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さすらいの天才不良文学中年

さすらいの天才不良文学中年

渋谷三魚洞の「ぶり大根」

幻の美味 渋谷の「ぶり大根」

ぶり大根である。渋谷に滅法「ぶり大根」の旨い店がある。

ぶり大根の旨さ・不味さは、大根に染み渡るぶりのあらの煮込み汁の加減である。大根の歯ざわりにもよる。


ぶり大根1


ぶり大根2


 ここ渋谷某所のぶり大根は、ぶりのあらの煮込み汁が大根に染み渡り、絶品である。ぶりのあらの煮立ては、砂糖醤油と酒にショウガを少々加えているのだろうが、出汁(だし)に何か秘密がありそうだ。店の親父が手ぬぐいを鉢巻に巻いて、悠然と煮立てている。

 大根の軟らかさも絶妙である。実に歯ざわりが良い。自宅で造るぶり大根は、味を染み渡らせようとして、大根がどうしても軟らかくなりすぎてしまう。

ぶりと大根との相性も良い。ぶりは出世魚(イナダー>ワラサー>ブリ。なお、ハマチは養殖ぶりのことを言う)だから、縁起が良いと昔から珍重されるのも良い。脂の乗ったぶりはこってりした風味があり、特に真冬の「寒ブリ」は味が冴え渡る。これをあらにして煮付けにするなんぞ、悔しいくらい美味しそうである。

 大根は、三浦大根(練馬大根系の大型冬大根)でなければダメという人もいる。確かに、東京のおでん屋の大根は、昔、皆三浦大根であった(今でも正月のなますは三浦に限るという人が多い)。しかし、やはり「青首大根」だろう。煮込んでも煮くずれしない大根だから、ぶりとの煮込みには最適である。

 それにしても、大根とぶりを一緒にして最初に調理した人はえらい。もともとぶり大根は、ぶりが美味しくなる冬場の、それも寒風吹きすさぶ日本海側のものが有名であったのだが、それがいつの間にか日本全国に拡がり、家庭の味として親しまれるようになったものだ。

 さて、酒を片手に、今夜はひとつ自宅で「ぶり大根」といきましょうか。



 同期で行く渋谷「三漁洞」は素晴らしい(前編)

「東京カンマーフィル定期演奏会」の帰りである。

 おいらの高校時代の同期同窓であるHS君とTS君との友人二人も参加していることに気付いた。

 この二人とおいらとの付き合いは長いようで短い。

 説明が面倒なので簡単に述べると、二人とは同期同窓の関係だから約40年以上前から、三人で、ひっつきもっつきしていた間柄になる。


花札


 ところで、学生時代というのはある意味で天国である。社会人と違って、クラスが同じであっても、好きな奴とだけ付き合えば良い。だから、交友関係は偏るのである。

 しかし、おいらは今でもその片鱗を残しているが、当時のおいらは義侠心と正義感に溢れており、高校時代は生徒会長を務めていたのである。

 そのこと自体は何の自慢にもならないが、自由闊達な当時の校風の中で、おいらは受験勉強だけが学園生活じゃないよ、人生には違った意味で面白いことも沢山あるよ、と浮世離れしたことを示唆していた、ちょっと変わった生徒会長だった。

 何が云いたいかというと、実はこの友人二人と肝胆照らす間柄になったのは、在学中からではなく、この五年程度だからである。

 何を隠そう、おいらは海外赴任もあって、同期会では永いこと音信不通になっていたのである。ところが、齢(よわい)五十も過ぎ、おいらの消息を知った同期生が同窓会参加の連絡をしてくれたのである。

 これによって、おいらは卒業以来初めて同窓会に参加、爾来、同窓生との本格的な付き合いになったという間柄なのである。

 つまり、同期同窓の絆の強さというものは、時間を超えるのである。だから、HS君、TS君とおいらとの付き合いはオセロに例えると、中が抜かれていても高校時代から現在に至るまで一気通貫の友人なのである(この項続く)。


 同期で行く渋谷「三漁洞」は素晴らしい(後編)

 前置きが長くなった。


ぶり大根


 渋谷の「三漁洞」(石橋エータローの奥様が経営)で旧交を温めたのである。

 渋谷はおいらの街である。だから、昔は道玄坂(渋谷)の料亭で散在したものである。羽振りが良かったのぅ。嘘をつけ! ハイ、すんません。

 それはさておき、コンサート会場の近くに行き付けの店がある。

 だから、昔の店を訪問しようかと思ったとき、坂を下りながら同期のTS君がポロっと云った。

「石橋エータローの店、この近くにあったような気がするんじゃが、よう、覚えとらんのじゃ…」

 実は、「三漁洞」は一時おいらも良く通ったお店である。この店、おいらのブログ「幻の美味」で紹介したこともある。

 三人がその店に入ったのは云うまでもない。

 さて、三漁洞の「ぶり大根」は絶品である(写真。なお、写真は大根一個の半分を食べた後)。

 このぶり大根、脱帽する味である。この店の大将、やるのぉ~(大将が料理担当)。女将に聞くと大根を二晩寝かしておくというが、この味は真似ができるものではない。

 ところで、旧交を温めた三人の話しが盛り上がったころ、女将が話しに割って入ってきた。手には「芸術新潮」最新号(7月号)がある。「青木繁特集号」である。

 実は、知る人ぞ知る、青木繁の孫は、石橋エータローである。つまり、この店の女将は青木繁の義理の孫に当たる人なのである。

 ヒエ~♪

 女将、そのことを自慢する訳でもなく、淡々と青木繁のことをおいらたち話してくれる。おいらたちも気持ち良く酔っ払っているもんだから、女将に相槌を打ちながら、青木繁談議に花が咲いたのである。

 最後に、おいらたちが女将に一緒に写真撮影をして欲しいと頼むとご快諾をいただき、ハイ・チーズ。

 女将、ありがとうございました。また、お伺いします。
(「三漁洞」渋谷区桜丘町2-1 電話03-3461-3344)


 総括。クラシック鑑賞もサイコーだが、コンサートの後のお酒もサイコーである♪




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