[トルコで「病気になる」]の記事一覧 | 南トルコ・アンタルヤの１２ヶ月*** 地中海は今日も青し

当面の心配事といえば・・・

先週金曜日にギブスを巻いてもらってから丸２日が経った。ギブスの準備をしながらドクトルが、「このセーター、後で脱げるかなあ・・・？」と、私の茶色いセーターの袖口をちょっと心配そうに見た。結構ゆったりしたセーターだったので、「大丈夫でしょう」と袖をまくり上げてもらい、何の心配もせずギブスを巻いてもらい、帰宅の途に着いたのだったが・・・・。いざ着替える段になって、ハタと困った。娘たちに袖を引っ張ってもらい、セーターはなんとかなった。が、実はその下に、ストレッチ・タイプの７部袖Ｔシャツを着ていたのだった。それがどうやっても脱げないのである。そのまま諦めて丸２日・・・・。さすがに汗臭くなってきた自分が疎ましい。冬だし、ここはトルコだから（＾＾；）、４～５日くらいシャワーを浴びなくてもなんとかなる（不潔でスミマセン。。。）が、そろそろ入浴のための工夫を考えなければ・・・・。まずは、着たきりのこのＴシャツ。やっぱり、潔くハサミで袖を切り裂くか、切り落とすしか方法はないんだろうか・・・・？ううう。もったいないけど、今のところこの方法しかなさそう。。。そして、ギブスを濡らさないよう上手く入るには？日本には、ギブス着用者専用の入浴用カバーなんてものがあるらしいが、ここはトルコ。整形外科用グッズを扱う専門店で訊いてみたが、調理用のラップなどを巻くケースがほとんどという。なるほどなあ～。じゃあ、その手でやるしかないか～。不便なら不便なりに、物がないならないなりに、なんとでも工夫するしかないし、工夫できるものなんだよね～、ホント。今日は左手一本で掃除機もかけたし、スーパーに買い物に行ってカードのサインも左手で済ませた。あとの課題は、台所仕事かなあ～？上の娘は、人生初体験の食器洗い・鍋洗いを体験中。それなりによくやってくれてるけど、重い鍋、大きい鍋はまだ手付かずで残ってる。私にしても片手では支えがなくて力を込められない。どうにかする方法を編み出さなけりゃ。料理にしても、娘たちのできそうな皮剥き、簡単な包丁使いだけで出来る料理に頭を廻らせて、と。昨日は、外で買ってきたマントゥを茹で、娘たちにニンニク・ヨーグルトとバター・ソースの作り方を教え、キュウリを小さく切らせて、ついでにジャジュックも作った。炊飯器でご飯を炊く方法を教え、味噌汁の大根もおろし金で娘におろさせた。今日は、一転ポトフ。野菜は大きいままでいいし、煮込むだけなのが楽チン。しかし、明日はどうしたらいいだろう・・・？こちらをご覧の皆様。片手だけで出来る楽チン・メニュー、子供にも出来る簡単メニューのお心当りがありましたら、ぜひアイデア頂戴したいと思います。どうぞよろしくおねがい申し上げますm(_ _)m

私の左利きトレーニング＆娘たちの自立トレーニング

今日の日記は左手で打っている。年も押し詰まった今頃になって、なんと右手首の部分骨折（もしくは、ヒビ）により、ギブス生活に入ってしまったのだ。今日の午前中、小さい配管仕事のために呼んだエアコン設備業者の先に立って現場を歩いている際、左足の靴先に鉄骨の先端が引っかかり、左足が抜けないまま、右側を下にして転んでしまった。寒風吹きぬける工事現場で、ついつい手をダウンコートのポケットに突っ込んだまま歩く癖が仇になってしまったのである。咄嗟のことでポケットから手が出なかったために、右手首が身体の下敷きになってしまったのだった。思わず呻いて座り込んだところへ、エアコン業者、次いで向かいの洗濯屋にいつも出入りしているオバチャンが駆け寄ってきた。痛みの走る右手をかばっている私にこのオバチャン、「手を出してご覧」と、どこが痛いか聞くと、いきなりマッサージを始めた。骨折とまでは思い至らないまでも、たぶん捻挫か何かだろうと思った私は、思わず手を引っ込めて「マッサージなんか要りません！」と断った。「私はマッサージ師だから、分かってるわ」というオバチャン。リハビリならともかく、捻挫だったら痛んだ筋をさらに痛めないよう、動かさないのが常道ではないのだろうか？しかし、このオバチャン。今度は手を開いたり閉じたりしなさいとしきりに勧めてくる。そのうち義弟エルカンもやってきて、「そのままだと腫れるから、腫れを防ぐために手をよく動かしなさい」という。捻挫なら動かすのは禁物なのに、ふたりに同じことを言われた私は、痛む手首を恐る恐るブラブラと揺り動かすことにした。本当に動かしていいのやら、どうなのやら・・・・。トルコ人の恐るべき民間療法に半信半疑な私・・・・。いつもチャイをご馳走になったり、暖炉にあたらせてもらっているお向かいのメフ兄さんの暖炉の前に連れて行かれた私は、今度は暖炉の火に手をかざしなさい、温めながら動かし続けなさいと勧められる。あああ・・・・もし捻挫だったら、冷やさないといけないんじゃなかったっけ？いいのかよ～。こんなことして。。。。空恐ろしさに耐え切れなくなった私は、とうとう外野には耳を貸さないことに決め、水道の水で手首を冷やすことにした。あまりに冷たくて、すぐに断念したけれど・・・。****学校が成績優秀テストの試験会場となった関係で休校となり、朝から現場に一緒に来ていた娘たちと共に、そのまま工事現場で午後２時頃まで過ごした私だが、次第に右手が重く、痺れたように痛み始めているのを感じていた。腫れもいびつになってきている。手の甲から指先まで腫れあがった手は開け閉めもままならず、腕を左右に回すことも、手を上に挙げることもできない。とうとう病院に行ったほうがいいと判断した私は、エルカンに車で自宅まで送り届けてもらい、娘たちを自宅に残すと、近くのアクデニズ大学病院の救急窓口まで付き添ってもらった。現場助監督として、朝から夜まで現場の面倒を見てくれているエルカンには、現場にすぐに戻ってもらおうと、途中何度も「もう戻っていいよ」と促したが、そこはトルコ人らしく「治療が先決」と最後まで付き合ってくれ、結果的に大いに感謝することになった。まさかギブスまではめることになろうとは、よもや思ってもいなかったのだから・・・。２時間程待つ間に、レントゲンを２回撮り直し、kirik(骨折/ヒビ)という診断が出た。ギブスが外れるまで、約１ヶ月だそうだ。ふーーーっ。コートのポケットの中で手首が内側に丸まるような形で下敷きになったため、整形外科医は「もっと酷く転んでいたら、手術しなくちゃいけないところだった」と言う。早足程度で歩いている時に転んだのは、不幸中の幸いだったわけだ。しかし・・・・驚くよりもまず心配になったのは、なにより家事のこと。利き手である右手が使えないのだから、何をするにも不便この上ない。料理や食器洗い、掃除は左手一本で、なんとかなるものだろうか・・・・？そう。これを機会に、娘たちにどしどし家事の手伝いをさせることにしよう。卵を割ってかき混ぜたり、フライパンで焼いたりはできるようになったが、他にもいろいろと簡単なメニューを選んで、料理をさせてみることにしよう。もしかしたらアンネの手を煩わせないで、何でも自分たちで解決しようという自立の精神を育むには、ちょうどいい期間かもしれない。　左脳派人間の私にとっても、普段補助的な役割しか果たしていない左手を鍛えることで、右脳の活性化を促せるかもしれないしね。ボケ防止にはピッタリかも？****というわけで、ご覧のようにしっかり日記は更新していきます。ご心配なく。写真は無理かもしれないけれど・・・。ところで、明日もやっぱり現場行き。途中の薬局で包帯吊？ギブスを吊るものを買わなければ・・・。信じられないかもしれないが、大学病院なのに石膏で固めただけで、その上から包帯一つ巻いてくれなかったのだ。吊るものは国立病院前の薬局ならあるから、そこで買ってくださいだと。なので、まだじんわりと温かい石膏で左手を白く汚しながら、自宅近くの薬局に駆け込み、とりあえず上から包帯だけ巻いてもらった。そこの薬局の人も「生の石膏」を見て「理解できない」と目を丸くしていた。

