2009/11/27(金)21:20
ジョージ・セルの詩
「詩」というものの定義が、
自然や人事から受ける感興・感動を、言葉の韻律やリズムで表現したもの
とするならば、
ジョージ・セルは、やはり、一人の詩人であったのではないか。
伝統に則った、スコアの韻律とリズムを厳格に表現した者として。
このバルトークの「管弦楽のための協奏曲」とヤナーチェクの「シンフォニエッタ」の
アルバムには、
計算され尽くした冷徹な目線の向こうに、
孤高の詩情が見える。
詩は無用に難解になりすぎてはかえって感興を殺ぐが、
ジョージ・セルの形創る音楽は、
なんと明確で、わかりやすいのだろう。
彼の音符は、しかも命を持っている。
しかし、村上春樹の音楽の引用の仕方はいつも素晴らしいけれど、
「1Q84」と「シンフォニエッタ」の関係は、
まさに絶妙だったと、今さらながら思う。