働く母の三畳の雅な間

2007/12/28(金)23:57

ビューティフルグレイ

つや山頭火(30)

生気のない台地なのに  凍てついてもいない いっそ凍ってしまえばいい あのツンドラの色のように 着飾ったディスプレイの煌びやかさに思わず 写った自分の姿を見つけてしまうのさ 10年前の自分のような違和感に 取り繕って髪を掻き揚げたその指先は ビューティフルグレイ 無様な血の色 ロシア文学のヒロインのような彼女の瞳に思わず からめられた羽虫の様にもがいてしまうのさ 退屈だった少年の冬の日々の記憶に 触れたような気がして反らしてしまう目元は ビューティフルグレイ 無様な血の色 血潮が熱くなるほどに臆病になる いっそ凍ってしまえばいいのに 時を止められればいいのに 砂漠にもなれない 風化もできない 見送っていくだけ 自分の言葉も無音にならない 高架下で最終電車が通り過ぎた轟音に思わず 極彩色の落書きに拳を打ち付けてしまうのさ 痛みを伴い指の関節から染み出る体液に 五感をフル活動させて味わうその舌先は ビューティフルグレイ 無様な血の色 生気のない台地なのに  凍てついてもいない いっそ凍ってしまえばいい あのツンドラの色のように

続きを読む

総合記事ランキング

もっと見る