今年も眩暈がやってきた。

朝８時過ぎ。子供の声を聞きながら、もう少し、あともう少しとベッドの中でぐずぐずする。遅くとも１０時に工事現場に着いているためには、９時すぎには自宅を出なければならない。逆算すると、もうそろそろ起きないといけない時間だ。学校が休みなので、少しはゆっくりできるが、工事が始まってからというもの、土曜も日曜も関係ない生活が続いている。さすがにそろそろヤバイ、と身体を起こすと、急に眩暈が襲ってきた。眩暈と同時にムカムカも。バタッと、ベッドに再び横になる。気持ち悪～い。目をつぶり、安静に努める。いったん、身体を起こしてキッチンに行くが、クラクラ目が回り、ムカムカしてきてどうにも立っていられない。夏休みの間、自分たちで朝食を用意することを覚えた子供たちには、「気持ちが悪いから、卵とかキュウリとか、自分たちで好きなものを用意して食べといてね」と声をかけて、再びベッドに臥す。９時・・・９時半・・・時間がどんどん過ぎていく。１０時。今日は現場に行くことを諦めて、エルカンに電話する。エルカンは夫の３番目の妹セラップの夫で、もう２０日も前から現場の助監督兼門番を務めてくれている。幸い、今日現場に詰めているのは石壁職人だけで、「今のところ問題はない」というので、エルカンに任せて終日休んでいることにした。今週は月曜から土曜まで、ギッシリ仕事が入っていて、昨日の土曜も子供たちを家に留守番させて自宅と現場を２往復しなければならなかったほど。昨日まではヤル気満々で、疲れ知らずだったのに、さすがに今日になって疲れが出たのだろうか？それとも、このモヤモヤと怪しい空模様のせいだろうか？ムカムカを少しでも軽くしようと、開け放った窓からは、ヒヤッとした冷気が入ってきている。外は薄暗い曇り空。雨でも降りそうな気配だ。低気圧のせいで頭がボウッとすると書いてらしたのは、タウシャン・ポポさんだったか。昨日までの残暑の蒸し暑さから一変、雨でも来そうな妙な風向きになった途端、突然眩暈が襲うというのも、やっぱり気圧との関係なのかと、ボンヤリした頭で考える。やがて、バラッ、バラッと音がして雨が降り始めた。今日は午後１時から、上の娘エミのクラスのカイナシュマ・プログラム（懇親のための企画）があったのだが、この雨ではどうなるだろう？私が工事の監督で忙しいことを知っているエミは、参加できないんじゃないかと随分やきもきしていたのだが、私が「現場には午前中に行くから、１時からのプログラムには参加するつもり」というと、ものすごく喜んでいたのだ。エミに、担任のトゥーチェ先生に電話をかけさせてみる。「雨でも決行」とのこと。エミは「アンネ（お母さん）が病気で来れないかもしれないので、その時は誰かに預かって欲しいんです」としっかりリクエストしている。先生は、じゃあ自分が預かると、娘を安心させてくれたようだ。私は１２時まで目を固く閉じてベッドに横になり、ひたすら休息に努めた。そのお陰か、それとも雨が降り始めて気圧が安定したせいか、眩暈の方はほとんど消え、後は疲れだけが残っている状態にまで回復。熱いシャワーを浴びて気分をスッキリさせ、外出の支度をする。雨は先ほどからかなり大降りになり、窓の外は灰色に霞んでいる。そこへエミのクラスのスヌフ・アンネスィ（クラスマザー、母親代表）から電話が入った。プログラムは中止とのこと。私は、自分の体調不良もあり、ホッと安心したのだが、エミは会話の内容を聞いて、ワアーッと大泣き。ドアをバッターーン！と思いっきり閉めて向こうに行ってしまった。どんなにか楽しみにしていただろう娘の気持ちも分からないではないが、この雨では仕方なかろう。私のせいでもなんでもないのに・・・・。****それにしても、毎年この時期（９月後半～１０月）にかけて、頻繁に眩暈に襲われるようになったのは、どういうことだろう？季節の変わり目、であることには間違いない。厳しく長い夏の後に、突然やってくる雨の季節。自分の身体がこの土地に慣れるに従って、ますます秋口の不調が目立つようになった。それとも、単にトシのせい？更年期障害も近いせい？眩暈と季節との関係があるのだろうかと、検索にかけてみると、このような記述を見つけた。「めまいの起こりやすい年齢は疾患によって多少の差がありますが、一般的には40～60歳に多いと言われています。女性ではちょうど更年期障害の時期とも重なります。また、季節的には春先や秋口などの季節の変わり目に多く、自律神経機能とも関連している可能性があります。」（日本めまい平衡医学会HPより引用）やっぱりなあ・・・。自分ではまだまだ若いつもりでいるけど、年齢はごまかせないってことか・・・・。こちらをご覧の皆さんにも、私と同じように、この季節、特に眩暈に襲われるという方はいらっしゃるのでしょうか？お仲間がいれば、少しは安心できるような気がするのですが・・・。

