カテゴリ:読書
先日やっと『モーダルな事象』(去年の12月27日の記事参照)読み終わりました。
読み始めるまで知らなかったのですが、何と私の住む町が発端の舞台になっているではありませんか。これには驚きました。 作者がこの地に何の縁もないとすれば、ひょっとしてだいぶ以前に私が出したファンレターの住所から、作品の舞台に使おうと決めていらしたのではあるまいかなどと勝手な勘繰りをしております。 深い感動や人生の指針を求めるのではなく、ひたすら読む喜びに浸りたいということで私はこの作家の作品を愛読しています。この作品もそういう点で、満足のいく傑作でした。 奥泉光氏は虚構ということにこだわる作家(氏の随筆に『虚構まみれ』というのがあります)なので、例えば瀬戸内海上にありもしない島を二つこしらえて、そこを舞台に過去と現在を絡ませながら話を進行させているのですが、地図で確かめなければ本当にそんな島があるのではと錯覚してしまいます。しかも厭らしいことに本の扉には、その架空の島が入ったまことしやかな周辺地図が掲載されているのです。フィクションやミステリー好きには堪らないお膳立てではないですか。 それにしても書店でこの作家の本に出会うのはかなり難しいようです。文庫化されたものも何種類かありますが、単行本が何種類も並んでいる書店はめったにありません。流行作家なのか?と人に問われれば、そうではないみたいと答えたくなります。この作家に多作は似合いません。時間をかけて良質の作品を着実に生み出していってほしいと願っております。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
足跡からお邪魔いたしました。
以前読んだ宮本輝氏の作品で、自分の住んでいる町が舞台になっただけでなく、 主人公の住んでいる家がまさにいま自分の住んでいるあたりで驚いたことがあります。 自分の住んでいる町が小説にでてくると、もうそれだけでその作家が好きになってしまったりします。 奥泉光氏、恥ずかしながら今はじめて目にしたお名前でした。が、 >しかも厭らしいことに本の扉には、その架空の島が入ったまことしやかな周辺地図が掲載されているのです。 という一文を拝読し、とても興味が湧きました。 是非、読んでみたいです。 とはいうものの、今、手元に池澤夏樹氏の未読7冊を抱えておりますので 読めるのは大分先になりそうです・・・ (2006年03月27日 15時19分10秒)
*藤紫*さん、いらっしゃいませ。コメント、ありがとうございました。
>自分の住んでいる町が小説にでてくると、もうそれだけでその作家が好きになってしまったりします。 そうですね。奥泉氏は我が町を学問に向かない非文化的な町であるかのように描いていますが、全くその通りなので笑ってしまいました。 >しかも厭らしいことに本の扉には、その架空の島が入ったまことしやかな周辺地図が掲載されているのです。という一文を拝読し、とても興味が湧きました。 >是非、読んでみたいです。 『鳥類学者のファンタジア』『新・地底旅行』と合わせて三部作なのですが、別にどの作品から読み始めても問題はないと思います。 >今、手元に池澤夏樹氏の未読7冊を抱えておりますので、読めるのは大分先になりそうです・・・ 私は池澤さんの父上の大ファンだったのですが、池澤さんも興味ある作家です。近いうちに『静かな大地』を読もうと思っています。 (2006年03月27日 19時40分42秒)
感動したりすると、ファンレター出したりします。
本だけでなく、良い作品に触れたときなども・・ 電話で直にということも・・ それでも、割とキチンと、お返事くださる方が多いですね。 この本は読んだことありませんが、「読む喜び」という表現は理解出来ます。 前にもこの本の事に触れていましたよね。 喜びに浸りながら、喜びを持続させる為に時間をかけて楽しまれたのでしょうか? 人それぞれの読み方ですね。私は5冊位を同時進行で読みながら、結構短期間で読んでいます。 (2006年03月29日 01時07分22秒)
susu3bさん、いつもコメントありがとうございます。
>感動したりすると、ファンレター出したりします。 同じですね。作家以外の方にも、その人のために書いた私の拙い文章を(無理やり)読んでもらったことがあります。有名なイラストレーターや噺家さんでしたが。 >電話で直にということも・・ うわあ、積極的! >喜びに浸りながら、喜びを持続させる為に時間をかけて楽しまれたのでしょうか? 少し長めの作品だったので2ヶ月かかりました。読めない日が多かったもので。読むスピードはどちらかというと遅い方です。 >私は5冊位を同時進行で読みながら、結構短期間で読んでいます。 私も常に5冊ぐらいを並行して読んでいます。書斎用、持ち歩き用、トイレ用…(笑) (2006年03月29日 12時47分09秒) |
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