一生懸命考えたでしょうね。
誰にも相談せず、たった一人で悩み続けたことでしょう。
きっとあまり寝られなかったのではないかと思います。

しかし翌朝、タクマの出した結論はそのまま付き合うだったのです。

「俺はナツミを絶対に信じる!」

俺たちの前でタクマが言った言葉です。
でも彼らの赤い糸はすでに切れかかっていたのでした。

タクマはもう頭に血が上っている状態です。
ナツミちゃんの全ての動作・反応に過敏になっていました。
浮気をしていることを悟られていないと思っているナツミちゃん。

何のコトがキッカケか覚えてないのですが、
ついにタクマはナツミちゃんに対してキレてしまったのです。

すぐに殴る蹴るっていうキレ方じゃないですよ。
ただ普通に別れようって言う話をしたのです。

俺たちに別れたと切り出すタクマは満面の笑みでした。

「理由は?」
と俺たちが聞いてもただ、

「俺が悪いんだよ…」
と繰り返すだけでした。

真相究明を第一に考えるトシヤは
ナツミちゃんと親しい女の子から真実を聞き出したのです。

浮気がバレてしまったことにナツミちゃんは全く動じることもなく、
さらに理由を問いただすタクマにこう言い残し、その場を去ったそうです。

「もう、飽きちゃったの…タクマのこと」

このアマー!!タクマのこと、そんな風にフレるかよ!!正気の沙汰じゃない!!!

真相を知った俺たちがタクマに言葉をかけても、
タクマはただ笑顔でいるだけでした。
あんな態度のタクマを見たことはありませんでした。

旅行日程中の新幹線・バス・飛行機・フェリー全ての席が隣同士だった
タクマとナツミちゃん。
結局帰りはタクマがナツミちゃんと親しい女の子と
席を交換してもらうというカタチになったのです。

こうしてタクマとナツミちゃんの約4年と数ヶ月による交際は終わったのでした。


最悪の事態は修学旅行後に起こったのです。

ある日の部活帰り。
その日はトシヤが風邪でダウンしていました。
ユウキ、タクマ、俺の3人は部活帰りに、
ナツミちゃんと後輩の一年生の信じられないシーンに
遭遇してしまったのです。

タクマと別れたナツミちゃんはあっという間に
浮気相手と正式に付き合い始めていました。

俺たちがあの時遭遇した場面…
それはナツミちゃんたちがディープなキスをし、
今にもそれより先の展開を始めようとする場面だったのです。

ユ「アイツら!マジ許せねーよ!!」

ユウキが二人のほうに歩いていこうとするのをタクマが必死で止めます。

タ「頼むからやめてくれ。マジ頼むから!」

俺はただ立ち尽くしているだけでした。
何も出来なかったんです。
情けないんですけど、どうしていいかわからなかった…

タ「アイツらはハッピーなんじゃん!そんなのジャマしちゃワリーだろ!な?いこーぜ!」

タクマは歩き出しました。
あのタクマの背中、俺とユウキはきっと一生忘れないでしょう。
タクマに連れられるカタチで俺とユウキもその場を去りました。

きっとナツミちゃんたちはあれより先の展開に進んだはずです。
でもタクマは二人を止めることもなく、その場を立ち去ったのです。
止める権利なんかないと思ったのでしょう。

その後、タクマはその一年生が誰であるかを知っても、
決して彼に対して不満や嫉妬を態度に出すことはありませんでした。
もちろんナツミちゃんに対しても同様です。

あくまでも推測ですが、恐らくその一年生も
タクマとナツミちゃんが付き合っていたことは知らなかったと思います。
俺が調査させたサッカー部の一年生がチクってない限りはね。

だってタクマっていう先輩が付き合っているオンナを
奪い取れる勇気ある後輩なんかいなかったはずですから。

ただ、タクマが主人公であるようなこのデキゴトを
俺が成長キロクに載せたのは、
もちろんこのタクマに起こった出来事が
俺に何らかの成長を与えたと自分では思っているからです。

それが何であったのか、あえてここには書きません。
皆さんのご想像にお任せします。

でもこれだけはハッキリといえます。
あの時のタクマは、
俺にあることを感じさせたのです。

皆さんも俺の立場になってみると
あの時の俺がどんなことを感じたのか、
お分かりになるのではないでしょうか??

いや、きっと分かるはずです。


- おしまい -




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