【月刊中央11月号】次期大統領・経済リーダーシップの条件(1)
『月刊中央』は朴槿恵、文在寅、安哲秀大統領候補の「経済政策ブレーン」をリレー式でインタビューした。各候補は財閥改革と福祉の拡大をどのように行おうとしているのか。両極化を克服する処方箋は何か。今回の大統領選における経済政策の争点は、先鋭で厳重なものだ。 セヌリ党のキム・ジョンイン国民幸福推進院長の経済民主化方案は、まだ「原則の公開」程度に過ぎない。朴槿恵候補が機会あるごとに「公正な機会と透明な市場、確実な法治」を強調するが、具体的な公約を出すにあたって、まだ「調整の陣痛」が終わっていないようだ。朴候補の経済公約の発表が10月末以降に遅れるという予想も出ている。キム委員長にどれだけ掌握力を維持できるかが重要な関心事だ。 インタビューでキム委員長は、今後の観光経済が「低成長基調」を避けられない点を最も強調する。「低調を前提にして、社会的枠組みをどのようにつくるかを考えるべき」とし、セヌリ党の中長期的経済戦略構想の基調を明らかにした。彼は「低出産率・高齢化社会」を、持続的成長にとって最大の脅威と見ている。現在のようなレベルで高齢化が進めば、3.5%前後の潜在成長率はさらに落ち込むと見ている。イ・ジョンウ、チャン・ハソン委員長もまた、来年度の世界経済を悲観的に予測、聞きの時代に合わせた「特段の」政治・経済リーダーシップの必要性に共感する。 民主党のイ・ジョンウ経済民主化委員長は、経済民主化と福祉国家建設を「時代精神」として規定する。抱擁、人間中心、生態、協力など四大成長戦略が、文在寅候補の経済公約の核心と述べた。彼が見るには、賃金や労使関係、非正規職問題が民生活路の最も重要な変数だ。また彼は、問題解決の速戦即決式アプローチを警戒する。つまり、非正規職の問題の解法は、10~20年間にわたって行われる長期課題と見ているよ。 早急なアプローチは企業にとって負担になり、雇用と成長にブーメランとして戻ってくるという見方だ。10月11日に発表した財閥の循環出資の禁止、総資産総額制限制度の再導入などを骨子とする財閥改革方案も、彼が中心となって立案した。新規と既存の循環出資を同時に全面禁止する法案は、イ委員長が主導して文在寅候補が最も早く提示した。 創造的党論で政治と市場の対立を解消すべき 安哲秀キャンプ経済民主化委員長のチャン・ハソン氏は、10月14日に「財閥改革七大課題」を発表した。「系列分離命令制」と二段階にわたる循環出資禁止などが核心だ。文在寅候補より一見、強い内容のように思えるが、チャン委員長は「そうではない」と言う。彼はインタビューで、「財閥にとっても革新の機会であり、時間も十分にある非強圧的な措置」と言う。それでも、彼は財閥の「たこ足式」企業拡張に強い拒否感を示した。「なぜ財閥が百貨店やホテルを所有すべきなのか」と反駁する。循環出資の解消が外国投資資本の韓国企業買収に帰結するという財界の首長にも、強く反発した。彼は「かえってグローバル企業の競争力を強化する契機となる」と述べた。 財界は、3人の候補の財閥改革構想に深い憂慮を示している。企業の所有構造と大企業の優越的地位自体を「事前に」規制する政策という見方だ。一言で、大企業というそれだけで、改革の対象になるという不満だ。グループ解体で「規模の経済」が崩れ、結果的にグローバル競争力の低下に至るのはと悩んでしまう。政治権力と市場権力の巨大な葛藤が、はたして創造的な党論を通じて「本当の革新」への突破口となるのか、大統領選挙を前に国民が注目している。 (ハン・ギホン記者)