小泉総理メッセージ2


[らいおんはーと ~ 小泉総理のメッセージ]

● 「もったいない」の心

 小泉純一郎です。

 先週の金曜日、官邸でケニアのマータイ環境副大臣とお会いしました。
マータイさんは、長い間アフリカに緑を増やそうと植林を続け、その功績で
ノーベル平和賞を受賞された女性です。

 マータイさんは、日本に来て「もったいない」という言葉を学んだと話し
てくれました。

 「日本人は物を大切にし、日本の環境保護はとても進んでいる。これは
『もったいない』という気持ちが日本人にあるからだ。『もったいない』の
精神を是非アフリカにも広めたい。」と言っていました。

 私も、この「もったいない」という気持ちは、とても大切だと思います。
「もったいない」という言葉は、外国人にはわかってもらえないと思ってい
たので、マータイさんの話をきいて、これは、逆に、私も世界に広めていか
なければならないと思いました。

 去年の7月の先進国首脳が集まったG8サミットで、私は、「ゴミを減ら
し、使えるものはくりかえし使い、ゴミになったら資源として再利用する社
会づくり」を提案して、各国首脳から賛同を得ました。英語で言うと、ゴミ
を減らす「リデュース」、くりかえし使う「リユース」、再利用する「リサ
イクル」、三つともRが頭文字なので「三つのR」と呼んでいます。

 これからは、この「三つのR」と「もったいない」を一緒に世界に広げて
いきたいと思います。

 先週のメルマガで、京都議定書のお話をしたところ、読者のみなさんから、
「もっと自分たちでできることがないか考えたい。」「家庭でできることを
具体的に教えてほしい。」というメールをたくさんいただきました。

 温暖化の原因は、工場や事業所、飛行機、船などの乗り物などから排出さ
れる温室効果ガスのほかに、家庭やマイカーなどからでる二酸化炭素が大き
な割合を占めます。

 ですから、国や地方自治体、そして産業界が率先して取り組まなければな
らないことはもちろんですが、私たち一人ひとりが、地球温暖化防止のため
に、身の回りでできることから始めることがとても大切だと思います。

 例えば、暖房や冷房の温度を1度ゆるめるだけで、年間の二酸化炭素排出
量を日本全体で数万トン減らせます。長い時間テレビを見ないときは、スイ
ッチを切るだけでなく主電源を切ったり、コンセントから抜くこと、お風呂
の残り湯をすてないで洗濯に使うこと、買い物に行くときは買い物袋を持参
することなども、二酸化炭素の排出抑制に効果があります。

 暖房便座のついたトイレは、使わないときにふたを閉めているだけでも一
家庭あたりの二酸化炭素の排出を年間18キログラム減らせるそうです。

 この春に完成する総理大臣公邸には、太陽光発電はもちろん、風力発電や
二酸化炭素を出さない燃料電池発電システムを入れることにしました。私も、
小さいことでも身の回りでできることを積み重ねるよう心がけています。

 ディーゼル車の排出ガスは、今年の10月から世界で一番厳しい規制が適
用になりますが、2009年にはさらに厳しくして、粒子状物質の排出は実
質的にほとんどゼロにする基準を導入する方針を出しました。

 これからも環境と経済の両立をはかるために、できる限りのことをしてい
きたいと思います。

 今週土曜日から長野で知的障害者の自立と社会参加を目的にしたスペシャ
ルオリンピックスが開催されます。はるばるアテネで灯した聖火が、長野の
開会式会場へのトーチ・ランの途中、官邸にも来てくれました。

 スペシャルオリンピックスは、アメリカの故ケネディ大統領の妹さんが知
的障害のある人たちにスポーツを楽しむ機会を提供しようと自宅の庭を開放
したことが始まりだそうです。今回の冬季世界大会には、世界86カ国、約
2700人の選手団が参加し、国や言語の違いを超えてともに楽しむ大会に
なります。

 土曜日には、開会式に出席して、選手たちを激励するつもりです。素晴ら
しい大会になることを期待しています。



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