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さすらいの天才不良文学中年

さすらいの天才不良文学中年

ホリエモン騒動 トランプの出現

ホリエモン騒動

 世を騒がしているホリエモンについて意見を求められたので、記す。


ホリエモン


 要するに遣り過ぎたのが問題なのだが、そういうことを言っても始まらない。もともと、胡散臭いと思っていたのがただ単に当たっただけに過ぎない。

 併し、それだけではちょっと分かりにくいので、もう少し説明すると、おいらが彼を凄いなと思ったのは、(刑務所の)塀の上をずっと歩き続けることに新しいビジネス・モデルを発見したからだと思っていたからだ。

 グレー・ゾーンで市場の勝利者になり続ける、その点に彼の存在理由があったはずだが(逮捕されるまでの田中角栄がそうであった)、何時の間にか塀の中に落ちてしまった。報道が事実であれば、初期の頃からバレなければ何をやっても良いという、実はただのコソ泥と変わりがなかったということらしい。

 併し根本の問題は、ホリエモンを許した(産み出した)土壌・背景とそれが見抜けなかった社会にある。

1.米国型モデルの市場万能主義を為政者が唱えるなら、ちゃんとそのためのセーフティ・ネットを作るべきだ。日本のSECの人員は米国の七分の一しかいない。米国のような能力も権限もないのに、取り締まりだけはしろというのは無理である。これでは、第2第3のホリエモンがまた出てきてもおかしくはない。今回の根本には、政府与党の怠慢、思い上がりが根底にある。

2.マスコミやジャーナリズムの無能、退廃を糾弾すべし。如何に検察がリークから動き出したとはいえ、これだけの事件を何故マスコミが見抜けなかったのか。特に某有名経済新聞社や某著名ビジネス誌の記者・編集者の罪は思い。あなたたちは、よく聞きなさい!!真贋を見抜くのがジャーナリズムである。それが出来ないとしたら、今のマスコミには未来がない。特にヨイショ記事を書いた記者は、全員腹切り。

3.一番の問題は、以上の問題を生み出した今の世にあるのは無論だが、その世を創ってきた現在の日本人のほとんどが金の亡者になっているのが、さらに怖い。

 ところで、先月末のTBSブロードキャスターを観ていたら、尚美学園大学教授(元アスキー社長)の西和彦氏が面白いことを言っておられた。彼が全盛期のころ、ビルゲイツの個人資産が3,000億円に対し、西氏が300億円であった。

 彼が質問する、当時それだけあったら何を考えると思います?に対してインタビュアーは実感がわきません(趣旨)の答えに、西氏は次は500億円やと思ったそうである。

 げに、カネの力は怖い(なお、西氏の名誉のために言うと、彼は現在つましい生活をしておられ、人生はカネではないを説いておられる)。




下流社会とパチンコ理論

 今、「下流社会」(三浦展著、光文社新書)という本が売れている。同じベストセラーの「さおだけ屋はなぜ潰れないのか」と一緒に本屋で立ち読みさせてもらったのだが、前書によると若い人ほど自分が「下流」だと意識する人が多くなっているらしい。

 そう思うこと自体は本人の勝手なのだが、著者の調査結果によると、下流社会にいると思っている若者ほど成果主義や能力主義を肯定し、年功序列や終身雇用制を否定する傾向が強いそうである。


負け組


 それで日刊ゲンダイ10月18日号魚住昭氏(ジャーナリスト)の「魚眼複眼」のコラム(写真)の内容を拝借させて貰うと、「負け組みが小泉を支持するパチンコ理論」なのだそうだ。同氏は、そのような若者ほど「可能性の誘惑」に駆られているという仮説を提唱している。

 すなわち、若者の考え方はパチンコ屋に吸い寄せられて行く客と同じ心理で、大半の客がカネをむしりとられるのが分かっているにもかかわらず、必ず誰かは当たりが出て儲かるはずと、自分一人に限って言えば、運さえ良ければ大当たりし、ドル箱を山積み出来ると考えているらしい。う~む、その気持ちは分からないでもない。

 特に負けが込んでいるときには、一発当てよう(上流になれる)という意識は強烈なものになる。同氏は言う。「私の仮説が正しければ(この理論によって)小泉改革路線はこれからも支持され、貧富の差はますます広がっていくだろう」と(()内は筆者)。

 怖い世の中になったものである。




ポスト・トゥルースとは(前篇)

 トランプ大統領が怖いのは「〇〇に刃物」だからではあるが、それ以上に怖いのが「ポスト・トゥルース」である。

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 ポスト・トゥルースとは、「事実は二の次」のこと、つまり、本当かウソか分からない(ニュース)ということである。

 今、なぜこのポスト・トゥルースが話題になっているからかと云うと、ウソのニュースがまことしやかに世界を駆け巡り始めたからである。

 卑近な例では熊本地震で動物園からライオンが逃げ出したとか、発生してもいない津波がやってきたなどのニュースが映像付きでネットに配信され、あっという間にそのニュースが広まったことである。

