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テーマ:あの本、おぼえてる?(347)
カテゴリ:あの本、おぼえてる?
怒られそうなタイトルつけたけど、しょうがないモンねー。
「角川君、ちょっと私の研究室に寄ってくれないか」 そう言われて、源義は振り返った。指導教授の折口信夫が立っていた。 「はい、わかりました」 源義は頭を下げ、先に立って歩いていく折口教授の後に従った。 これは、”GEN「源氏物語」秘録”の冒頭で、廊下のシーンです。 これからすると、折口信夫は、角川源義の背中に向かって、「角川君、ちょっと私の研究室に寄ってくれないか」と言っています。通りすがりです。相手が、自分の存在に気付いているかどうか判らない。普通、この状況で、後ろ向いてる人に、こんな長い話はしません。 「はい、わかりました」 源義は頭を下げ、・・・・・・ 謝っているわけでも、あいさつする場面でもないので、頭を下げるのはおかしい。うなづくならOK。会釈するなら、「はい」と「わかりました」の間です。 ・・・・・・先に立って歩いていく折口教授の後に従った。 先か後は一つで十分です。 「角川君」 そう呼ばれて、源義は振り返った。指導教授の折口信夫が立っていた。 「ちょっと私の研究室に寄ってくれないか」 「はい、わかりました」 源義は、さっさと歩いていく教授の後に従った。 せめて、これぐらいで、いいのではないでしょうか。ほんの四行に、ツッコミどころ満載です。 また、この冒頭からは、折口信夫は短気者か、切迫した事情を持っているように感じられます。ところが、次のページでは折口教授は、なかなか用件を切り出さない。言いにくそうな重大事、でもない。くだらない冗談を言ったりする。 登場人物が、みんな、大根役者なのです。 ところが、折口信夫が演説を始めたり、作者とおぼしき人物が、地の文の中で自説を広げると。 おもしろい。これが、実におもしろい。 でなければ、我が家に40冊以上も井沢元彦があるはずがないのよ。 つまり、小説ではなくて、評論が天下一品。特に有名な「逆説の日本史」は最高です。ヘタに小説にせずに、そのまま、作者が意見を広げると、論理構成、比喩の使い方、説得力抜群です。 小説にも二系統あって、歴史上の謎に迫ることをメインにして、殺人などがくっつく作品類はおもしろい。小説になっていないところには目をつぶって読む。 でも、歴史の謎の無いやつは、わたしは読めません。 また、井沢元彦の宗教についての一連の著作。日本人には理解しにくい、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教などを、実にわかりやすく教えてくれます。 込み入ったところを見抜いて、他人の思いこみの矛盾をつかまえ、わかりやすく解説する能力が天下一品です。 みんな、井沢元彦を読もう。(フォローになってる?) ※1 井沢元彦の現代に対する意見については、私は考えが合いません。 ただ、歴史を持ってこられると、すぐ説得されてしまいます。 ※2 今回、文章批判が入っているので、かみさんに見てもらいましたが、 井沢元彦が小説ヘタなことについては、 「アンタが、神経質すぎ」でした。そうかも知れない。 逆説の日本史(10(戦国覇王編)) 天下布武と信長の謎 ) 逆説の日本史(11(戦国乱世編)) 朝鮮出兵と秀吉の謎 ) 人気blogランキング ←参加しました。押して下されば、元気が出ます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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