2004/12/29(水)22:42
読書「地球間ハイウェイ」
「地球間ハイウェイ」(ハヤカワ文庫・ロバート・リード)
私は子供の時からSFが好きで、中でも「時間よとまれ」という子供向けSFがとにかく好きでたまらなかった。確か岩崎書店だったんじゃないかな。
で、今に至っても一番好きなSFは時間SF。映画でもドラマでも小説でも、時間SFだったらとりあえず手をつけてみる。時には失望することもあるけれど、たいていは興味深く愉しむことができる。
というわけで、本書。
これは時間SFではなく、それに少し似た雰囲気のパラレル・ワードもの。ただし、時間改変が可能か、といったノリではなくて、数限りないパラレルワードをある目的を持って旅しつづける人々の物語。人々といっても、普通に考える人間ではない。その考え方や名称も凝っていて面白い。翻訳家の冴えた技がいかされていて、素晴らしい名称である。
単純な、よくあるパラレルものなら、そっくりの世界から侵略・もしくは迷い込んでしまって・・・というパターンが王道である。しかしこの作品は全く異なった視点で描いており、そこが新鮮だった。
宗教的な部分も科学的な部分もパランスよく配合しながら、現代気質の若者も、古風な人物も、様々なキャラを登場させており、私としては充分に楽しめた。
最近のSFには少し苦手意識ができてきていて、すんなりと面白く読める作品が減っていて、「感覚が鈍ったのか」はたまた「トシなのか」と悩んでいたのだが。
久しぶりに単純に楽しめた。ということは、もしかすると少し古風な作りなのかもしれない(^^;)
じっくり人間心理を描いてくれているのも、嬉しい要素の一つ。