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テーマ:地域を楽しむ(329)
カテゴリ:内山の歴史
外国から来た、三人の女神・・。
ユっぴー・コスモスです。 《コスモス街道》を、応援してくださいね♪→ 内山牧場から望む荒船山 長野県と群馬県の県境にある、 航空母艦のような形の山。 内山コスモス街道の一番奥が、この「荒船山」です。 『月刊こすもす』(プリントショップコスモス提供 内山限定の新聞) 2007年8月号に掲載された、 羽毛田(はけた)卓也さんの、歴史・自然エッセイ を、ご紹介します。 ~~ ★羽毛田さんの、自然・歴史エッセイのコーナー★ (Web上で読みやすいように、 ユっぴーが改行・行空けしています。) ----- 荒船山と古代の信仰のはなし その4 荒船山信仰を説く ----- 前回の荒船山の物語 はどうでしたでしょうか。 子どもたちは興味を持って聞いてくれましたでしょうか。 今回はその物語の解説を行います。 室町時代に完成した 「神道集」 に掲載されているこの説話では、 富岡の 貫前(ぬきさし)神社 と 諏訪神社 の縁起が説明されています。 併せて 二荒(ふたたら)神社と赤城神社、荒船明神 についての 関係が説明されています。 説話ですので虚構により脚色された物語と言えますが、 何も無いところから説話や伝承は生まれません。 書かれた時代背景や事実が見え隠れしているものです。 それでは説明を進めましょう。 (1天竺) この言葉は仏教が日本に浸透してから使用され始めたので、 遠い異国を現す地名ということで 鎌倉時代頃の脚色と考えられます。 (2好元団) 座禅をするときに敷いた円形の織物と考えられますので、 これも仏教関係ということで脚色でしょう。 しかしこれを、絨緞や帳の一種と考えると 弥生時代まで遡ってもおかしくはありません。 (3鉾) 主として弥生時代の銅製の祭祀道具・儀器とされています。 また古事記や日本書紀にもたびたび登場します。 (4玉飾大臣) 大臣は古代中国・朝鮮の役職名で、 村長・代官みたいなものです。 弥生時代や古墳時代において 玉は水晶や瑪瑙(めのう)・瑠璃(るり)などの石を磨いた貴重品で、 財産を現します。 (5天甲船) 空は飛びませんが、海を渡ってやってきた氏族の 伝承であることがわかります。 (6街道) 建御名方命が二荒山へ通うのに、 碓氷峠の方が近いにもかかわらず 内山峠を使用していることがわかります。 縄文時代からの交流の道です。 (7水) 山自体が御神体ですが、 水を強調していることから水源祭祀を行っていたことがわかります。 水の女神ということになると、 古代朝鮮半島系の氏族の信仰のひとつで、 渡来人集団の移住地が付近にあったことが想定されます。 また鉾がたびたび登場するため、 祭祀に鉾を使用していたことがうかがえます。 弥生時代的な祭祀です。 (8八坂止女命) 建御名方命は后の目の届かないところへ 好美女を隠します。 荒船山頂でも見えないはずです。 八坂止女命の御神体としての山が 鎌倉時代当時、八ヶ岳だった可能性があります。 富岡からは見えません。 (9好美女) 諏訪大明神・赤城大明神は日本の神、 貫前神は他国の神と表現しています。 渡来人の信仰していた神と言えそうです。 (10三女神) 宗像神社の三女神については、既に説明しましたが、 荒船明神も三女神です。 二人の船頭と一人の女神というところまで全く同じです。 船と水の繋がりから考えても 全くの偶然とは思えません。 古代朝鮮の信仰の広がりが伺えます。 全体的に、弥生時代に遡り得る信仰伝承に 鎌倉時代の事象が融合されていることがわかります。 三女神について、佐久市内には もう一つこれと似たような伝承が 残されている場所があります。 中佐都の根々井に 伊邪那美神社 が 鎮座しています。 その神社の北側に 来迎寺 があり、 その北側の段丘上に 姫宮古墳 が存在します。 「その昔、都から東国へ嫁入りに来た姫がこの地で病にかかり ついには亡くなってしまった。 東国の王はそれを悲しみ、この地に姫の墓を築いた。 姫が寂しくないようにと二人の付き人を置いて宮を建てた。 二人の付き人はお世話になった村の人のために、 水を導き、穀物や宝を与えた。 そのため宮の脇からはいつでも水が湧き、 村人は水には困らなくなった。 そして宮の脇に三人の女神のために三つの大きな岩を置き、 水を守ってくれる姫たちを姫石として祀るようになり、 宮を姫宮と呼ぶようになった」 この姫石は来迎寺の脇に今でも残されているはずです。 私が子どものころは伊邪那美神社の祭事に この姫石にも縄が巻かれ紙垂が飾られていましたが、 現在では行っていないようです。 この姫宮古墳に係わる伝承すら知っている人も少なくなり、 子どもたちも全く知らないのです。 また姫石も忘れ去られ 藪の中にすっかり埋もれてしまっています。 時代の流れに少し寂しい気がします。 ここでも三人の女神が登場し、 水源祭祀を行っていることがわかります。 古代の人々にとって地面から水が湧くというのは とても神秘的な現象だったのです。 荒船明神信仰との共通点は 遠くからの旅と水の祭祀、 三人の女神 です。 次回は荒船明神についてさらにお話します。 荒船山は地域の人々の水を守ってきた大切な山、 なおかつ頂上平原には原生林が残されている 自然的にも貴重な山。 今までの話を踏まえて、 ちょっと違った観点から、荒船山に登り、 その神秘さに触れ、 荒舩山神社にお参りしてみてはいかがでしょうか。 奥宮へいけない方は散歩のコースに取り入れて 里宮へどうぞ。 里宮にもたくさんの野鳥やリスがいます。 夏毛と冬毛の違いを見せるリスを 子どもたちと観察してみてはいかがでしょう。 ------------ 《コスモス街道》を、応援してくださいね♪→ ★ ツイッター yuppycosmos ★ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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