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テーマ:ニュース(99457)
カテゴリ:災害(地震・台風・豪雪)
山形県庄内町のJR羽越線の特急「いなほ14号」が脱線転覆した事故で、原因とみられる突風が、上空から下向きに吹き付ける「ダウンバースト現象」だった可能性があることが国土交通省航空・鉄道事故調査委員会などの調べで分かった。現場周辺では小屋が吹き飛ばされる被害も起きている。流体力学の専門家は「列車が実際に受けた風速は40メートル以上に相当する」と指摘している。
ことば(ダウンバースト) 積乱雲や局地的な雄大積雲の中で発達する下降気流が地表面に衝突して四方に発散する爆発的な吹き出し風。秒速50メートルを超えることもある。きわめてはげしい現象で、水平規模は一から数十キロメートル。大規模のものをマクロ-バースト、小規模のものをマイクロ-バーストという。 ■JR調査による現場調査からの状況判断 JR東日本は29日、JR羽越線の特急脱線事故現場の盛り土から線路下の堆肥(たいひ)小屋に向かって、車体が斜めに滑り降りたような跡があったことを明らかにした。「いなほ14号」の脱線が始まったとみられる地点の直後から始まっており、車両はほぼ一直線に斜面を滑り落ちたとみられる。 付近は高さ約4メートルの盛り土上を電車が走る構造。JR東日本によると、現場の約100メートル手前にある「榎木架道橋」(長さ20メートル)のすぐ近くから、堆肥小屋の方向にかけて、数十メートルにわたって土がえぐれていた。積雪のため、長さや幅は確認できていないという。 架道橋のさらに約20メートル手前で、脱線の跡とみられるレールの傷や枕木の固定ボルトの損傷が確認されている。JR東日本は、「いなほ」が架道橋の手前付近で脱線、そのまま盛り土を滑るようにして小屋に激突した可能性が高いとみている。 また、JR東日本は、事故当日の25日、現場の約1キロ北の風速計で風速20メートルを3回観測したことを明らかにした。事故が起きた午後7時15分ごろより前は午後5時9分の1回。午後7時16分と同29分にも風速20メートルに達したが、徐行規制の基準となる25メートルは一回も観測されなかったという。 ・時速100キロ、横風35mで転覆…JR総研がデータ ・風速25M超、特急転覆の当日は観測せず JR東が発表 ■ダウンバーストの可能性 □運転手の話 山形地方気象台などによると、事故当時、現場付近では寒冷前線の通過に伴い積乱雲が発生していた。この積乱雲から吹き付けたダウンバーストが地面で横向きに変わり、線路の盛り土に当たって急激に吹き上がったとの見方ができるという。JR東日本によると、鈴木高司運転士(29)は同社の事情聴取に対し「橋梁(きょうりょう)通過後、雪交じりの風が吹き車体が傾いた。大きな力で一気に押し出された」と説明。さらに「縦揺れの強い衝撃があった」とも話している。 □防雪柵 現場から百数十メートル北の線路脇では農機具小屋の一部が線路を越えて約100メートル東へ吹き飛ばされた。小屋は50平方メートルのトタン製で線路の約10メートル西側にあったが、骨組みだけが崩れて残り、トタンが線路東側に落ちていたという。 また、現場から約6キロ西の酒田市広栄町では事故発生とほぼ同時の25日午後7時ごろ、風速40メートルに耐えられる国道7号の防雪柵(さく)が東へ約20メートル飛ばされていた。国交省酒田河川国道事務所によると、重さ105キロの鉄柵が5セット飛ばされ、コンビニエンスストアや住居の壁などに衝突した。柵1セットは鉄板(縦50センチ、横4メートル)4枚組。同事務所は「管内50カ所で過去15~16年間に防雪柵が飛ばされたことはない」という。 □専門家の話 国立鶴岡高等工業専門学校機械工学科長の丹省一教授(流体力学)によると、列車は進行方向に向かって右斜め前から風を受けたとみられるが、時速100キロで走行中の瞬間風速を試算すると、風速計に記録された「10~20メートル」よりはるかに強い40メートル超に達していたと分析した。同教授は「JRが設置する三杯式風速計(おわん形の風受けが3個ついた風速計)は平均的な風速の記録に向く半面、瞬間的な最大風速は計測しにくい」とも指摘している。 □風速計の信憑性 「いなほ14号」の脱線事故を捜査する山形県警は29日、事故現場の風を調べるため、現場付近で風速計の取り付けを始めた。国土交通省航空・鉄道事故調査委員会も別に風速計を設置する予定。 JRの風速計は事故現場から約900メートル離れた場所にあり、当時は警戒運転を必要としない「風速20メートル以下」を示していた。県警は風速計6個を現場周辺に高さを変えて設置する方針。既存の風速計が正しく動いていたか、風の流れはどうなっているかなどのデータを集める。 海外では良くあるダウンバースト これが原因とすると、乗り物・建物 こんなものは想定設計されていない。 今後、ダウンバーストを想定していかなければならないのでしょうか? 結論つけるのは、まだ早いですが、そうなると研究途上であるこの現象は、いろいろな設計に波紋を呼びますよ。 ●電車は約105kmで走行 → 脱線には40m近い風が必要 ●風速計で観測では、25mを超える風は観測できず → 故障?計測できない? → 再度設置で精度の検証 ▲現場の状況では、判断できない → 小屋は飛んでいた? → 付近で防雪柵が飛ばされていた お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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