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カテゴリ:s_novel
今年も、桜の季節がやってきました。
彼と花見をするのは二度目になります。 “もう一年経つのか…” まだちょっと肌寒いからか、彼はポケットに手をいれたまま夜桜を見上げています。 “あっという間だったね” 彼と久しぶりに逢えたので なんだか嬉しくて照れくさくて 私は橋の欄干にもたれて川面を観ていました。 “こっちにこいよ。今日は川面や夜景よりも桜の方が一段と奇麗だよ” 振り返ってみると一人ぽつんと立っている彼がなんだか寂しげに見えて、彼の言う通りすぐ側に立って一緒に桜を見上げました。 “ちょっと葉桜になっちゃったかな” “すぐ、挙げ足とる~。素直じゃないなあ” “ふふん” “なんだか元気ないね” “そうかな?” 彼はまだ理由を言ってはくれません。 でも気がついて声をかけるだけで 少しだけ気持ちが軽くなってくれるといいなあ 私もそうだから…。 “今日は大丈夫だよ。二人でいるから” “じゃあ、独りの時でも元気でいられる方法をかんがえなくちゃあね” “今日は前向きじゃん” “二人でへこんでいてもしょうがないでしょ?” “そだな。そうだ、へこんだ時は[どこでもドア]で押し掛けるかな?” “却下。勝手にこられても…” “そりゃそうだ。俺もそれをやられては困る。前もって携帯鳴らしてくれないと” “まじですか?” 彼がくすりと笑いました。 少し元気が出たかな?良かった。 “まだちょっと寒いね” そういいながら彼が私の背中を抱きしめています。 “あごをわざと当ててるでしょ。痛いよぉ” “桜の花、もう少し持つかなぁ” “うん…” 彼のことを考えながら独りで過ごすのにはなれたけど 日常のさまざまなことでへこんだりした時は やっぱり彼に会いたくなってしまいます。 そうすると私はここに来て夜景を眺めてやりすごすのだけど、彼はいつもどうしているのだろう。 “今夜はなにもしたくないなあ” “うん” “ただぼーっとしていたい” “邪魔しないようにするね” “だめだよ。一緒にこうしているんだよ。一晩中” “…了解” お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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