「つきちゃん 　ひーちゃん」「なぁに」

ひすいは懐っこい子。
保護された子とはいえどちらかというとネグレクトだったようでDVだった訳ではない。

　そのせいか人の手を怖がるという事もなく人も怖がらない。
むしろ懐っこくてへやんぽ中も定期的にそばに来て撫でられている。

　そんなひすい。実は相当な舐めうさぎ。

　うちに来て2日目辺りから舐めてくれるようになり
今ではケージ越しに差し出した指先までもぺろぺろと舐めてくれる。

　へやんぽ中のナデナデ時にはお返しとばかりにぺろぺろと。
何だか手を目で追ってくるなと思ったらぺろぺろが始まる。

　滑らかな舌触りがくすぐったい。
つきみは殆ど舐めない子だったので尚更こうして舐めてくれる事が嬉しくて。
　
　へやんぽ中は服の上からかぷかぷと甘噛みしてくるひすいなのに
手は舐めるだけで決して噛んだりしない。

　分かっているんだろうなと思う。
手は噛んだら痛いって。噛んじゃいけないって。

　撫で撫でしてくれる手。
だからお返しね、と舐めてくれるひすい。

　ひーちゃん、ありがとうとまた撫でて。

　へやんぽの三分の一はそんな感じのコミュニケーション。
あとの三分の一はブラッシングで残りはホリホリとカミカミの時間。

　確かに目が離せないし甘噛みとは言え噛まれると痛い。

　けど甘噛みしてくるのは1日の内のたかだか20分。
今日も元気ねといたずら食いに気を付けていればいいだけの事。

　ひすいが来てくれてどんなに生活に張りが出たか。
毎日がどんなに楽しく過ごせるようになったか。

　そんな事に比べたら甘噛みなんて些細な事。
そのうちに治まるかもしれないし。

「ひーちゃんの得意技は？」「じゃーんぶ」　



　つきちゃん。
つきみもマウンティングの時にはよく甘噛みしてきたね。
親ばかなままはその時つけられたアザさえも嬉しく思っていたんだよ。


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