私の平衡感覚がおかしい

昨日、夕方になって夕食の支度を始めていると、次第に気分がおかしくなってきた。なんとなくフワフワして、眩暈がするような感覚。目が回るでもなく、立ちくらみでもない、前にも何回かこんな眩暈を経験している。こめかみの辺りに軽い頭痛がする。炊事の手を休めて、３０分ほど横になることにした。一応、体温と血圧を測ってみる。３６度６分、上が１１０、下が６５。ごくごく正常である。ベッドに横たわり、目をつぶって、なるべくリラックスするように努めた。夫が私を呼ぶ。ベッドで返事をすると、夫はベッドに横になっている私を見て具合を尋ねた。「ちょっと気分が悪くて・・」というと、「あなたはパソコンのやりすぎ」と簡単に片付けられた。６時になってベッドから立ち上がり、キッチンに向かって歩き始めたが、どうもおかしい。まっすぐ歩くことができないのだ。右へ右へと次第に傾いて、廊下の壁にぶつかりそうになる。軌道修正しようとすると、フラフラして足元が覚束なくなった。眩暈自体は大したことないのだが、こんな変な状態になったのは初めてで、私自身戸惑う。なにが原因か、いろいろ考えてみる。身体が冷えて、血流が滞っているからだろうか。さっき、ずっとパソコンの前に座っていたから、視神経が疲れたか、電磁波の影響だろうか。あるいは、やはり睡眠不足だろうか。一昨日の夜は、娘の嘔吐と下痢で、熟睡できなかった。昨夜も昨夜で、２時に夫が帰ってきた後も、上の娘が１度、下の娘は４度も、「喉が渇く。水が欲しい」と言っては私をキッチンに立たせた。２晩続いた睡眠不足からだろうか。とにかく眠くて眠くて仕方がない。夕食を済ませ、子供たちに就寝の支度をさせると、昨夜は私も早々に床に就いた。　　　　　- * - * - * - * -朝６時４５分。まだまだ眠りを貪っていたかったが、そうもいかない。今日は、夫が用事でイスタンブルへ日帰りすることになっている。フライトは８時４５分。７時２０分には自宅を出る予定だ。身体を起こし、急いでキッチンへ向かおうとした。ところが、今度は、身体が左へ左へと進み、壁にぶつかってしまう。まっすぐ歩こうとするのだが、どうしても左に傾いていってしまうのだ。フラフラしながら、キッチンに立ち、どうしたことだろうかと考える。自律神経失調症か？脳神経の関係だろうか？平衡感覚がおかしいということは、耳のどこかに問題があるのだろうか・・・？インターネットで眩暈の症状とその原因をいろいろ調べてみるが、私のケースに該当しそうな、これという症例は見当たらない。強いて言えば、内耳の病気に当たるのかもしれないが・・・。やはり、一度検査が必要なのかな・・・・と考える。私の脳裏には、妹の見てくれたコーヒー占いの言葉が蘇った。カップの中身がほとんどきれいに皿に落ちて、言われたことは４つだけだった。そのうちの１つはすでに始まっており、２つはコーヒー占いをした日の１～２日後に出現し、残ったひとつが、「病気」の一語だった。検査を受けるとしても、言葉のハンディキャップ、トルコ（アンタルヤ）の医療水準への不信感、病院やクリニックの選定と検査費用・・・いろいろと心配が付きまとう。今年は１月の初め以来、私も子供たちも、病気と病院にひっきりなしに縁のあった１年だった。その今年も、あともう１ヶ月。もう少し辛抱すれば、来年は年回りが良くなるに違いない。そう信じたい私・・・。この症状が、どうかこれっきりで２度と現れませんように・・・。

