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たぬきぶたの日記2

たぬきぶたの日記2

亀山~下庄



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この1本の列車のために  亀山~下庄 




この1本の列車のために

昭和48年(1973年)9月29日(土)

まずは写真をどうぞ。



( 参宮線C57早朝の松.jpg )

  自分の作品の中でも特に思い入れのある作品です。


5月の連休での中央西線のあとは夏休みまで撮影なし。

ひたすら寮内で麻雀に没頭していた。ようやくカメラを持ち出したのは、

5月の末に中央西線が無煙化されたあとだった。このときは寝覚めの床まで

足を延ばした。麻雀の魅力に負けてしまった自分が情けない。

撮影を開始したのは夏休みに入ってからだった。

当時は大学の夏休みは高校と同じで7月の下旬から8月末までだった。


7月22日 関西本線 島ヶ原

7月 ?日 関西本線 数知れず通う

7月 ?日 小海線 関西本線

8月 ?日 小海線

8月18日 参宮線 伊勢市 宮川鉄橋

8月 ?日 九州に行っていると思うのだが、今のところネガなし

9月26日 九州 筑豊、飯塚 後藤寺 田川 のあと 山陰の浜田機関区にて泊

9月27日 山陰 早朝の湯里 日本海 出雲 斐伊川 姫路にて実家泊??

9月28日 奈良機関区 関西本線 島ヶ原 月ヶ瀬口 新堂 亀山機関区泊

9月29日 参宮線 下庄 宮川



さて、話は9月29日の参宮線です。

9月の26日から九州、山陰本線に撮影に行っている。これが分からん?

おそらく大学祭のための休講があったのかな。

今までも松本から関西本線や参宮線に時々撮影に来ていたが、印象に残る撮影はなかった。

九州から山陰、そして関西本線とあきれるような撮影旅行です。

関西本線の撮影が終わって亀山機関区でしばし休憩。

松本に帰るつもりでいたが、撮影しているときに聞いた話が、

参宮線が30日で終わることだった。そうだ、忘れていた。



今までに何回か、参宮線には来ているのだが、伊勢市駅周辺ばかりだった。

宮川の鉄橋には2、3度来ているのだが、どうしても写したい場所があった。

それも大好きなC57の客車列車です。

いつか、計画して念願の写真を撮りたいと思っていたが、計画を立てるには

普段があまりにも怠惰な生活だった。



これを写すには亀山からの始発に乗らなければ行けないのです。

松本から夜行列車で名古屋まで行っても、亀山始発のディーゼルカーには乗れない。

だから、行こう行こうと思っても、実行するチャンスがなかった。

土曜日の昼から行けばいいのだが、亀山泊が必要でたった1本の列車のために、

前日からの泊まりは効率が悪いと二の足を踏んでいた。

高校時代の熱意ならとっくに決行していたでしょう。



今は亀山。疲れているし、帰るか?

どうするべ。やっぱし、亀山に1泊する。それしかない。

疲れているなんて言葉は俺の辞書にはない。(ウソ)

あと2日で終わるのです。30日(日)はさよなら列車があると思う。

でも、10月になれば授業があるし、ゆとりを考えると勝負は明日1日。



だが、どこで寝る?

高校時代みたいな元気はなくなっていたが、さりとて金はない。

貧乏はいやだあ~。

例によって例のごとく駅のホームで寝る。

追い出されたらその時はSLの運転席。

昔を思い出したような行動パターンです。

というわけで、亀山機関区をうろうろしながら夜を明かしました。

とにかく体力勝負ですね。宿で泊まる金のある人がうらやましかった。



さて、撮影場所は亀山から1駅の下庄駅近くです。駅から少し亀山方面へもどった所。

駅に到着寸前ですが、ここは築堤の上り坂で煙が期待できます。

でもここは煙がメインではない。松の木です。この松を入れて撮影するのが夢でした。


現在はこの松の木は枯れてありません。

今から20年ほど前に列車に乗って伊勢まで行くことがあった。

列車の窓から思い出の松の木を探した。山肌には枯れた松の木が無惨な姿だった。


現在の地図


次の写真の松も地図には見あたらない。変わってしまった。ぐすん。



S48-9-29下庄03トリミングブログ用.jpg

意気込んで写したC57の列車であったが、朝日を浴びて光線状態は良くない。

僕が写したかったイメージは朝霧の中の列車でした。

いつでも写せるものではないことは承知の上で、この場所にこだわった。

このたった1本の列車のために亀山に1泊したのです。

続いてD51の貨物列車が来たが、こちらの方が構図としては良かったかな。



S48-9-29下庄04松とD51ブログ用.jpg

このあとは、時間もあるし、津駅やら宮川鉄橋あたりの撮影を行った。

さよなら列車を写したい気持ちもあるが、さりとてもう1泊する元気がなかった。

それに、撮影はほぼ満足できる結果だったので、もう十分という気持ちもあった。

30日は日曜日だが、次の日から授業がはじまる。あきらめた。

それに、30日は雨でした。播但線ほどに気合いが入っていなかったためか、

寮で休みながら、窓から雨を眺めて撮影を諦めて正解だったかなと感じた。

現在、スキャナがないけど、参宮線や伊勢市駅での写真は取り込んだらアップしますね。

とりあえず、気合いの入ったこのシーンは全紙に伸ばしたくて取り込みました。


 (コメントをいただきました。)      ☆fuwari-usagi☆さん

どもども~♪

良い風景の中のSLですね~o(*^▽^*)o

>追い出されたらその時はSLの運転席

これには しっかり笑わせて頂きましたっ!あはは~(*≧m≦*)

(2008.07.02 )


  松の木          funamyuさん

とにかくすごいです。
山水画のようですが、この松を入れたくて、というのもすごい話です。そういう写真だか情報があったのですね。
こんな松、現代じゃ見れません。剪定されてます。芸術作品です。
                           (2008.07.02 )

 funamyuさん                 へそヘルニアさん

>とにかくすごいです。
>山水画のようですが、この松を入れたくて、というのもすごい話です。
>そういう写真だか情報があったのですね。
>こんな松、現代じゃ見れません。剪定されてます。芸術作品です。
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この写真は誰かの作品の真似なのです。雑誌で見たこの場所での写真に感動しました。こんな枝は見たことがなかった。小高い山の斜面に松林があり、その中の1本が独特の枝振りを見せていた。

霧の中のC57と珍しい枝の松がなんともいえない雰囲気でした。参宮線ではこれを写さずしてなんとする。という気持ちでした。

現地に着いて山の中に入り、この松を見つけたときは感動だった。「これだ、この木だあ。」

林の中のこの場所は斜度がきつくて足場が悪かった。なんとか枝をいかした構図を探りながら場所を決めた。
滑りそうな斜面で三脚を立て、中腰での撮影でした。

今、振り返ればこの場所に昼からでも撮影したら光線状態もよくなり、コントラストの冴えた写真が撮れたのではと思うが、当時は朝のこの列車しか眼中になかった。所詮アマチュアが写すとなれば、この程度の行動しかできません。

この1本のために機関区で一夜を過ごした、ということが思い出として値打ちがあるのかな。(2008.07.03 )




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