箱庭

5月30日


「・・・」


「どうされました？」


「対独戦は1年を待たず決着を見そうだ」


「そりゃ、国土が広いとは言え30発近くICBMを撃ち込んだら・・・」


「勝利を確実なものにするためだ」


「で、ですよね！」


「それで、だ。そろそろ戦後を見据えるべきだと思う」


「どのような戦後世界にするおつもりで？」


「まず、戦後は日米を頂点とした世界になることは間違いなかろう。そして・・・日米冷戦だ」


「ファシストの我国、そして民主制のアメリカ様・・・戦争中でなければ、共通の敵がいなくなれば対立は必至ですな」


「その通り。そして我国単独でアメリカ様を相手にするのは・・・非常に面倒だ」


「ドイツ領を吸収し、今は我国のICは膨らんでいますが。アメリカ様は資源自活できますけど、我国は無理ですし・・・」


「故に極力、同盟国を増やさなければならん」


「だからこそ占領した地域は続々と独立させているわけですか」


「そうだ。・・・だが、これだけの動乱の中で日和見を決め込んでいる中立国が多くいる」


「閣下、それは・・・」


「同盟の可能性も軍の通行許可も可能性ゼロとなれば・・・我々に都合のいい政権を樹立するには、開戦、併合、再独立が最も手っ取り早い」


「本当にやる気なのですね？」


「日米冷戦を優位に推移させるためには、少なくともユーラシア大陸は固めておきたい。さし当たっては、ダーダネルス海峡を押さえているトルコからだ」


「・・・かしこまりました、閣下」

＊

6月2日


「閣下。空母『龍驤』の艦載機隊がトルコ海軍の巡洋戦艦『ヤウズ・スルタン・セリム』を撃沈しました」


「第一次大戦時の伝説的な艦がなぁ・・・。1912年就役だから艦齢48年・・・」


「それに原子力空母とターボジェット艦載機で挑んだ我々って・・・」


「大人げないけど愛さえあれば関係ないよねっ！」


「愛、覚えていますか？」

＊

6月22日




「・・・第三帝国って非核保有国だったよな？」


「普通に原潜がいますね・・・」


「そう言えば、ナルヴァってどこ？」


「フィンランド湾に面した旧エストニアの港湾都市です。第2次大戦で破壊されるまでは『バルト海の真珠』と呼ばれていたとか」


「そこにドイツ海軍の潜水艦隊がいるのは何故？」


「・・・先月、ケーニヒスベルクから逃げ出した潜水艦隊が逃げ込んだんです」


「補足できなかったのか？」


「補足はしました。が、潜水艦が90隻もいたので・・・」


「( ﾟдﾟ)」


「殲滅しそこねました」


「しかたないね・・・」


「ちなみに、無理に攻撃したせいで空母が2隻大破し、駆逐艦を2隻失いました」


続く。

HoI2集

大日本帝国AAR2