２本の注射と４種の薬

朝目覚めた娘が、心配そうに私に聞く。「今日、学校休まないといけない・・？」月曜日は娘の好きな絵の授業があるし、宿題も提出したい。できれば学校に行きたいと、娘の表情は語っている。昨日は結局、一日中横になって過ごした娘。とうとう胃の中も腸の中も空っぽになって、吐き気も下痢も止まったが、何も食べたくない、食べられないと、何を聞いても首を横に振る。脱水症状を起こしてはと、お湯を沸かし、ホットレモネードを作り、乾燥ミントを浮かべたりして飲ませはしたが、胃腸をしばらく休ませるために、私も無理強いはしたくなかった。熱のあるときと違って、こういう症状の時は、牛乳やヨーグルトでさえ、大抵は戻してしまう。夕食には、娘のことを考えて、鶏肉といろいろ野菜のスープを作り、スープとわずかにジャガイモだけをカップに入れてやると、半分ほど食べてくれたのだが・・・。私は娘の顔色を見ながら、まだなんとも答えられない。顔色は黄色く青ざめて、冴えない。前回お腹を壊した時も、丸一日何も食べなかったが、翌朝には顔色も戻り、パンを食べただけで学校に出掛けて行った。しかし、今回は・・・？「朝ごはんよ～」と、何度呼んでも返事がないので行ってみると、また眠りに陥っていた。間違いなく、今日は一日休ませるべきだった。幸いにして、夫は深夜２時になってイズミールから帰ってきていた。娘が目を覚ますと、体力がなく立ってられない娘を夫が抱っこして車に乗せ、いつも真っ先に診察してもらうサールック・オジャー（診療所、保健所）に出掛けた。本日担当の女性医師は、娘のお腹を押さえながら、丁寧に具合を聞いていく。時々娘が痛みを訴える。下痢の関係だろうとは思うが、食中毒も疑ってみないといけない。念のため便や血液検査をした方がいい。そうしないときちんとした判断が下せないが、生憎ここでは検査はできないので、と別の地域にある地域診療所を紹介してくれた。場所を聞いてみれば、その診療所は、このところ何度も足を運んだ警察本部の真向かいにあった。１．２５ミリオン（約９５円）の診察代を払い、車に乗ると、すぐに警察本部の方向目指して車を走らせる。大通りを挟んで警察本部の真向かいにある３階立てほどの建物が、紹介された地域診療所だった。トルコ国旗とクズライ（赤新月社）の旗のたつ国立の診療所で、「国立病院」の文字が見えるところを見ると、分院のような役割も果たしているのだろうか。サールック・オジャーの医師は救急に入りなさいとアドバイスしてくれていた。前の患者が出て、すぐに私たちの番になる。会計で手続きをしてくるよう言われ、会計で２．６ミリオン（約１９０円）の診察代を払ってもどる。救急担当の医師は、症状と経緯を聞くと、診察もしないまま検査室の方で血液検査と便の検査をして戻るよう指示した。娘にとって、採血は初めての経験。肘上をゴムで縛られ、おそらく今まで見たこともないだろう大きな注射器を目にして、さすがに怖がった。私たちの顔を不安そうに見て、「痛い？痛くない？」と聞く。看護婦は、「痛いけど我慢して」と言って針を近づける。私は娘の顔を背けさせ、夫は娘が痛さで反射的に動かさないよう、腕をしっかりと握り締めた。針が刺さると、娘は大きな声を上げて泣き出した。私は娘の頭を抱くようにして、採血が終わるまでの間、娘に励ましの言葉をかけていた。次は便の検査。しかし、昨日の午前中までに、お腹の中をすっかり空っぽにしてしまった娘の身体からはもう何も出てこなかった。血液検査の結果を受け取り、救急担当の医師の元に戻り、その旨を伝える。血液には、もちろん何の異常も見出せなかった。医師は、飲み薬を処方するだけでなく、ビタミン剤や鎮痛剤、下痢を止める薬などを組み合わせた注射をした方がいいと判断した。私自身、ここまで体力を失っている娘には、点滴かなにかが必要だろうと思っていた。しかし、先ほどの採血注射のショックが残っている娘は、また注射と聞いて拒否反応を起こした。ベッドに横倒しにし、夫と二人がかりでお尻を上に持ってこようとするが、娘は満身の力で抵抗する。看護婦の持った注射器を見た娘は、怖がってまた泣き始めた。痛い採血注射のすぐ後に、続けて注射針を刺される娘が怖がるのも当然。私たちだって娘が可哀相だったが、心を鬼にし、夫が上半身を、私が下半身を押さえ、娘のズボンを下ろした。針が刺され、薬剤がすべて注入される間、娘はずっと泣き声をあげていた。しかしそれから、医師が薬の処方をし、夫が最後の手続きをして診療所を出る頃には、早くも薬剤の効果が出始めたのか、はたまた、泣いて興奮したせいか、娘の顔色も戻り始め、歩く姿もしゃんとし始めた。隣の薬局で薬を購入する間、車で待っているよう勧めたのに、一緒に来たいといって薬局まで着いてくるほど。さらには、薬局の人がくれたミカンを美味しそうに食べ出した。私は狐につままれたような気分だったが、娘の元気がみるみる戻っていることに、とにかく安心した。薬局で、腹痛止め、整腸剤、抗生物質など合計４種類の薬を受け取り、３．５ミリオン（約２５０円）を払って自宅に戻った。すぐに娘には昼食を食べさせることにした。昨夜の野菜とチキンのスープを温め、パンを添えて渡すと、少し残しはしたが、ちゃんと食べることができた。食後に早速薬を飲ませ、ベッドに連れて行き、その午後はゆっくりと眠らせた。　　　 - * - * - * - * -私は、その時も疑問に思ったのだが、あの血液検査が必要だったとは今でも思えない。しかし、お尻にした注射のおかげでみるみる元気を回復したことは、疑えない事実である。娘は、昼寝から目覚めると、私の焼いたチョコレートケーキとホットミルクのおやつを食べ、夕食も半分まで平らげた。そして翌日になると、きちんと朝食を取り、元気に通学して行ったのだった。

