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カテゴリ:シングルアンプの製作
さて、アンプを設計する際は自由度が大きいため、何らかの方針を定める必要がある。こうすれば良いアンプができるはずだという発想、思い込みから出発するのが普通だ。客観的に証明されたものである必要はないので、これを「仮説」として示していこうと思う。今回は300Bはなぜ音が良いかを考えてみよう。
300Bは音が良い真空管だと言われている。Western Electric という、当時世界最高の技術者を集めた会社が作った映画館のシステムに使われたことも影響していると思われる。WEオリジナルのの300Bシングルアンプ、WE91の回路をコピーして作る人も多い。 ![]() しかし、何しろこのアンプは1930年代の設計である。前段は5極管で構成されているため、Gainも高すぎるように思われる。実際、今販売されている300Bアンプはこれとは異なる現代的な設計のものが多いのだ。ではなぜ、他の出力管に比べて、300Bは音が良いと言われているのか。 【仮説1】300Bアンプではドライバ段と出力段の歪打ち消しが自然に起きるため、トータルの歪が少なくなるのが音の良い理由である。 解説しよう。300Bは大電流を流せる出力管なので、歪は決して小さくない。シングルの動作例でも5%くらいの歪があってその成分は主に2次歪である。一方、300Bはバイアス電圧が-80Vなどととても大きいため、前段は大きなドライブ電圧を要求されることになる。従って、前段の歪が大きくならざるを得ないのだ。ここで、前段の歪と出力段の歪は位相が逆なので、歪打ち消しが自然に起こることになる。このため、トータルの歪が少なくなるわけである。この目的から考えると、ドライブ段はあまり強力なものにしないで、適度に歪ませるのがよいと考えられる。実際、武末一馬氏のようなベテラン設計者は、ドライブ段に12BH7Aを好んで使用していた。12BH7Aは特に歪の多い球だから、歪打ち消しに都合が良いためである。ただ、私は12BH7Aを使おうとは思わない。歪打ち消しが起こると言うことは、300Bの歪とドライブ管の歪の差分を聴いているわけなので、ドライブ段にも歪の少ない球を起用したいところだ。と言うわけで、ドラ-バーには5687を用いる予定である。ところで、仮説1は確たる根拠があるわけではない。トータルの歪が少なくなることは本当だが、それで音が良いかどうかは分からない。あくまでも仮説というゆえんである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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