とにかく、登場人物のキャラクターが面白い。
チーム・バチスタとは、ある大学病院で心臓移植の代替手術であるバチスタ手術を、
これまで100%の成功率で手がけてきた、輝かしい心臓外科チームのことである。
ところが、つい最近になって立て続けに3例の失敗例、つまり術中死が起きる。
神業的な手腕を持つ執刀医の桐生は、手術に何ら落ち度を感じておらず、
3患者の死に不審を抱く。
そして、内部調査、すなわちバチスタ・チームの調査を第三者に委ねることに・・・
院長からその指名を受けたのは、
神経内科で不定愁訴外来を受け持つ田口だった。
田口は出世を拒むような変わり者で、
不定愁訴外来は、院内の者から「愚痴外来」と陰口を叩かれるようなところであった。
田口のキャラクターもさることながら、
外部から調査に入ってくる白鳥のぶっ飛び方がすごい。
奥田英夫氏の‘空中ブランコ’などの主人公である
伊良部博士の破天荒さと印象がダブる。
そして、彼を中心にバチスタ手術の術中死の謎が見事解明されていくのである。
初めて読んだ作家であるが、今後の作品が楽しみだ。