雪白の月

★　『ハマトラ』　（2014年）　テレビ東京

★　『リプライハマトラ』　（2014年）　同



いや、今さらなんだけど、録画してたのを通して観たのでちょっとした感想。


これ、いわゆる 「分割2期」 と言われる方式で、1期と2期の間に 3ヶ月の間があるのだが、どういう理由か知らないが、アニメーションの制作会社が 1期と2期とで変更になっている （NAZ Inc. → Lerche）。

監督は同じ人なので、基本的な美術センスは変わらないのだが、平面的でビビッドな色使いと、全体にまだらなフィルターをかけたような処理をしていた1期と比べると、2期は、多少、立体感のある 「今どき」 の作画になった感じだ （場面転換の演出方法も変わっている）。


私的には1期の色彩感覚が割と好きだったのだが、改めて続けて観てみると、 「作画崩壊」 とまでは言わないが、後半、作画の面で明らかな息切れが見られ、その辺もあって、1期はアニメファンには 余り評判が芳しくなかったようだ。


また、これも私自身は好きなノリだったのだが、 「シリアスとギャグが噛み合ってない」 という批判も散見された。

確かに、容赦ない流血殺人シーンがあったかと思うと、ギャグシーンに急転したり、ふざけてると言えばふざけてるのだが、そもそもが架空のふざけた設定なので、私は結構、楽しめた。


「超能力」 とか 「その養成学校」 とか 「超能力を使った犯罪」とか 「超能力者への差別」 とか、なんか色々、どっかで聞いたような話ではあったが、キャラクターの男女比バランスがよく、ギャグセンスも悪くなかったと思う。


ただ、こういう、 「多数の若者がつるんで、群像劇的に動く」 ストーリーにありがちなのだが、最初から登場人物がやたらと多く、それぞれの活躍を見せて徐々に世界観を表出していくことになる為、メインストーリーがなかなか進まず、その点でも、1期にはファンが付きにくかったようだ （私はそもそも、記憶が1週間続かないもんで、今回、まとめて観て、やっと各キャラの名前や位置付けを覚えられた）。


この作品の場合、 「作画クォリティーを持ち直した」 という意味で 分割2クールで良かったのかもしれないが、正直、「この方式って、どーなの？」 と思うことがある。

絶対的に人気の高い原作漫画のアニメ化作品なら良いが、オリジナル性の高いアニメの場合、よっぽど1期が人気を博さないと、期間が空くことで、なおさら視聴者の熱が冷めちまうような気がするのは私だけ？


そもそも人気が出ないリスクを見越しての分割2期なのだろうけど…。　実際、人気が上がらず、1時間程度の 「完結編」 でごまかすケースもある （それでも、完全に2期がポシャるよりはマシではある） が、2期のつもりで増やしといたキャラ、全てをきちんと描ききれずに終わることが多く、却って印象が悪い。


生粋のオタクですら、全てチェックしきれないほどの本数の新作が制作され、色々な作品をやり尽くされてしまった昨今、残念ながら、分割だろうが連続だろうが、2期（24～5回）作品自体、視聴者の関心を引き続けることが非常に難しくなっているような気もする。

前述の通り、よほど 「デキた、長編の原作 （漫画、小説）」のあるものは別として、オリジナル作品や、原作のネタが乏しいものを無理に2期でやろうとすると、ストーリーも作画も、どこかで息切れする部分が出てくることが多いようだ。

しかも、アニメファンはオリジナル作品への目が厳しく、滑った時の冷たさもハンパない。

『スペース☆ダンディ』 のような、一話完結タイプの作品であれば、視聴者の反応を観て、改めて脚本を練るということができるという意味で、分割2期もアリだとは思うが…。


…んなわけで、設定や展開はちょっと 「何かの焼き直し」っぽかったけど、演出センスや脚本は悪くなかった…と思うのに、何となくファンの少なそうな 『ハマトラ！』について、擁護 （？） してみた。




＜関連日記＞
2014．1.30．　人物と背景に 「同質感」 がある ・・・ 『 スペース☆ダンディー 』 、 『 世界征服～謀略のズヴィズダー～ 』

2014．8.9．　2014 夏アニメを、大雑把に評価

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