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2006年09月21日
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カテゴリ:本、マンガ
 「吉屋信子集 生霊」(東雅夫 編/ちくま文庫)

 文豪怪談傑作選の一つ。
 
 吉屋信子というと、母親世代の少女小説というイメージが強く、いつだったか何編か読んだ程度の記憶しかない。むしろ、母親から聞かされたイメージの方が強かった。

 その吉屋信子が怪談? 私の中のイメージとはマッチしない。どういうことなのだろうか。当然、好奇心が先立ち、気がつくと本屋で入手していた。

 で。まずは認識を改めることに。少女小説だけではなかったのだ(^^;) 幅広い分野で作品を発表していたとのこと。恐るべし、刷り込み思いこみ。反省しつつ、読み進める。

 たまたまかもしれないが、戦争に題材をとったものが多く、ただの怪談と切り捨てるにはあまりに考えることが多かった。

 しかし、ひねってあるな、という印象。分身ものも、ただの「そっくりさん」話ではなく、例えば「生霊」のオチなんぞは非常にある意味心温まる。「誰かが私に似ている」は非常に怖い。己の内面の変化によって刻々と変わっていく「似ている相手」。ヒロインが最後に間違われた「自分に似ている相手」とは・・・。痛烈な皮肉とも冷徹な観察眼ともいえよう。「生死」これも分身のバリエーションか。ただの精神的な思いこみか、それとも。戦争という狂気、巨大な狂気の中でさえ、人々は己の狂気を露わにする。小さな狂気。戦争を体験していない世代だからこそ、我々はこういった作品を読み継ぐべきなのかもしれない。狂気と言えば、「憑かれる」。昨今の事件にも通じる普遍の心理的テーマ。なぜ、あの人が。という理由の一つになるだろう。

 そのほかもいろいろ読み応えがあるが、当時の文豪作品に対するオマージュというか、本歌取りというか、そういった作品も幾つかあり、これはこれで認められるのだな、と感じた。今の作家の中にも、明らかに他作品からアイデアや設定をそのまんま借りている小説は少なくない。きちんと後書きや前書きでそのことを明記していればまだしも、全く知らんぷりしている作家を見かけることもある。以前も、とある短編を読んで強烈な既視感に囚われ、書棚を探ってみたところ、ある女流作家の短編集の二作品をあわせた内容としか思えぬものもあった。(設定、状況、主人公の名前まで同じ!)そういうことに出くわすたびに、何が創作なのか、どこまでが創作なのかとしみじみ考え込んでしまう。

 吉屋信子の時代はどうだったのだろう。ここに掲載されている作品は、明らかに相手と相手の作品に対しての呼びかけが見て取れるので、決して盗作ではないとは分かるのだけれど。





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最終更新日  2006年09月24日 10時54分51秒
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