2012/02/23(木)00:27
J・エドガーを観る
J・エドガーを観る
クリント・イーストウッドの映画が好きである。
特に晩年の監督作品が秀逸だとおいらは思う。
そこで今回は、J・エドガーを観てきた。
ご存知、初代FBIフーバー長官をモデルにした伝記映画である。しかし、そこは名人クリント・イーストウッド、ただの伝記映画にはしていない。
一言で云うと、えぐい。そういうJ・エドガー・フーバーに仕上げている。
では、この長い映画(上映時間138分)を観て何を感じるのか。
それはフーバーの述べる正義が歳を取ることによって独りよがりになっていくことなのか(それも病的に)、それとも悪を退治するためには、逆説的に悪が必要になっていくということなのか(これを世間では必要悪と呼ぶ)、まだ観ていない人のためには全てを話す訳にはいかないのだが、この作品はその問題を提起するものとして成功している。
おいらは思うのである。世の中を動かすタイプは2種類しかいない。
一つはパラノイアである。フーバーはこのタイプ。もう一つはアンシャン・レジームを破壊する英雄である。坂本龍馬はこのタイプ。
得てして、世の中を動かした傑物は後者だと思われがちだが、龍馬が描いたグランドデザインを明治に成って完成させたのは大久保利通というパラノイアである。
どっちが偉いのだろうか? この課題は、永遠に解けない謎である。
さて、80歳を過ぎても、32作目の映画監督作品を創ったクリント・イーストウッド。
芸術に年齢の壁はない。喝采。
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謎の不良中年 柚木惇 Presents
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