寝たきりの１日

朝７時半、子供たちの声で起こされた。これが平日だったら、跳ねるように飛び起きて、慌てて朝食の準備を始めるところだが、今日は土曜日。休日である。もう少し寝させてもらって、平日の睡眠不足を解消しないと。ベッドに横たわり、目をつぶって眠ろうと努めるのだが、これがなかなかうまくいかない。もう一度眠ってしまったら、そのまま寝過ごしてしまうのでは、という恐怖感が、休日でも抜けないのだった。なんだか身体がだるくて、動きたくない。でも、せめて子供たちには朝食を作ってやらないと。９時前になってようやく身体を起こすと、すぐにトイレに駆け込んだ。下痢だった。身体が重くて、お腹に力が入らない。のそのそと服を着替え、バッカルにパンと新聞を買いに行って戻り、トマトとキュウリを切って、子供たちの分だけ卵を焼いてやった。私はパンだけ少々。トルコでは下痢にはコカコーラが効くだの、トルココーヒーのドロリとしたところが効くだの、スズメ・ヨーｳルト（漉して滑らかにしたヨーグルト）がいいだの、サーデ・ピラフ（油も塩も使わないで炊いたご飯）だのと、いろいろな人がいろいろな方法を薦める。いわば民間療法である。私は、ご飯があればご飯を食べるが、今はパンしかなかった。昨日作ったエリッキ（プラム）のジャムを、味見がてらパンにつける。ちょっと酸っぱめに仕上がってしまったようだ。ようやくパンを１枚ほど、キュウリを２～３枚食べ終わると、子供たちに言い訳してすぐにベッドにもぐり込んだ。新聞を読もうと一応持ってきたが、すぐに疲れて、また目を閉じた。今日はこの分では、どこにも行けないかもしれないな・・・。今週も月曜から木曜まで、毎日のように出掛けていた。水曜にクンドゥ村に行った日はさすがに疲れて、子供たちを学校に迎えに行って帰ると、夕食までの間、ベッドに横になって目をつぶったのだが、やっぱり眠ることはできなかった。思い返せば出産以来、何もかも放り出してぐっすり眠りたいだけ眠るなんてこと、できたためしがない。それは、子供が大きくなってからもあまり変わってないような気がする。上の娘は一度眠ってしまったら、どれだけの大音声にもピクリとすることがないが、下の娘ときたら、夜中に眠っていてさえうるさいのだ。夜中に一度といわず目を覚まし「水～！」。夢を見れば、まるで舞台役者がせりふをしゃべるような調子でハッキリ大声で寝言を言う。ベッドの端から端まで転げまわった挙句、ベッドから落ちて泣いたり、トイレに行ったり、私の懐にもぐり込んだり・・・私はその度に目を覚まし、時にはふらふらの身体を引きずって水を運んだり、布団を掛けてやったり、ベッドに乗せてやったりすることになる。それがほとんど毎夜毎夜のことなのだ。コーヒー党で、コーヒーを飲みすぎていることも分かっている。おまけにこの日記を始めてから、ベッドに入った後で「あれ、あの言葉はおかしいぞ。正しくはなんていうんだっけ」という具合に、突然言葉の間違いに気づいて、なかなか寝付けなかったりしている。夜中に回るダヴルジュ（ラマザン中、人を起こして回る太鼓叩き）の叩くダヴル（太鼓）の音も、昨年まではほとんど気付かなかったのに、今年は耳元でドガンドガンと叩かれているように響く。そうして、５時半、６時頃にいったん目が覚めてしまうと、２度と寝られなくなって辛くても起きてしまう。最近はこの繰り返しだった。電話が鳴っている。身体を起こし、キッチンに置いてあるファックス電話まで辿り着いて受話器をとると、友人（Ｙちゃんのお母さん）だった。「元気？どうしてる？」私は朝から下痢で調子が悪く、ベッドに横になっていることを告げた。「可哀相に。都合が合えば、一緒にどこかに出かけようと思ってたんだけど・・・」「ありがとう。今日はどこにも行く元気がないの。一日ベッドで寝ていたいわ」「なにか私にできることはある？なにか買っていこうか？」「ううん、ありがとう。食べ物も飲み物も何も欲しくないの」そう言って、電話を切った。再びベッドで横になっていると、今度は携帯が鳴っているのに気付いた。上の娘の同級生ＣＢのお母さんからだった。今日は夕方６時から、クラスの父兄たちのタヌシュマ・イェメイ（懇親食事会）が予定されていた。娘の仲良し友達ミズカちゃんのお母さんが車を出してくれ、おまけに娘ふたりとも彼女のふたりの娘と一緒に、おばあちゃんが見てくれるというので、今回はあらかじめ参加の返事を出していた。ＣＢのお母さんは、場所が変更になったことを連絡してきたのだった。私は、調子が悪いので、夕方までによくならなかったら行けないだろうと告げた。娘たちは、マンション下の庭に遊びに行っていて、静かなものだった。今日はこのまま一日横になっているのもいいな～と思った。出掛けたら出掛けたで日記を書かずにはいられなくなるし、日記をアップしたらアップしたで、反応が気になって、用もないのにＰＣの前に座ってしまう。今日はＰＣからも離れ、何もせず、何も考えず、溜まった疲れがとれるまで、ただただ横になっていることにした。そうするうち、お昼をとうに過ぎてしまった。子供たちはお腹を空かせていないだろうか。お腹に力が入らず、腰がまだ重かったが、子供の食べ物だけは拵えないと。鍋に水を入れて火にかけ、スパゲティーを茹でることにした。冷たいスパゲティーにするので、トマトを賽の目に切ってツナ缶と合わせ、塩、オリーブオイル、おろしニンニク、乾燥バジリコを混ぜて簡単なソースにする。お湯が沸くまでの間、スパゲティーが茹で上がる間には、ベッドで横になることができた。ふたり分のスパゲティーを盛り付け、子供たちが帰ったらすぐ食べられるように、ジュースやコップもすべてテーブルの上に出し、玄関ドアをわずかに開けた。ベッドルームの窓から、真下で遊ぶ子供たちに「ご飯ですよ～」と声を掛け、そのまままたベッドに入った。子供たちは帰ってくると、適当に食べ散らかして、上の娘は宿題の残りを、下のは遊びを始めたようだった。やがて宿題が終わったといって、娘たちはまた庭に遊びに下りていった。ベッドサイドに持ってきていた電話が鳴った。ミズカちゃんのお母さんからだった。タヌシュマ・イェメイに行くための打ち合わせだったが、私はお腹の調子が悪いので行けないと断らなければいけなかった。そうして、結局夕方６時ごろまで、私はベッドでうつらうつらとして過ごした。いくぶん身体の疲れもとれて、夕食の支度はずいぶん楽にできた。７時頃、コムシュ（隣人）でＯちゃんのお母さんから電話があった。「いま家に居る？Ｏを後で預かって欲しいんだけど・・・」私は途端に気が重くなった。まだ身体の調子も戻ってないし、このところ掃除も片付けもろくにできていないところへきて、私が寝てるのをいいことに、娘たちがあっちもこっちも散らかし放題にしていたのだ。預かるとなると、まず掃除から始めなくちゃな・・・そうぼんやりとした頭で考えていた。それに、夜になってから預かって欲しいとなると、帰りはいったい何時になることやら。以前だって８時から預かって、２時間くらいで戻るといったのに、結局午前１時まで引取りに来なかったことがあったっけ・・・。「ええ、家には居るけど・・・ちょっと調子が悪くて横になってるのよ。預かるって、どれくらい・・？」「あと１時間くらいして・・・そうねえ、８時くらいから。子供たちは何時ごろ寝るんだっけ？」「９時半くらい。１０時くらいまでならオーケーだけど」「じゃあ、１０時までね」そう言って、電話は切れた。はあ～、とため息をつき、気を取り直すと私は子供たちに片づけを命じた。子供部屋までは手が回らないけど、せめてリビングルームくらいは片付けておかなくちゃ。しかし、すぐにまた電話が鳴った。同じコムシュからだった。「遠くまで行かなくちゃいけないから、１０時までには戻れそうもないわ。連れて行くより他はないわね」私は「ごめんね（悪く思わないでね）」と言って電話を切ると、心の底からホッとした。これで安心して休めると。今日一日、目一杯遊んだ娘たちは、すぐに眠気が襲ってきたらしく、９時には揃ってスヤスヤと寝息を立て始めた。それを見届けるか見届けないかのうちに、私のほうも深い眠りに陥っていった。

