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福岡市個別指導塾慶應修学舎の記憶「石橋の思考」

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2025.04.13
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カテゴリ:政治経済論
学びつづける舵取り ――「多数決」のその先へ

ある日、あなたは大きな客船に乗り込みます。
初めての船旅に、少しの不安とたくさんの期待を抱えながら。
一緒に乗っているのは95人の乗客たち。彼らもまた、みんな船に乗るのは初めてです。
乗員はたったの4人。こちらも新人ばかり。
そして、船長だけが唯一のベテランでした。

100人を乗せたその船が、穏やかな海を進んでいると、急に空が暗くなり、嵐が襲ってきます。
雷鳴がとどろき、風は唸り、波は船体を激しく揺さぶります。
計器も壊れ、エンジンも一部停止。
進むべきか、戻るべきか。避難するべきか、助けを待つべきか――。
船は決断を迫られます。

そのとき、船長がこう言いました。

「ここにいる皆さんは、平等にこの船の一員です。だから、これからどうするべきかは、全員で多数決をとって決めましょう。」

……さて、あなたならどう思うでしょうか?
不安な嵐の中で、航海の知識もない初めての乗客たちによる多数決。
それは「平等」かもしれませんが、「安全」とは言い切れないかもしれません。

では、こんな場合はどうでしょう。

今度は、乗客と乗員99人全員が長年海を渡ってきたベテラン。
逆に、若くて航海経験の浅い船長が、この船で初めての航海に臨んでいるとします。
そんなとき、船長がこう言いました。

「この船の行き先は、私がひとりで決めます。」

……どう感じるでしょうか?
果たして、その決断に安心できるでしょうか?

私たちは、民主主義という船に乗って生きています。
この社会では、多くのことが「多数決」で決められていきます。
でも、「多数」であることが、いつも「正しさ」とは限りません。
大切なのは、その一票に、ちゃんと考えと知識が宿っているかどうかです。

多数決とは、ただ数を集めるだけの方法ではありません。
それは、「自分もこの社会の一員として、責任ある選択をする」という、学びと向き合う営みでもあります。


たとえば、医療や気候変動、経済や福祉といった分野で、私たちが投じる一票がどんな未来をつくるか。
「知らないから決められない」では済まされない時代になってきています。
学ぶこと、対話すること、自分の考えを育てること。
そうやって、私たちの「決める力」は少しずつ育っていくのです。

嵐の海を進む船のように、社会もまた、時に大きく揺れます。
そんなときこそ、誰か任せにせず、自分で考え、学び、舵を取ろうとする姿勢が求められます。

たとえ一人の力は小さくても、「学ぼうとする意思」は、きっと船を正しい方向へと導く風になります。

民主主義とは、自由に決めることではなく、責任をもって決めること。
そしてその責任を果たすには、学びつづけることが必要なのです。

だから私は、今日もこの船の中で、学びというコンパスを手に、進む方向を探しつづけます。





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Last updated  2025.05.06 00:34:25
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