ロイス・ローリーさんの小説
近未来を舞台にした、画一化された世界のお話
コミュニティで暮らすジョーナスが主人公
この世界は規則で守られ、感情を抑制する薬をのみ、不自由のない生活を送る
一緒に生活する家族というグループはあるけど、血縁関係はない
みんな12歳になると「長老会」からそれまでの生活態度などを考慮した最適な職業が与えられる
食事を作る人、赤ちゃんを産む人、育てる人、、、さまざまな職業を与えられる
その中でたった一人しかにない「記憶を受け継ぐもの」にジョーナスは選ばれる
それは、みんなが忘れ去った記憶(過去のこと、痛みや苦しみや悲しみ、喜びなど)を受け継ぎ、
求めに応じてアドバイスを行う者の役目
ジョーナスは当代のギヴァーから一つずつ記憶を受け取っていく
そしてだんだん、この世界の違和感や残酷さに気づいていき、リリース(廃棄)されそうになっていた
赤ん坊(ゲイブリエルと名付けた)を連れてコミュニティを脱出し、、、
というようなお話
一定の年齢に至った者はリリースとなる世界
みんな誇らしげに扉の向こうに行くけど、薬で毒殺され処分される世界
ゲイブリエルもリリースされるところだった
しかも無条件に信頼し尊敬していた父がその笑顔で判断を下している
初めて読んだとき、感情を得始めたジョーナスの衝撃や悲しみが、ひどく自分の心に
のしかかってきたような、そんな気持ちになったのを覚えている
ゲイブリエルを連れて、少ない装備でコミュニティを脱出したジョーナスが
ゲイブリエルを守りながら彷徨い、段々と弱っていくゲイブリエルにギヴァーから受け継いだ
楽しく幸せな記憶を与えながら進む場面はなみだがあふれた
そりをみつけ、それに乗って雪を滑り降りる先に光が灯る家を見つけるところでお話は終わる
ジョーナスとゲイブリエルは、現代にタイムスリップしたのだろうか、とか
コミュニティに違和感を感じた少数の人が暮らす集落だったのか
読んだ当時はいろいろ想像していた
感情を抑え礼儀正しく、問題や苦労のない世界って、なんだかこわい
そんなせ世界にギヴァーはたった一人記憶を抱えて苦しんでいた
どんなに恐ろしい孤独だろう
ジョーナスを逃がすために、たくさんのことをして暮れるギヴァー
とても強い人だと思ったなあ
結末はジョーナスとゲイブリエルが幸せであったらいいなと思う
シリーズがあと3冊あるけど、翻訳されていない
いつか原書を読んでみたい

【中古】 ザ・ギバー 記憶を伝える者 ユースセレクション/ロイスローリー(著者),掛川恭子(訳者)