「いざというとき」～隣人にお世話になった夜**更新

今朝もまだ身体がだるい。それでもなんとかPCに向かえるほど元気になった。 * * * * * * * * * * 昨日のスタートは悪くなかった。午前中のうちに掃除機もかけ、新聞から日記のネタを拾い、日本人の友人に電話をして、あとで伺うことを告げた。朝食がパンなので、たいてい早めにお腹がすいてしまう。昼食は、いつも前の夜の残り物（これが結構残る）で済ませてしまうのだが、昨夜はほうれん草の煮物がほんのわずか残っただけだった。それを食べてしまった後、足りないのでミューズリーに牛乳をかけて食べた。思えば、この質素な昼食が、原因の一端だったような気がする。食後のコーヒーを立て続けに飲みながら、PCで日記をしたためているうち、友人の家に伺う時間になった。昨日は「※木曜パザール」の開かれる日。ミニビュス（小型の寄り合いバス）で１０分ほどの地区で木曜だけに開かれるこのパザールに私はよく出かけるのだが、その次いでに、しばしば近くに住む友人宅を訪問する。この夏に日本に帰った時のお土産がまだ残っていたので、乾燥うどんやラーメン、焼きソバ、生理用品などをビニール袋に詰め、彼女にぜひこの味を見てもらおうと、先日作ったばかりの玉葱ジャムの瓶も忍び込ませた。すぐに味見できるように、パンとチーズも一緒に。「これから出ますから、１０分か１５分で着きます」と、友人に電話で伝え、家を出た。ミニビュスに乗る時、ぼうっと考え事をしていたに違いない。よく番号を確かめもせず、最初に来たのに乗り込んでしまったのだ。途中で間違ったバスに乗ってしまったことに気付いたが、後の祭り。そのバスはグルグルと住宅街を回った後、パザールの開かれる地区の近くを通ることを知っていたので、遠回りにはなるが、とにかく行けるんだからと諦めた。バスを降りた地点から、彼女の家まではおよそ１０分。決して遠い距離ではない。昨日もまた３０℃近い暑さの中、ノースリーブを着て出た私は汗だくになって彼女の家に辿り着いた。私は、座るより先にまず、例の玉葱ジャムの反応を知りたかった。お酒もけっこうイケる口の彼女だったら、きっと珍しがってくれるんじゃないか、そう思って。ドイツでの大学生活を経験している彼女は、近くのパン屋でいつもドイツ風のライ麦パンを買っているそうで、それをスライスし、私のアドヴァイス通り、上にチーズとジャムを乗せて、サロンに運んでくれた。「これ、おつまみになるね」と言いながら彼女が美味しそうに食べるところをみて、私は満足した。私の方は、彼女がわざわざ買っておいてくれたミニエクレアを、美味しいドリップコーヒーと一緒にいただいた。小一時間ほどおしゃべりに花を咲かせた後、私は彼女の家を辞退し、パザールに出掛けた。我が家のある地区で開かれる日曜パザールは、まだまだ規模が小さく、新鮮な魚を扱う魚屋などないので、木曜日にはこのパザールまで足を運び、切らしている野菜や果物と一緒に、大抵魚を買って帰り、その夜は魚料理をすることにしているのだ。昨日は、黒海産のソモン（サーモン）が新鮮だよという言葉に負けて、珍しくサーモンを選んだ。キロ６ミリオン（約４７０円）で、ちょうど１尾が１キロ分だった。ムニエルにでもするつもりだった。自宅に戻り、サーモンと野菜を冷蔵庫に仕舞った後、子供たちを学校に迎えに行き、帰ってくるとすぐPCに向かって、日記の残りを書き上げた。そのあたりから、少しずつ気分が悪くなり始めた。眩暈がし、胃のあたりもなんとなくムカムカする。ベッドに行って少し横になることにした。サイドテーブルの引き出しには、日本から買ってきた簡易式血圧計と体温計が常に仕舞ってあるので、もしかしたら血圧が下がっているのだろうかと、先に血圧を測ってみた。上が１１８、下が７８。きわめて正常だ。体温はというと、３６度５分。これまた平熱だった。昼食も軽かったし、ひょっとしたら血糖値が下がってるのかもしれないな～。食事もろくにしないでコーヒーを飲みすぎたのもいけなかったし・・・と思いつつ、夕食の支度を後回しにして、軽くなるまで横になるつもりだった。その後、「そろそろ夕食の支度を」「もう始めないと遅くなる」と活を入れて何度かキッチンまで向かったが、眩暈がして立ってられず、同時に吐き気が襲ってきて、ベッドルームまで這って戻るほどひどくなった。夜７時も回る頃、私はまだベッドから半身しか起こすことができなかった。娘に電話機を持ってこさせると、子供たちをよく預けあっている隣人の番号を押した。「眩暈と吐き気がして立っていられないの。まだ夕食の支度もできてなくて。申し訳ないけれど、そちらで子供たちに何か食べさせてやってもらえないかしら」と恥を忍んでお願いした。今まで「何時から何時間くらい」といって預かってもらったり、子供たちが遊びに行った際になにかご馳走になることはあったが、「食事を食べさせてやってくれ」とお願いするのはさすがに勇気がいった。しかしもう、恥ずかしいなんていってられなかった。子供たちのお腹を空かせたまま、放っておくことはできなかった。隣人はすぐに子供たちを迎えに来て、家に連れていき、食事を与えてくれたのだろう、１時間ほどして今度は私の分まで食事を運んでくれた。私は身体を起こすと吐き気がして、何も食べられる状態ではなかったが、その気持ちが有り難かった。私をひとりでゆっくり休ませようと、９時頃まで子供たちを預かってくれた後、送りに来た隣人は「いつ何時でも、必要があったら遠慮しないで連絡して」と言い残して帰っていった。その夜は、子供たちはシャワーもせず、歯磨きは仕上げ磨きなしに自分たちだけで責任を持って済ませ、床についた。私の方も、１０時ごろから今朝７時までたっぷりと睡眠をとったおかげで、眩暈や吐き気はもうしなくなっていた。 * * * * * * * * * * 今年は本当に病気づいている。１月には家族揃ってインフルエンザ。私の咳と胸の痛みは、その後１ヶ月は続き、上の娘の中耳炎は２ヶ月近く治らなかった。さらに子供たちは、３月には水疱瘡。４月には身体を冷やして１週間ずつ寝込んだ。学校が始まれば、下の娘の発熱。そして先日の扁桃腺炎。そのほとんどの期間、夫は日本に居て留守だった。熱には比較的強い私は、３８度代の熱だったら平気でキッチンに立てるし、自分で薬屋にも出かけるけれど、眩暈には弱い。昨年も夏の終わりごろ、しばしば血圧が下がり、眩暈がして起き上がれず、昼間寝込んだことがよくあった。そして、昨日の眩暈・・・。低血糖なのか、貧血なのか、原因が分からないだけに少々不安になる。まさか、これが更年期障害（不定愁訴）というやつか・・・？とにもかくにも、いざというとき、頼りにすることのできる友人や隣人があることは幸せだ。そしてトルコでは、「いざというとき」頼りにし、頼りにしてもらうために、常日頃から隣人同士の関係を大切にする傾向が強い。こうしたトルコ式の持ちつ持たれつの関係が、時に窮屈で厄介な問題を起こすことがあるが、やっぱり大切なのだなあと、昨日はつくづく有り難さが身に沁みた。 ※アンタルヤの木曜パザールの様子をご覧になりたい方は、『世界市場紀行/ﾜｰﾙﾄﾞﾊﾞｻﾞｰﾙ２１』バックナンバー・インデックスから、「トルコ＞メルテム木曜市場」をクリックしてください。

