文房具 ペリカン オロビアンコ文房具屋さんがない昔はどこの街にも文房具屋さんがあった。駅前と学校のそばである。 それが今や絶滅の危機に瀕している。文房具はコンビニか、スーパーで買うはめになったのである。ただし、必要最低限の品揃えで、万年筆のインクまで売っている訳ではない。 誰が悪いのか。 おいらは文房具屋が好きである。街の小さな文房具屋にふらりと入って、メモ帳のように何でもないものを買うのが好きである。新しいボールペンを見つけるのが好きである。そういう楽しみをいつくしむ。 その文房具屋さんがないのである。 海外に出張したときも時間があれば、本屋と文房具屋にはよく顔を出したものである。海外では本屋と文房具屋はセットであることが多いのだ(日本でも丸善がそうだ)。街のはずれの文房具屋、そうそう、パリのカルチェ・ラタンのはずれの文房具屋には、身震いするほど興奮した。異国情緒の文房具屋ほど素敵なものはない。 何故なら、文房具屋は立派な文化だからである。 おいらは中学・高校時代を福山市(広島県)で過ごした。駅前本通り商店街に「はぶ文泉堂」という、ちょっとした文房具屋があった(今もあるのだろうか)。おいらは幼心にそこに行くのが実に楽しみだった。そういう楽しみを今の子供たちは知らないのである。 日本人には、忘れてしまったものが多すぎる。 font style="font-size:20px;"> ペリカン万年筆 おいらが愛用しているペリカン万年筆である。 おいらの万年筆の条件は、二つである。ペン先が金ペンであることと、キャップがスクリュー式(ねじ式)になっていることである。 このペリカン万年筆は、その二つの条件を満たしている。 ところが、このペリカンを使うとインク漏れがするなぁと思っていたのである。使用した後で、どうしても人差し指にインクが付くのである。 不思議に思っていたら、先日、突然軸先が折れてしまった。これには正直驚いたが、良く見ると、軸先と胴体(同軸)の部分を強力接着剤でくっつければすぐにでも直りそうである。 そこで思い浮かんだのが、「金ペン堂」である。 神田神保町にあるこの「金ペン堂」は、自分のところで売った万年筆なら修理をしてくれるという。ペリカンはプレゼントで貰ったものではあるが、話しを聞くだけであれば、相談に乗ってくれると思ったので、ご主人に伺ってみた。 「胴軸が折れているので、その部分を交換しないとダメです」と云う。成程、ご尤もである。 この万年筆、安くはない。やはり、直すしかない。ご主人に伺うと、「修理代金は5~6千円でしょう。ペリカン日本支社で直してくれますよ」とのこと(この御主人は、只者ではない!)。早速、ウエブで探し、「ペリカン日本株式会社」(台東区上野3丁目)を発見した。 電話してみる。電話に出て来た男性の対応も良い。持参しても良いし、郵送しても修理出来るという。 おいらは上野の美術館を訪れた後、ペリカン日本に立ち寄ることにした。 対応に出て来たのは、カスタマーサービスに所属する、感じの良い女性であった。応接に通され、テキパキと修理の段取りについての説明をしてくれる。修理が済んだら自宅への送付も可能だという。 料金も胴軸交換で4,500円。それに送料が500円(消費税別)。カスタマーサービスの女性は、領収書を待っている間(あいだ)用にと、ペリカン万年筆のカタログをおいらに渡してくれる。ヤサシイのぅ~。 これなら修理をまかせても安心である。 後日、修理したペンが宅急便で送られてきた。開けてみる。綺麗に梱包されている。胴軸が交換されているので、新品のように見える。 早速、新しいロイヤルブルーのインクボトルを開け、インクを充填し、書いてみる。書き味は抜群。快適である。 有難う、ペリカン万年筆。ペリカン日本。 自動睡眠器 この土日から昨夜まで、首都圏ではまとまった雨が降った。 おいらは基本的に雨は嫌いだが、夜降る雨だけは嫌いではない。 自宅にいて、外の様子を見ると雨がしとしと降っているという情景が好きである。雨の降る音は不連続的である。それが耳に心地よい。その音を聞きながら眠りに落ちるというのは何故か安心できるのである。 何が云いたいのか。 昔、「子供の科学」という雑誌があった。おいらが小学生のときの愛読書であったのぅ。 その雑誌に「自動睡眠器」(というような名称)の作り方というのが載っていたことを思い出す。自動睡眠器を使えば、安らかに睡眠できるという触れ込みである。 ところが、この機械はどういう仕組みかというと、単調な音が連続して出ると云う構造だけのものであった。確か、トン、トン、トン、…と連続して電子音が出る装置である。 で、幼少のおいらは悩んだのである。 トン、トン、トン、…と音が出るだけで、何故眠ることができるのだろうかと。 「子供の科学」では、その機械の作り方は丁寧に書いてあるのだが、何故眠ることができるかは、どの頁を探してもどこにも書いてなかったのである。 だって、音が出れば安眠妨害じゃないか。眠れるはずがない。 だから、このことはずっとおいらの中では不思議なままであったのだが、あるときはっと思いついたのである。 これは、夜の雨と同じ理屈なのだと。 何も音がしないよりも少し音のあった方が寝つけるのである。夜の雨の音は心地が良い。子守唄も同じ理屈である。特に単調な音が続くと、脳が休め信号を出すのは有名な話しである。 そうだったのかと分かるまでに随分時間が必要であったことになるのだが、この謎、解けたときは嬉しかったのぅ。 それにしても「子供の科学」、たいしたもんじゃい。 オロビアンコ おいらはカバンは吉田屋に限ると、この間までは同社製のポーターを愛用していた。 しかし、少し前に(と云っても昨年のことだが)テレ東のダンディという番組を観ていたら、ダンディは優れもののカバンを持たなければならないとゴタクを並べていた。 実はおいらもその説には賛成で、カバンには金をかけるべし派である。 できるビジネスマンはカバンにこだわるのである。王様のように遊ぶ人もカバンには人一倍うるさいのである。 いくつかのカバンがその番組の中で紹介されていたが、イタリア製のオロビアンコが良いらしいというのでそのことを愛妻に話したら、オロビアンコをおいらにプレゼントしてくれた。これは、のろけである。 さて、このオロビアンコ、実に使い勝手が良い。 A4サイズの書類がすっぽり収まり、カメラバッグにもなる。今、おいらが使っているミラーレス一眼レフはペンタックスQ10(世界最小最軽量)なので望遠レンズを一緒に入れてもカバンの形が崩れない。 無論、会社にもこのバッグでお出かけしている。 特にこのバッグのおすすめは両サイドにポケットがあることである。ペットボトルや携帯用の傘がすっぽりと収まるので、リュックのようでもある。 先日、東横線に乗車したら、おいらの向かいに座っている粋な兄さんがおいらと同じオロビアンコ製のショールダーバッグを肩にかけていた。おいらのタイプよりも一回り小さいサイズだったが、オロビアンコは光っていたねぇ。 ダンディはオロビアンコである。 |