「つきちゃん 　ひーちゃん」「なぁに」

つきみと暮らしていた頃は私にとってのデフォルトはホーランドロップだった。

　だからいわゆるミニウサギと言われる雑種のこを見ると
当然の事ながら　顔が長いな　と感じていた。

　だから可愛くないって意味ではない。
種が違えば顔が違うのは当たり前でうさぎは基本皆可愛いと思っている。

　でもひすいと暮らして1年が過ぎた今私のデフォルトはその顔が長い雑種に変わっていった。
横顔を比較して見てもこれだけの差がある。





　ひすいはその豊かなほっぺの毛のせいで幾分か顔に丸みが出てるけど
そのふくらみを抑えるとこんな野性味あふれる面長さんになる。

　その面長を毎日見ているとホーランドやネザーが同じうさぎとは思えなくなってきた。

　だんだんつきみが思い出に変わっていき思い出しても泣く事もなくなってきた。
悲しみの最中はこんな穏やかにつきみの事を思い出せる日が来るなんて考えられなかったのに。

　つきみはこうだったけどひすいはこうなのね、と個々としての差を楽しむまでになっている。

　やっぱり時間って凄いなと思う。
そして生き物の持っている命の尊さって圧倒的だなとも。

　その命のおかげもあってこうしてつきみを楽しかった思い出として偲んでいる。

　ちょっとセンチになっているのには訳があっていよいよ旧居の引き渡しが迫ってきたから。
鍵を渡してしまえばもうあの思い出いっぱいの部屋は他人のモノになってしまう。

　でも体を脱ぎ捨てたつきみはいつでもいつまでも私と一緒にいてくれる。
ひすいと比べている私に　ほんとだね　ってそばできっと見てるはず。

　そう信じて今日も愛を持って比較して。つきみの横顔にそっくりなひすい。
　




　こんな風に見える時もあるんだね。

「ひーちゃん横顔ホーランドみたいだった」「まねっこ　したの」



　つきちゃん。
つきみはどうやってもミニウサギの顔にはならなかったね。


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