扁桃腺炎で、お尻にペニシリン注射

一昨日から、喉と首の痛みに悩まされ、頭がぼうっとしたり、軽いめまいがするような感覚が続いていました。体温を測ると、３７度５分と３８度の間を行ったり来たり。なのに身体がどうにもだるくて、何もする気がしないし、食べ物も冷たくてつるりとしたものしか食べたくない状態。この程度の微熱でへこたれるなんて、寄る年並みには勝てぬということか・・・などと弱音を吐いてみたり。昨日は昨日で、ＴＯＭＥＲ（アンカラ大学付属の語学学校）時代のスウェーデン人の友達が、休暇でアンタルヤに来てると聞いて、朝一番に近くのショッピングセンターで待ち合わせたのはいいものの、連れ立って歩いているうち次第に腰が重くなり、お店に入るたび腰掛ける場所を探す有様。結局、市中の文具店に行くのも、建築家のオフィスに顔を出すのも、木曜パザールで野菜を買うのも諦め、かといってサールック・オジャーに行く元気も出ず、お昼前から、子供たちを迎えに行く３時半まで、まるまる床に伏せってしまいました。しかしこの２日で、喉と首の張れと痛みが進行したのは十分自覚しているので、今日は子供たちを学校に送っていったら、その足でまっすぐサールック･オジャーに行くことに。医師は、症状を聞き、私の喉を確かめると、一呼吸置いて説明に入りました。間抜けなことに辞書を携えるのを忘れてしまった私には、医師の口から出てくる医学用語には簡単にはついていけませんでしたが、バーデムジッキ（扁桃腺）が腫れていること。このまま放っておけば腎臓などにまで炎症が及ぶ可能性もあること。ここを出たらすぐに国立病院の救急窓口に行き、ペニシリンの注射を打ってもらうこと。それだけ理解すると、隣の薬局で薬(中にはペニシリンの粉末と注射器も！）を受け取り、バスに乗って国立病院に出向きました。救急病棟には、友達のご主人が週何日か勤めているので、なによりまず彼を呼び出せば、一切の煩わしい手続きなしに注射だけ打ってもらって帰ることができたはずなのに、何を血迷ったのか、きっと判断力も落ちていたのでしょう、一番手前にあった注射の受付カウンターで「sevk（これの意味が正確に分からないのですが、患者の送り状のようなもの？）を打ち出してもらって、注射代を払い、そのレシートを持ってまた上がってきなさい」という指示に素直に従ってしまい、いつも恐ろしいほどの混雑を見せる受付窓口の群集の中に身を投じてしまったのです。ところが、弱り目に祟り目、泣き面に蜂。私の並んだ（つもりの）窓口のパソコンが壊れ、目に前の群集はそのまま左隣の群集と一体化し、患者の間で列の割り込みだのなんだのという口論まで始まりました。右の窓口では、順番もかまわず押しかける患者に窓口職員がすっかりイラつき、大声を上げるは、患者も自分の権利と正当性ばかり主張しながら窓口に殺到するは、これまた大騒ぎ。私は、「救急窓口なんて、嘘っぱちだ。皆んな、ここで並んでるうちに様態が悪化しちゃうんだから。それにしても、なんで彼を呼ばなかったのかなあ･･･」今頃になってここに並んだことを後悔し、情けなくて涙が溢れそうになりました。ようやく自分の番がやってきた、ちょうどその時、ガラスの向こうに、彼の姿が！彼は私に気付くと、すぐに書類を打ち出してくれ、職員通路を通りながら、救急病棟へとすぐに案内してくれました。「なぜ、私のところにまっすぐ来なかったんですか！？」と非難気味に聞かれても、私も理由をはっきりと答えられず、後悔するばかり。救急患者の対応でてんてこ舞いな彼の手を煩わせてはいけないという遠慮も、心の底になかったわけではないのですが、言ったとしても理解されないこと。彼にしてみれば、私の振る舞いは随分よそよそしく、水臭いものに映ったに違いありません。一番最初に立ち寄った注射の受付窓口に戻り着くと、彼は「この人は友達、家族だから、よろしく」私に「何かあったら私を呼び出して」と言い残して、忙しそうに廊下の向こうに消えていきました。やれやれ、これでようやく帰れると、ホッとして診察台に腰掛けると、すぐに医師がやってきて、診察台に寝そべるようにと。私はあまり考えず、左腕の袖をめくり上げて、この辺ですか？と聞いたのですが、大きな注射器を目の前に下げ、今にも打たんばかりの医師は、「お尻です」と言って、「早く早く」と私を急かすのです。私は思わず日本語で「ひえ～」と唸り、カーテンと中途半端な間仕切りの隙間から、ホールを行き来する人が丸見えなのに気付くと、「見えないようにして～」とお願いし、慌ててジーンズのボタンをはずし、半ケツ状態になると、医師の方にお尻を向けて横たわりました。とにかく、このペニシリン注射のおかげかどうか、自宅に帰って１～２時間横になった後で体温を測ると３６度９分にまで下がり、身体も心なしか軽くなったよう。その後、体温は一進一退。抗生物質などの薬を１０日間続けて飲むうち、腫れが引くのに合わせて熱も出なくなるのでしょうけれど、もうしばらくは無理しないように心掛けなければ。本当は、水曜日の父兄会の模様もアップする予定でしたが、今ひとつ元気が出ず、諦めました。ということで、この週末はゆっくり休養することにします。

