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カテゴリ:ホロゴン異聞
ホロゴンとの付き合いを語るのであれば、まずホロゴンとの出会いからお話すべきでしょう。
1987年春のことでした。 場所は、奈良の北、当尾の里の古刹浄瑠璃寺。 当時、めっぽう気に入っていたプラナー50/2付きのコンタレックス・スーパーで撮影をしていました。 40がらみの男性が近づいてきて、こう言ったのです。 「コンタレックスもええけど、ホロゴンウルトラワイドはもっとええでえ。空気まで写るねんでえ」 これぞ「殺し文句」、私の心にぐさりと突き立ちました。 それから一か月ほどのある日、大阪の異色のクラシックカメラ店「マツバラ光機」のウィンドウに目をやったとき、ホロゴンウルトラワイドが私の目に飛び込んできたのです。 黒々として無骨なボディに埋め込まれた、ほとんど球形に近いレンズがきらりとウィンクしたようでした。 その瞬間、悟りました、このカメラ、ぼくを待っていてくれた! 半年して、1998年1月、職場からサバティカルをもらって、私はホロゴンウルトラワイドを手に、2週間ネパールの一人旅を愉しみました。 この旅のことはいずれ詳しく書きますが、ある朝、首都カトマンズの下町を歩いていたとき、突然、道路脇から少年が姿を現しました。 私は、とっさに手にしたホロゴンを少年の頭に持って行って、シャッターを切りました。私との距離は80センチほど。 なにが写るか、予感も期待も一切ありませんでした。 でも、たしかに写っていたのです。 あの朝まだきのひんやりとした空気感が… お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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