浮 世

2006/01/05(木)17:37

シャロン首相:脳卒中 米の中東和平構想に打撃

国外・国際問題     (80)

イスラエル首相府によると、シャロン首相(77)が4日、同国南部にある自宅で体調不良を訴え、エルサレムの病院に緊急入院した。イスラエル放送によると、同病院は、首相が脳出血による重い脳卒中と診断、容体は深刻で医師団が直ちに全身麻酔を施して、緊急手術に取りかかった。  手術は約5時間後の5日早朝にいったん終了したが、再開され、病院当局者は記者会見で、手術は続いており、なお数時間かかる見通しだと発表した。  シャロン首相は、ガザ撤退を断行するなど指導力を発揮してきた。脳卒中で緊急手術を受け、政治生命喪失の危機に立たされたことは、イスラエル、パレスチナの2国家共存を目指すブッシュ米政権の中東和平構想にとって大きな打撃となる。        首相は昨年12月中旬にも軽い脳卒中で入院したばかり。再び緊急入院したことで、首相の政治生命は大きな危機に陥った。オルメルト首相代理が首相代行に就いた。同首相代行は5日午前9時(日本時間午後4時)に閣議を開催する。  ロイター通信によると、イスラエル紙ハーレツ(電子版)は5日、首相は半身まひの状態で、回復の可能性は極めて低いと伝えた。 ■シャロン首相入院、中東和平進展に懸念…新党失速確実  3月に迫ったイスラエル総選挙で続投を目指していた。政治復帰は困難との見方が強く、中東和平の行方に大きな影響がでる可能性がある。  シャロン氏が旗揚げした中道政党カディマは、ヨルダン川西岸の主要なユダヤ人入植地の堅持を掲げながらも、パレスチナ独立国家の樹立を容認、国境線画定による紛争の最終決着を目指している。和平に意欲的な姿勢が、ノーベル平和賞受賞者の元首相、ペレス氏はじめ多数の国民を引きつける原動力となってきた。  シャロン氏は昨年夏、右派の反対を押し切り、38年間のパレスチナ占領史上初めてとなるガザ地区などのユダヤ人入植地撤去を断行。  シャロン氏の個人的人気に支えられてきたカディマの勢いがそがれることは確実。パレスチナ強硬派がそろうリクードが攻勢に転じることも予想され、各党間の駆け引きが激しくなることは必至だ。 ・シャロン首相入院、中東和平進展に懸念…新党失速確実 → 小泉首相:イスラエルとパレスチナの訪問中止を検討  政府は5日、イスラエルのシャロン首相が脳卒中で緊急手術したことを受け、7~13日に予定していた小泉純一郎首相の中東訪問のうち、イスラエルとパレスチナの訪問について中止を含め調整に入った。小泉首相は両国とトルコを訪問する予定だった。  これに関連し、小泉首相は5日昼、首相官邸で記者団に対し「シャロン首相の容体をよく見て、首脳会談ができる状況なのかよく検討したい。パレスチナ(訪問)はイスラエルの状況をよく見て(行くかどうか)決めないといけない」と述べた。また、トルコへの訪問は予定通り行う意向を示した。 ・小泉首相:イスラエルとパレスチナの訪問中止を検討 → 米大統領が声明「回復を祈っている」 ブッシュ米大統領は4日、シャロン・イスラエル首相の緊急入院を受けて声明を発表し、同首相を「勇気と平和の人」とたたえるとともに、「ローラ(夫人)と私はイスラエル国民とシャロン首相の健康状態への懸念を共有し、回復を祈っている」と表明した。  ブッシュ大統領は先月、軽い脳卒中で入院したシャロン首相が退院後、快気祝いの電話をかけ、「食べ過ぎや働き過ぎに気をつけ、運動をした方がいい」とアドバイスしていた。ブッシュ政権は、イスラエルのガザ地区撤退を実現したシャロン首相の指導力を高く評価しており、シャロン氏の病状を深く憂慮している。 ・シャロン首相:米大統領が声明「回復を祈っている」 イスラエルの指導が倒れる。大変な国際問題です。今後の動向がきになります。 ・シャロン首相、重い脳卒中 容体は深刻  

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