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カテゴリ:随想
娘よ、明日は最後の個人戦だよ。がんばれ。 小学校から兄や姉に続いて剣道に打ち込んできた。あんまり格闘技には向いていないことは、分かっていたけど、家中で父親と同じく剣道の話や兄、姉の試合での活躍などを見たり、聞いたりして育った娘にはいつのまにか同じように竹刀を持って、試合に出るようになった。 親父としては、ほんとに嬉しかった。でも、おまえは他の競技をしたかったんだよね。 俺もプレッシャーになるようなことは言わない。おまえの好きなようにやりなさい。今までの練習の成果を明日は発揮してほしい。そして、納得して競技生活を終えてほしい。 けっこう嫌なことが多かった部活動だったね。中学校でも高校でも楽しくやっているようでも、それなりに苦労しているのがよくわかった。つらい思い出だったかもしれないが、なんらかの成長の糧にはなったと思う。そうであってほしい。 今までは父としては、観戦できなかったが、明日はただの親父になって、おまえの試合を応援するよ。ビデオもうまく取れるようにがんばるよ。きっと、涙が出て応援の声も聞き苦しいとは思うが堪忍だよ。 最後に一緒に練習したのはいつだったかな。道場で二人きりで汗を流したのは。もっとやりたかったけど、なんとなく恥ずかしがって、少ない回数だったね。でもいい思い出になった。いつの日か、俺との二人きりで練習したことがいい思い出だよと、言ってくれる日があることを願っている。 今日は竹刀の手入れをしながら、今までの試合のことや、練習してきたことの思い出が、いっぱい思い出されて、二人とも無口になってしまったね。 ほんとは、自分で出来るようになることが望まれるけど、親ばかもこれぐらいはいいじゃないか。俺がしてあげられることは、これぐらいしかないから。 俺の気持ちを察してくれているのはよく分かるよ。自分が納得する試合ができたらいいじゃないか。精一杯がんばれ。8年間の練習の成果が明日だよ。 おまえに贈る言葉、「1000日の稽古、勝負は一瞬」 悔いの無いようにやれ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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