カテゴリ:読書
1976~84年にかけて3分冊で刊行された埴谷雄高の長編小説『死霊』を読み終えました。かなり集中しても50日近くかかりました。
今までも何度か挑戦しましたが、仕事をしていてこれを読破するのは無理でした。 実はこの作品、難解な小説として有名なんです。我が国ではあまり聞かない観念小説、形而上学小説です。書いてあること自体も難しいですが、文章が独特で、一文が長い長い。もうお経を読んでるような気分になってきます。テーマは人間とは、生命とは、宇宙とは何か? 革命論あり、宗教論あり。とにかく一言では言えぬ壮大な世界が展開されます。 私は若い頃にこの本を買って、ずっと気になっていたので今回がんばって読みましたが、他の人にも奨めようとは思いません。でも不眠症の方にはいいかも(笑) こんな感じ。(第七章「最後の審判」のラスト近くの一文です。436文字あります。これって原稿用紙一枚以上!) そして、いいかな、この全宇宙史中まったく無敗無傷な時空の永劫の鉄の環の取り除き法をただただ思索に思索を重ねる無限大の苦痛の果てまでついに思索しつくした果てに、無敗無傷な筈の時空の最も弱い環の暗い秘密をこの俺こそが全宇宙史のはじめのはじめに創ってしまったことを思いもかけず思い出してしまったこの俺が、あっは、その暗い不可触禁断の密封事項を時空の側の愕然たる無限苦悩を無視したまま粛然と開いてしまえば、この「単一者」の俺からも、俺の永劫の伴侶たる「虚」からも、「満たされざる魂」の半ば以上が取り除かれてしまうのではあるまいかとこの上なく疑い危惧し思いあぐね怖れつくしながらも、はあて、いいかな、ぷふい、このいまのいま、「影の影の影の国」のお前達にも、また、全宇宙史にわたる「すべてのすべて」に向っても、その不可触禁断の至上至高驚くべきこの「時空」の暗い密封の堅固な封印をついについに完璧に開きに開くべく、あっは、この俺こそは、まさにまさに、黙りに黙りつづけて、黙っているのだ! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
★紺桔梗さんへ
>夜中にこれだけの文章を転記された嫌好さんも凄い!(^-^; こういう感じの文が延々三冊の本を埋め尽くしております。 >こんなに長い一文、校正のやりようがなくて、そのまま製本されていたりして(笑) 一か所だけ誤植を発見しました。 (2018年05月12日 23時24分55秒)
嫌好法師さんこんにちは。世の中にはすごい作家、すごい小説があるんですね。なんかい読んでもわからないのが難解な小説だと思っていましたが、なんかいチャレンジしても読破できない、というのが真の難解小説なのですね。うん十年かかっての読了、おめでとうございます。
小説全体のことはさておき、 この長い一文は、黙示録の、神のモノローグ? これから何となく僕が思い及ぶのは、戦争を繰り返すおろかな人類は、最後の審判を待たずして滅びるのが、宇宙の必定かと。。。 (2018年05月13日 11時43分39秒)
じゃくさん、こんばんはかな おはようございますかな(笑)
>なんかい読んでもわからないのが難解な小説だと思っていましたが、なんかいチャレンジしても読破できない、というのが真の難解小説なのですね。うん十年かかっての読了、おめでとうございます 何十回読み直しても解らない所は解らない難渋な部分もありました。執念と言うよりただの貧乏性で、読まずに逝くのがもったいないというだけだったりして。 >この長い一文は、黙示録の、神のモノローグ? 神をも超える一狂人の妄想という形を取っていますが、最新天文学の多元宇宙なども出て来て凄まじいイリュージョンが展開します。 >これから何となく僕が思い及ぶのは、戦争を繰り返すおろかな人類は、最後の審判を待たずして滅びるのが、宇宙の必定かと。。。 そういう観点での言及もありましたよ。 (2018年05月14日 04時52分04秒)
ご無沙汰しておりました。
死霊つながりではありませんが、あの世の近くまで行ったところで閻魔様の使いの者からまだ来なくていいよと言われましたので戻ってまいりました。 最近の医学は寿命操作をある程度できるようになってるみたいですね。 こうなったら曾孫の顔が見られるまで頑張ります。 「死霊」は「しれい」と入力しても変換してくれませんね そのあたりからして難解な読み物かとw 新人賞、残念でしたね。狙われたのは過去日記から推測すると群像あたりでしょうか。 まだあまり無理はできませんが、またちょこちょこと寄らせていただきます。 (2018年05月15日 00時12分08秒)
本家ひろぴょんさん、めっちゃご無沙汰!!
死んでんのとちゃうかと思うてましたなんて冗談言おうとしたら、本当に入院されてたんですね。でもご無事で生還、本当に良かったです! >曾孫の顔が見られるまで頑張ります はい、長生きして、過疎ってる我がブログにも足を運んで下さい。 >新人賞、残念でしたね。狙われたのは過去日記から推測すると群像あたりでしょうか ははは、図星! 今度はSにと思ってます。 (2018年05月15日 00時34分57秒)
こんにちは
神様のお話ですか? 神様メールという映画をちょっと思い出しました^^ ラストで今までお掃除ばかりしていた女神様が 神様のパソコンを操作し始めると 世界が一変していました (2018年05月18日 16時36分41秒)
らむさんへ
>神様のお話ですか? というわけでもありません。信仰深い人が読んだら立腹仰天するような内容の本です(笑) >神様メールという映画をちょっと思い出しました^^ 観てないのでWOWOWで放映されたら観てみます。ファンタジーですね。 (2018年05月18日 20時55分55秒)
こんにちは。
先生はとても難しい本を読まれるのですね。 テーマは面白そうに思いましたが、例として載せられている文章を読んでみたら何が何だかまったくわかりませんでした。この本を読み終えられた先生が輝いてみえます。 (2018年05月19日 20時59分14秒)
うめ。さん、いつもありがとうございます。
>先生はとても難しい本を読まれるのですね 脳がよじれるようになる小説、時々読みたくなります(笑) >テーマは面白そうに思いましたが、例として載せられている文章を読んでみたら何が何だかまったくわかりませんでした 英語でも哲学書なんかすごく難解な文章ありますよね。この文章は特別やっかいなものです。わかるほうがおかしいです。 >この本を読み終えられた先生が輝いてみえます 読んだという自己満足だけです。数十年来の宿願を果たしただけです。頭が輝いてる? (2018年05月19日 21時15分30秒) |
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