娘の発熱で、初めて水風呂に漬ける

昨日までなんともなかった下の娘が、今日は朝から元気がありません。朝食のテーブルに着いた娘の顔を覗き込んだ夫が、先に不調に気付きました。「身体が熱いみたいよ」夫の声に娘のそばに寄り、おでこに手を当ててみると、熱が出ているのは確か。体温を測ると、３７．８度。大した熱ではありませんが、学校はもちろん休みです。「どうしたんだろうね～。昨日まで元気に遊んでたのに」夫は娘の突然の発熱が意外そう。「きっと疲れじゃないかな。学校が始まって最初の週だし、興奮して張り切りすぎたんだよ。きっと」「それに、学校が終わってからも買い物に出かけたり、打ち合わせに連れて行ったり、土曜は土曜でパーティーで９時半になっちゃったし、昨日も自転車だのルナパークだの、遊びすぎたでしょ？」日頃おてんばの過ぎる娘は、ちょっとしたことで熱を出したり、お腹を壊したりと、意外にデリケート。今年は病気続きでなかなか体重が増えなかったところへ、またしてもの発熱。この２～３日食が進まなかったのも、学校ではりきって食べ過ぎている上に、疲れが溜まり始めていたからでしょう。土曜日曜と、出歩いたり遊ばせすぎたりで、可哀相なことをしてしまいました。夫が出発する前にと、子供たちを目一杯遊ばせたがったのが裏目に出てしまったようです。午前中のうちに熱が３９．７度まで上がると、たいてい高熱でもしっかりしている娘も、さすがに目をトロンとさせ、だるそうです。熱冷ましのシロップを飲ませると、しかし数分して、朝食に食べた牛乳とメロン少々も一緒に戻してしまいました。またしてもいつものパターン。発熱と同時に胃が食べ物を受け付けなくなり、何を食べても、薬を飲んでも、全部戻してしまうのです。夫が用事から帰ってくると、すぐにサールック･オジャウ（診療所）に連れて行ってもらいました。いろいろ評判は悪いものの、並ばずにすぐに見てもらえるのがなによりで、大抵はまずここに連れて行くのです。診察室に入って医師の顔を見ると、心の中で「あっ」と叫びました。ここで会ったが百年目・・・というわけではないのですが、以前この医師に当たった時、私が日本語で夫と話すのが気に入らず、大層な剣幕で怒り出したことがあったのです。私たちを見た途端、顔色を変えるところを見ると、向こうも私たちが「いい患者」ではないことを思い出したようでした。今日突然に熱が出たことを伝えると、「それで、薬は何か？」「３９．７度に上がった時に、Ｋ（熱冷ましの薬）を飲ませましたが、吐いてしま・・・」終わりまで聞かずに、この医師は、「あなたのやったことは間違いではない。しかし、Ｋはそんな場合あまり役に立たない。一番良いのは、ぬるい水風呂に入れること」まるで私を試すような、わざと口を開かせて、出てきた言葉を否定するような態度です。　医師はまるで、無知蒙昧な人間の間違った考えを徹底的に叩きなおしたいとでもいうように、「いいですか？あなたが間違っているわけではないが、私が一番良い方法を教えます」「まず、帰ったら薬を飲ませ、ぬるい水を張ったお風呂に身体を漬けること」「それで熱がいったん下がるが、反動でまた急に上がるので、驚かないよう」「小さい子供の場合は、急に熱が高くなって、ひきつけを起こすことがあるので、そうなったらすぐ連れて来る」ひきつけと聞き、私が軽い気持ちで「この子は熱には強い方で、今まで（ひきつけは起こしたことがない）・・」と口にしかけると、ピシャリとはねのけるように、「あなたねえ。世界中どこの子供も同じ。熱に強い子供なんているわけがない」「高熱を何回も繰り返すと、脳に損傷を与えることがある」「外には絶対に出さないこと」「上の娘の送り迎えもあるんですが？」「一人で留守番させればいいでしょう」「寒がっても、上には薄いものだけ掛けること」「食べ物は暖かいもの。冷たいものはダメ」「何を食べてもすぐ吐くんですが？」「熱が高くなるとよくあります。吐いても慌てない」「食べる量はあまり必要としない」「水曜にもう一度コントロールに来ること」次々畳み掛けるように説明を終えると、「私が言ったこと分かりましたか？もう一度説明しますか？まず・・」また最初から繰り返しそうとするのを断り、礼を述べて部屋を辞退しました。隣の薬局で薬を手に入れ、車に戻ると、この医師の話が自然に口を付いて出てきました。「あのドクトル（医者）、私のことを馬鹿にしてるのかな？」「前の時、あなたが日本語で僕と話してたから、印象悪かったんでしょ。ここはトルコなんだから、自分にもわかるようにトルコ語で話しなさいって」「でも、私が何か言うたび、あなたは間違ってるとか、間違ってないとか、テストしているみたいで、とにかく気分が悪くなっちゃった」「自分が正しいし、何でも知ってるって思ってるんだよ。大体偉そうでしょ？」まあ、医師のことはさておき、やっぱりこんな時は水風呂に入れるのが一番なのかなあ、帰ったらやっぱりやってみるか・・・。トルコに引越しして初めて娘が発熱したとき、隣人に水風呂に入れなさいと言われ、驚いたものですが、高い熱を一気に下げるためには、やはり効果的な方法なのでしょうか。とにかく会う人ごとに「水風呂」と言われるので、トルコでは一般的な発熱の対症法なのでしょう。しかし、我が家ではこの３年間、一度も試したことはなかったのです。バスタブにぬるいお湯を張り、身体全体が沈むように、浮き輪を使って娘を寝そべらせました。そのまま５分、１０分・・・。手足を触ってみると、もう熱が引いてきているのが分かります。娘がもう出たいと訴えるので、外に出し、きれいに身体を拭いてやると、顔色もいかにもさっぱりと涼しそう。脇の下で体温を測ると３６．９度。おでこを触ればまだ熱いものの、身体全体の熱が一時的に引いて、娘も楽になったようです。再び床についた娘は、気持ちよく眠りに入っていきました。その後、熱冷ましの薬も効いて、翌日は３７度代。昼頃まで吐き気と下痢が続いていましたが、午後からチョルバ（スープ）を飲んでも吐かなくなり、夕食にはソースなしのマカロニとヨーグルト少々を食べることができ、急速に元気を取り戻していきました。やっぱり、疲れなどの一時的なものだったからでしょうが、わずか１～２日で回復することができたのは、ひょっとして水風呂のおかげ？冬はどうかと思うけれど、夏風邪や夏場の急な発熱だったら、「水風呂」は確かに効果がありそう。高温多湿の日本にお住まいの皆さんにも、これならお勧めしてもよさそうですね。（ひょっとして、もう日本でも知られているかも？）