L’sコーポレーション

2007/04/07(土)03:27

★「守りたいモノ」

掲示板創作(6)

★「創作 守りたいモノ」 男には時間が無かった・・・ どうしても時間までに組織から預かった爆弾を仕掛けないと 近親者を皆殺しにされると脅されていたからだ その中には小さい頃から好きだった女も含まれていたから 男はどうしてもそれを実行させなければと思っていた たとえ自分が死ぬ事となっても彼女だけは助けたい その事だけが男を突き動かしている が、たとえこの事が成功したからといって 映画のように男と女が結ばれる事は無い 女が男の従兄妹にあたりすでに結婚しているから・・・ しかし 彼らは小さい頃から愛し合っていた 親には言えない関係だ が、いつしかそれはバレてしまい  彼女はほぼ強制的に見合いさせられた 好きじゃなかったけど逆らえなかった そういう家柄だった 男はそんな彼女を救いたかった それは男の傲慢かもしれない 彼女が幸せかどうかは彼女にしか解らないから・・・ 募る思いを胸に男は爆弾を仕掛けた が、その時 背後に気配が・・・ 遠くのエレベーターが開き警備員が大勢出てくる 男はとっさに振り返り拳銃を撃った 背後にいた人物は糸の切れたような操り人形のように崩れる そこに倒れたのは警備員・・・じゃなく・・・ 男は目の前の現実を疑った ナゼ・・・ナゼ・・・ 拳銃の弾丸は肺に当たっていて 床に転がった体がぴくぴくとしている 死ぬのは確実だ もう助からない 男の両目から溢れた液体が床の鮮血の上に落ちる 混じりそうで中々混じらない二つの液体 それはまるで必死に一緒になろうとしているようにも見える そう呆然と立ちすくむ男と血溜まりに沈む女のように・・・ 男は震える手を上げて力を入れた 広い空間に乾いた音が響く・・・ 次の瞬間 耳をつんざくような轟音と物凄い風圧が起こり 全てが闇と煙の中に消えた 男はその刹那 何を思ったのだろう? 彼らの遺体がガレキの中から発見される事は遂に無く 爆弾事件の死亡者が記念碑に並んだ時 男と女の名前は偶然にも並んで刻まれる事となった 二人とも身元不明となっていた為に二人の関係を知るものもいなく それ故に彼らは安心して共に眠る事が出来たかもしれない それは嘘なのだがそう思う事で僕は自らを慰めている それが現実だ

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