伊香保温泉がある榛名山はこの地域の山々の総称で、上毛三山(赤城山、榛名山、妙義山)の一つである。山頂には榛名湖(カルデラ湖)と、中央火口丘の榛名富士(溶岩ドーム、1390m)がある。最高峰は掃部ヶ岳(いわゆる榛名山=1449m)で、天目山(1303m)、相馬山(1411m)、二ッ岳(1344m)、烏帽子岳(1363m)、鬢櫛山(1350m)がこれを囲み、さらに水沢山(浅間山1194m)、鷹ノ巣山(956m)、三ッ峰山(1315m)、李が嶽(杏ヶ岳1292 m)、古賀良山(982m)、五万石(1060 m)など多くの側火山がある。
伝承として、榛名富士が富士山より低いのは、国づくりの巨人ダイダラボッチ(「もののけ姫」のあの神様だ)がもう少し土を運ぼうとしたところで夜が明け、途中でやめたため、というのがある。榛名湖は、榛名富士をつくるため土を掘った後が湖になったものという。ほかにも、榛名神社が諏訪神社から井戸を通して食器を借りたという話、弘法大師が杖を刺して井戸を掘ったという話などがあり、山岳信仰が盛んだったことをうかがわせる。榛名湖は『万葉集』の時代から、上野国を象徴する歌題「伊香保の沼」として知られ、江戸時代以降は榛名神社とともに、関東地方を中心とする雨乞い信仰「榛名講」のメッカとなった。
昭和の高度成長期、榛名湖には1日3万人の行楽客が押し寄せたという。夏の水上スポーツやボート遊び、冬のスケートや氷上ワカサギ釣りなど。湖畔に土産物屋がならび、対岸に温泉があり、榛名富士や沼ノ原にキャンプ場・スキー場がつくられ、ロープウェーも設置された。近年は湖上の花火大会やイルミネーションイベントも催されている