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テーマ:小学生ママの日記(29041)
カテゴリ:政治経済論
学びつづける舵取り ――「多数決」のその先へ
ある日、あなたは大きな客船に乗り込みます。 初めての船旅に、少しの不安とたくさんの期待を抱えながら。 一緒に乗っているのは95人の乗客たち。彼らもまた、みんな船に乗るのは初めてです。 乗員はたったの4人。こちらも新人ばかり。 そして、船長だけが唯一のベテランでした。 100人を乗せたその船が、穏やかな海を進んでいると、急に空が暗くなり、嵐が襲ってきます。 雷鳴がとどろき、風は唸り、波は船体を激しく揺さぶります。 計器も壊れ、エンジンも一部停止。 進むべきか、戻るべきか。避難するべきか、助けを待つべきか――。 船は決断を迫られます。 そのとき、船長がこう言いました。 「ここにいる皆さんは、平等にこの船の一員です。だから、これからどうするべきかは、全員で多数決をとって決めましょう。」 ……さて、あなたならどう思うでしょうか? 不安な嵐の中で、航海の知識もない初めての乗客たちによる多数決。 それは「平等」かもしれませんが、「安全」とは言い切れないかもしれません。 では、こんな場合はどうでしょう。 今度は、乗客と乗員99人全員が長年海を渡ってきたベテラン。 逆に、若くて航海経験の浅い船長が、この船で初めての航海に臨んでいるとします。 そんなとき、船長がこう言いました。 「この船の行き先は、私がひとりで決めます。」 ……どう感じるでしょうか? 果たして、その決断に安心できるでしょうか? 私たちは、民主主義という船に乗って生きています。 この社会では、多くのことが「多数決」で決められていきます。 でも、「多数」であることが、いつも「正しさ」とは限りません。 大切なのは、その一票に、ちゃんと考えと知識が宿っているかどうかです。 多数決とは、ただ数を集めるだけの方法ではありません。 それは、「自分もこの社会の一員として、責任ある選択をする」という、学びと向き合う営みでもあります。 たとえば、医療や気候変動、経済や福祉といった分野で、私たちが投じる一票がどんな未来をつくるか。 「知らないから決められない」では済まされない時代になってきています。 学ぶこと、対話すること、自分の考えを育てること。 そうやって、私たちの「決める力」は少しずつ育っていくのです。 嵐の海を進む船のように、社会もまた、時に大きく揺れます。 そんなときこそ、誰か任せにせず、自分で考え、学び、舵を取ろうとする姿勢が求められます。 たとえ一人の力は小さくても、「学ぼうとする意思」は、きっと船を正しい方向へと導く風になります。 民主主義とは、自由に決めることではなく、責任をもって決めること。 そしてその責任を果たすには、学びつづけることが必要なのです。 だから私は、今日もこの船の中で、学びというコンパスを手に、進む方向を探しつづけます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2025.05.06 00:34:25
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