2時間
定時頃に帰れば、予定していた所用を済ませてとっくに家に帰っていた時間。私はまだ駅にいた。大幅な残業をしたばかりに、駅に着いたら電車が止まっていた。昔、友人が住んでいたあたりで電車が留まっていた。ヘトヘトな金曜日、怒りは無かった。ただ、その誰かを思いやるだけだった。それから2時間。ようやく再開の目処が経った。2時間が命の時間なのかと思うと切なかった。2時間かけて待った先、動き始めた電車は、たった2分、次の駅で停車した。社内アナウンスは、全線運休。また違う駅で誰か。いつか目にした光景が思い出したながら次の誰かを思った。救われなかった思いは、また2時間で片付けられるそして、片付ける人をも