 実際、世界で最高権威のオックスフォード英和も昨年を象徴する単語(ワード・オブ・ザ・イヤー)としてポスト・トゥルースを選んだ。

 では、なぜこのようなことが起きたのか。それは、ネットによって73億人の誰もが世界にニュースを発信できるようになったからである。

 世の中には、ウソのニュースを流して目立ちたがるバカがいる。また、悪意でウソのニュースを流す組織的なメディアもあるようだ。

 怖いのは、そのウソのニュースがネットに一旦発信されたら瞬時に世界に伝播することである。

 だから、トランプ大統領が「フェイク・ニューズ」と云うのもこういう背景があるからである。DeNAが最近、起こした「まとめサイト事件」もその本質は変わらない。

 本来、メディアがニュースを流す場合にはそのニュースをチェックするデスクがいて、その上、校閲部署などが内容に誤りがないかなどのスクリーン機能を果たすためにウソのニュースが発信されることはない。

 しかし、ネットに流される情報にはそのようなスクリーン機能がない。しかも、中には悪質なウソが混じっている。

 だが、おいらたち素人は、そのニュースが本当に正しいかどうかのチェック機能を持っていない。早い話しが、ニュースの信ぴょう性など分からない。

これは怖い。だって、この問題の本質は「もはやニュースは信用できなくなった」ということに等しいからである。

 前にもこのブログで書いたが、現代はテロによって飛行機に安心して乗ることができなくなった不幸な時代である。

 それと類似のことが今また起きようとしているのである(この項続く)。


ポスト・トゥルースとは(後篇)

 おいらは現役時代、仕事をする場合に徹底して叩き込まれたルールがある。


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 それは、孫引き(Aの原典をBが引用したものを、さらにCが引用)の禁止であった。

 おいらの親友であるK君からこのルールを口を酸っぱくして教えてもらったのだが、他人の情報を引用する場合は必ず原典にあたってその情報が正しいかどうかを自分で確かめなければ使ってはいけないということである。

 孫引きが最もダメな理由は原典に当たる手間を惜しんでいるだけで、それは怠慢である。

 したがって、正しいニュースの読み方も本来はそれと同じはずである。

 だから、ネットの情報は玉石混交と割り切り、ウソだと疑ってかかる心構えが本来は必要である。

 しかし、そもそも満載の情報を取捨選択することにしてからそう簡単ではない。それは、ネットができたときに、これであらゆる情報が広く入手できると喜んだのが大きな間違いであったのである。

 何が云いたいのか。

 それは、あらゆる情報が手に入るということは自分の欲しい情報しか読まないことと同じ、つまり、情報の蛸壺(たこつぼ)化が進んだということでもある。

 しかも、最近のネットはアルゴリズムによって、自分の欲しい情報が過去の検索などによって自動的に上位に出てくるシステムになっているのである。

 さらに、情報の送り手(プラットフォーム)自体もやりたい放題であることが見逃せない。一見、まともに見える情報であってもその中身は平気で悪意の情報(ヘイト・スピーチなど)であったりするのである。

 いやはや、いやな世の中になったものである。

 この対処方法としては、地頭を良くする、つまり、本能的にウソを見破る能力を鍛えるしかない。

 それにつけても、ポスト・トゥルースを発信し続けるトランプ大統領の側近の「オルタナティブ・ファクト(もう一つの事実)」発言には驚いたなぁ。それって、明らかなウソのことじゃん。だが、こういうことを平気で云う時代になったということが事実なのである。

 そもそもトランプ大統領がCNNの記者に向かって、「お前はフェイク・ニューズ」だということ自体がブラック・ユーモアだよなぁ。

 ウソの大統領がウソだと云うのだから、論理的には正しいことになる(ほんまかいな)。だから、おいらはCNNだけは信用する(この項終り)。



晩餐会で考えたこと

 安倍首相が米フロリダにあるトランプ大統領の別荘内の中庭で大統領夫妻と夕食を共にしていた。


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 よく見る光景ではあるが、おいらが考えていたのはプーチン大統領のことである。

 昨年12月、プーチン大統領は安倍首相の地元、山口県長門市の「大谷山荘」に宿泊した。

 そのときの晩餐メニューは、「前菜に蟹の甲羅盛り、お椀は甘鯛に蓮根、向付けはとらふぐの刺身と伊勢海老の焼き〆洗い、焼き物はのど黒、長門の和牛、揚げ物はあんこうの唐揚げと慈姑(くわい)の素揚げなど」である。

 さすがに旨そうなもののオンパレードであるが、プーチン大統領はおそらく一口も箸をつけなかったに違いない。

 なぜなら、それがプーチン大統領のルールだからである。

 晩餐会の席であっても、プーチン大統領は食事に手をつけない。そうすることが訪問先の国に失礼とはつゆも考えない。なぜなら、彼は毒殺を恐れているからである。

 うへ~。プロだねぇ。

かの国では、毒殺は日常茶飯事である。何しろ、ロシアの元諜報部員リトビネンコ氏も毒を盛られて亡くなっている(2006年)。

 だから、プーチン大統領が海外に行く場合は大変である。諜報機関が事前に下見に行くのである。

 風呂場やトイレで生物兵器による暗殺が行われることはないか、エレベーターに乗っても安全かなどのあらゆるチェックを行い、ホテル備え付けのタオルやシーツ、アメニティなどはすべてロシアから持参したものしか使わない。

 大谷山荘もそうだったのかなぁ~?

 だから、おいらはこういう首脳外交の裏側に興味が尽きないのである。


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