リスニングルームの建設(6)残響設計の詳細
では、残響設計の詳細について述べようと思う。石井式リスニングルームでは、完全反射壁と完全吸音壁を均等に配置することになっている。クラシックの場合、吸音部の面積を14~17%にすると良い。実際には「完全」な材料はあり得ないので、データを入れて計算することになる。天井は吸音壁を設置出来ないため、前回述べたように反射壁の上にオトピタ01と言う吸音材を貼り付けることにした。 部屋の全表面積は70.6m2、容積は39.3m3と計算される(m2は平方メートル、m3は立方メートル)。計算ソフトにある吸音材のデータで最も当てはまりそうなものを用いると、各周波数での計算値は以下のようになる。面積に吸音率を掛けたものを足し合わせたのが吸音力である。 床は床暖房の上にフローリングを貼っているので、根太床に最も近い。もっとも、スピーカー部分は振動対策として、床暖房なしに直接床を貼っている。板張り+コンクリートが反射壁を表し、グラスファイバー100mmと言うのが吸音壁に当たる。吸音壁は45x45cmの単位で設置し、これを36枚分確保した。天井に貼るオトピタ01も45x45cmのサイズで12枚とした。防音ドアと二重サッシのデータを入れ、カーテンを設置して開閉出来るようにしてある。残響時間のグラフは以下のように計算される。ここで、「吸音材追加なし」のグラフが上記の構成によるもので、これにオトピタ01をさらに4枚追加し、カーテンを閉じた状態が「吸音材追加あり」の状態となる。残響時間は前者で0.5s程度、後者で0.45s程度となるはずである。 ただし、反射壁を板張り+コンクリートというデータで代替しているのだが、実際には次回説明するように、遮音壁の後ろに空気層があり、ある程度低音の吸収があるのではないかと考えられる。そのために、125,250Hzのデータは吸音力が実際よりも少なめに出ていると想像されるのである。