カテゴリ:二次創作・SS
「素直になりなよ」
放課後の誰もいない教室。呼び出された僕に、彼女は悪戯っぽい笑顔を浮かべながら言った。突然放たれた言葉に僕は戸惑うしかない。 「・・・どういうこと?」 「そのままの意味さ。君はもっと素直になるべきだ、うん」 彼女は自分の言葉を噛みしめるように頷き、僕から目線を外した。 「思い返してごらんよ、この3ヶ月間を。どうだい? 思い当たる節はないかい?」 右手の人差し指を立ててくるくると回す。この3ヶ月で知った彼女の癖の1つだ。他にも彼女についてはたくさんのことを知っている。と言うより、思い知らされた。しかし。 「僕は・・・素直じゃないかな?」 自分自身のこととなるとまるで見当がつかない。僕が心底不思議そうな表情を浮かべていることに気づいたのか、彼女は一瞬きょとんとし、溜息を吐いた。 「まるで鳩が大砲を食らったような顔だね・・・」 「いや、それだと死んでるから。粉々だから」 「いいツッコミだね」 くすっと童女のような微笑みを浮かべる彼女。無駄にボケを挟んでくるのも彼女の(悪)癖だ。 「そういうツッコミは優秀なのにね・・・そう言えば、君の鈍さは思い知らされていたんだったね」 自分から話を逸らせておいて、彼女は話題をいきなり本題へと戻す。 「思い出すよ、私たちがこい―――こういう関係になる前のことを」 僕は「またか」と苦笑しながら、彼女がこれまで何度も回想してきた話を聞いた。 続く。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2013.09.16 20:14:34
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