青もみじ
雨が降ったので、
ようやく訪れることができた
静かで密やかなカフェで
物語を一章だけ読んだ。
昨日届いた訃報を
纏うようなその話は、
暫くぶりの小説としては、
役割を果たすものだった。
庭の青もみじが
ずっと朱くならなければいいな
そう思って眺めていたら、
予定通りに雨が降ってきて
今頃濡れているだろう自転車を思う。
今日のお買い物どうしよう。
そんななんでもない悩みが
ほのぼの嬉しい日曜日の夕方
それは、
恐ろしく山盛りの仕事があるから
思える嬉しさだと、
励ましながら、
一番嫌なひとときを逃そう。