暖地の雪
インドネシア実習生のアユが「アシタユキガフルソ~デ~ス。ウッ、ウレシイデ~ス」大はしゃぎである。彼女は正真正銘の南国育ちだから雪なんぞ見たことがないのである。空から白い綿のようなものが降るるなんてぇのは彼女らにしてみれば御伽噺の世界だから気持ちは分らんでもないが小生にとってはもってのほかである。何時だったか、この暖地にどう間違ったか、わずか5センチばかりの降雪があり通勤には往生した。あっちこっちで大渋滞や事故が発生し会社へは大遅刻であった。気が急いても往還はもとより路地と云う路地が車だらけで行き場がなく他所んちの庭を取りぬけてヒンシュクを買った恐怖が蘇る。雪国のお方には鼻先で「ふふん」と笑われそうだがたった5センチの暖地の雪はほんに恐ろしいでっせ。