(2)一抹の不安《10月―天国と地獄のあいだには》 ~2002年10月の記録 ∬第2話 一抹の不安 土曜朝、夜行バスで着いたのは母、2番目の妹、3番目の妹とその娘(次女と三女)2人の計5人。 女の子たちは上が4歳、下が2歳。ちょうど我が家の娘たちと年頃も近く、いい遊び相手になりそうだ。ただし、次女Sのヤラマズ(ワンパク)振りは親戚の中でも有名で、一抹の不安がよぎったのも確かだった。 以前、イスケンデルンに住む3番目の妹の家に遊びに行ったときのこと。イタズラを叱る大人にツバを吐きかけ、足蹴りにするところを見て、この娘が3歳にしてすでに相当なヤラマズであることが私にもすぐわかったのだ。 この娘が本領を発揮するのに半日もかからなかった。 田舎の家族が来るに当たって、普段放っておきがちな子供部屋も特に念を入れて整頓しておいたものの、瞬く間にオモチャやら本やら筆記具やらで埋め尽くされてしまった。棚の中は見事にカラッポ。 水音がすると思えば、水を出しっぱなしでハンドソープでシャンプーごっこ。次女が始めると決まって三女のGも追従するので、騒ぎは2倍に。 次女がハサミで髪の毛を虎刈りにすれば、三女もぎこちない手でハサミを持ち始める。 気が付くと薬箱が開いていて、日本から持参した高価な耳式体温計が分解されかかっていたり、つい先日買ったばかりの観葉植物がこれまた虎刈りになっていたり、PCのスイッチを押しまくっていたり・・・。 母親である3番目の妹も可哀想なくらい気を遣い、声を荒げて叱るものの、まだ全てが遊びとしか捉えられないこの娘には通用するわけがない。 子供のイタズラに今までさんざん付き合ってきた私も、予想していたこととはいえ、驚きと困惑は隠せず、免疫のない夫にいたっては、「もう二度と子供を連れてこないで欲しい」とまで言い出す始末。 しかし、私の頭を悩ませたのは子供ばかりではなかった。 つづく ∬第3話 予感的中 |