松本サリン事件の第一通報者で、警察から重要参考人として容疑を
かけられ、マスコミも当初は犯人扱いの報道をした河野義行氏の近
況がテレビで扱われていました。
河野さんは何と、服役を終えたオウム真理教の元幹部と交流してい
るというのです。
２００６年に出所したその幹部は、河野さん宅を謝罪に訪れます。
「被害者としては真相が知りたい。加害者側の人間だから、それを
知ることができるかもしれない」
このような理由で河野さんは彼と会うことにします。
その後、彼とは友人関係で、一緒に釣りや温泉を楽しむ仲だそうで
す。昨年亡くなった奥さんの入院中の見舞も許したといいます。
家族にもいろいろな感情があり、河野さんの息子さんなどは、元幹
部が贖罪の意味もあって母親が倒れた庭の手入れ（服役中に庭師の
技術を身につけた）をすることに違和感を感じ、今は自分がそれを
やっているそうです。
むしろこちらのほうが普通かもしれませんね。
これまで、さまざまなインタビューを受けてきた河野さんを観てい
ると、まるで悟りを開いた宗教家のようです。
人が一人ひとり違い、いろんな感情、価値観をもっていることを受
け入れることができる人なんだろうなとも思います。
「どうしてそんな風に、加害者と付き合うことができるんですか？」
「私はあなたがたマスコミとも、警察とも、あの事件以降ずっとお
付き合いしているじゃないですか」
番組最後のインタビューにドキっとさせられました。
オウム真理教の被害者にしては珍しく、死刑に対して慎重な考え
を持っているなど、河野さんは私のような俗人とはかけ離れた感
覚の持ち主です。でも理由を知ると理屈は納得できます。オウム
真理教の被告人を死刑にすることで、「殉教者」にしてはいけな
い。そもそも殺人を起こす人が刑法の規定を理解した上で殺人を
犯しているわけではない。客観的には全くその通りだと思います。
しかし、河野さんは被害者ですからね。さらに麻原彰晃のことを
「さん」付けで呼び「教えは間違っていた」と声明を出してほし
いと 著書 の中で訴えているそうです。こういう河野さんのキャラ
クターが、周囲から変人のように見られたのも、小さいですが疑
いをかけられた原因のひとつという意見もあるようです。でも、
もしかしたら、変なのは私の方なのかもしれない。そんな風にも
思いました。あなたはどう思いますか？
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