映画「オッペンハイマー」を観た。観ないのは一生の損だ、と思う
映画「オッペンハイマー」を観た。観ないのは一生の損だ、と思う 映画「オッペンハイマー」、観る前は評判が良かったのだが、歴史上最大の長い映画(3時間越え)と聞いて、二の足を踏んでいたのだ。 だって、3時間だよ。 2時間だって長い、と思うよ。だって、おいらはもう73歳だぜ。 しかし、渡世の義理もある。おいらは、映画「ヘルメットワルツ」主演の佐々木和也氏からこの映画の招待券を貰っていたのだ。「柚木さん、こいつは俺の一押し、行かなければダメだ」である。先月初めのことである。 この映画は、先月下旬から封切であったが、おいらは白内障の手術もあって直ぐには行けなかったのである。だが、おいらは仁義を大切にするのである。 今週、観た。 封切り後、約一か月経過していたが、まだ場内は半分ほど埋まっている。 おいらは劇場のシートに座って画面にくぎ付けになっていた。あっという間の3時間であった。 正直、観ていてよかった。いや、観ないのは一生の損だ、と思った。1.この映画を観る前にオッペンハイマーが誰で、どういう人生を送ったかを簡単でいいから知っておいて観た方がよい。そういう過程が一切省かれ、映画は前に進む。無論、彼は原爆の父である。2.人間の心の奥まで探る映画はこれまで数多あるが、監督であるクリストファー・ノーランはそれに成功している。人間の心などというものはどろどろで矛盾に満ちている。つまり、これは、芥川賞なみの、心の中を追求した映画である。3.しかも、原爆開発と投下という事実に対し、世の中は建前でしか対応しないという恐るべき現実をあぶり出している。 なお、上映中にオッペンハイマーが女にだらしなく、彼のセックスシーンをクリストファー・ノーラン監督は敢えて入れている。賛否があるだろうが、よくぞ入れた。オッペンハイマーというのは、そういう人物だったのである。普通の人間でもあったし、特別な人間でもあったのだ。 まだ、この映画は上映されている。そして、この映画はアカデミー賞最多7部門受賞ということを付言しておく。 最後に、おいらはこの映画を観る前までは「原爆は必要悪」だと思っていたが、その考え方を止める。「原爆は、人間がコントロールできる」という考え自体が間違いだからだ。誰の心の中にも悪魔がいる。それだけでこの問題の解決は十分である。それを分からせた映画でもある。