なつかし校舎

[ドラム日誌] カテゴリの記事

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  ローランド　電子ドラム　デモ

  このところ続いているドラムネタです。今日は、高崎まで、ローランド電子ドラムのデモに娘と参加してきました。インストラクターは、平井堅のバックバンドでも活躍された方で、その素早いバチさばきとテクニックにプロの技を拝見することが出来ました。ローランドの電子ドラムの特徴は、スネアとタムがネット状で出来ており、より本物のドラムの叩き心地が得られます。自宅にある、ヤマハのそれはすべてゴム製なので、その差は歴然です。といっても、価格も歴然なのですが・・・娘が体験タイムで、ドラムを叩いたのでその参加賞として、Tシャツをいただきました。ちょっと若者用のようですが、無理して着て見たいです(笑)群馬でもこのようなイベントが多く開催されることを願ってます!!

  2007.08.26

• ♪ダンシングシスター(動画あり)

  本日、昨年の秋に引き続き、娘のドラム発表会に行ってきました。演奏曲は、80年代ポップスシーンを代表する、ノーランズの『ダンシングシスター』です。最近、CMでも流れている明るくテンポの良い曲です。さて、さて、日頃の練習の成果はいかに・・・・・ドラム演奏動画をアップしています。ご覧いただく場合、音量にご注意ください～

  2007.05.04

• ランナウェイ・・・

  只今の娘のドラム教室での課題曲ですが、もう27年くらい前になりましょうか。今はソロとして活躍中の鈴木雅之さんがリーダーだった「シャネルズ」の『ランナウェイ』。これが、娘のドラムの課題曲になりました。昨夜、正確には本日の未明に、夢の国から帰宅した私ども家族。付かれきっていたのですが、本日午前中はミルの二度目の予防接種、午後はドラム教室同行と、これまたハードな一日でした。そんな訳で、充分な練習をせずに臨んだレッスンの結果は・・・やはり、先生にお叱りを受け、泣いて帰って参りました。今晩は、親子で楽譜とにらめっこして、ミスわする箇所を確認し、練習いたしました。目を離すとすぐにサボろうとする娘を監視するのもとても疲れます(汗;)ただ、もう少し、一緒になって取り組もうと思っています。あともう少しで演奏が快感に変るはずですから・・・ミルの予防接種無事に済みました。明日、フィラリアの薬を飲んで(正確には食べて・笑)来週末にはお散歩デビューしたいと思っています。天気が良ければ「群馬の森」にでも行ってみようかな。「夢の国」のお土産「青いＴシャツ」を着たミルを見かけましたら、ぜひお声掛けを（笑）合言葉は「キンチョール」です（笑）！！

  2006.12.10

• とうとう今週末・・・・

  もうすっかり定着した、テレビなしの生活。朝は地元ＦＭラジオを流し、食卓に電波時計を置く。夜は、歌を唄ったり、おしゃべりをしたり・・・それもこれも、娘のドラムのため。そこまでして、準備してきたドラムの発表会が今週末にあります。レッスンの日に、充分な練習をしていかなくて、親子共々こっぴどく叱られた事。娘は、すぐにそういう事を忘れて、練習をしたがりません。だから私は、胃が痛くなるほど叱って、練習をさせました。家人から、「そんなにまでしなくてもいいんじゃない・・」と言われても、しつこく、娘に練習をやらせました。娘は、親の私が言うとおかしいと思われるかもしれませんが、あまり練習しなくても、ある程度演奏できてしまうのです。それがいけない。出来ないお子さんは努力して努力して上達なさる。しかし、努力した事のない子は、脆い。少し難しくなるとイヤになってしまう。それが、先日までの娘だったのです。だから、一緒に出来ないところをいろいろな角度から考えてリズムの取り方から、バスドラの踏み方まで改善しました。親も真剣にならないと子どもはその気になりません。まだ娘は８歳ですので、親がなんとしても続けさせる・・親がそういう気持ちでないとなかなか、毎週日曜のお昼頃に車で４０分かかる教室まで、送り迎えはできません。さぁ、今度の発表会で、ドラムを続けるか結果が出ます。娘には、心地よい達成感を味わってもらいたいです。そのためでしたら、親はこの身をすり減らしても構いません。そう考えたら、子育てって、本当に面白くなってきました。ドラムセットを買ってあげたいです。でもなかなか高額なもので・・・親父は辛いです（涙）

  2006.09.20

• ビアガーデン　素敵なスタッフたち

  このホテルには、ビアガーデンスタッフの他にも、たくさん素敵なスタッフがいました。そのうちの一人を紹介いたします。このブログでは再掲になりますが、心許しあえる友、「タマちゃん」の事を書いたエッセイをご覧ください。「トンネルをぬけるとそこは雪国だった」ではなく、トンネルをぬけると長い下り坂が続いた。そのトンネルの半分位の所から松本市に入ったようだ。私は今、友人の店に車を走らせている。しかし、長い下り坂である。フットブレーキを極力使わずエンブレを効かせつづら折りのカーブをやり過ごす。彼とは、数十年前、同じホテルで働いていた時からの付き合いである。私の方はホテルの仕事から別の仕事に変わったが、彼は職場をかえこそするが同じレストランサービスを続け、長年の夢である自分の店を今夏オープンさせた。その店にこれから家族を連れ向かっている。　「よくあいつとの付き合いが続くな」運転しながらふとそう考えた。ふたりで泊り番の夜にワインを6・・7本飲んで翌朝ベロベロで朝食サービスをやったこと、酒を飲んで些細なことから殴り合いのケンカになったこと、キャンプの夜、酔って一緒に崖から落ちたこと、なんだいつも酔っ払ってばかりじゃないか。そうである。彼とは酒の友なのである。　彼の店は松本駅から少し離れた川沿いにある。「ワインのこと勉強したいから行って来る」とまるで近所の銭湯に行くように、フランスに行ってしまった。思いこんだらすぐ実行なのである。なんでも、ワインの収穫を手伝いに手弁当でフランスに単身渡ったのである。猪突猛進、烈火のごとくである。そして、帰国後この店をオープンさせた。彼の店はオープンテラスを売りにした小粋な店構えである。まだ、店の出店準備の時、何度か私の所に進捗状況を話に来てくれたことがあったがその時正直いって心配であった。なぜなら、世の中は平成の大不況である。次々に街場の飲食店や飲み屋が看板を下ろしているときに果たしてうまくいくものなのか。しかし、彼の真剣さに言えずじまいではあったのだが。　昼ごろに到着するも、時間的に気が引け出直すことにし、2時ごろ再び訪れご馳走になる。店はなかなか繁盛していて客の切れ目がないようだ。テラスに陣取って川からの秋風に吹かれビールを飲る。フランスから到着したテーブルもイスもセンスよくテラスのウッドデッキも店の雰囲気をよく醸しだしている。気付いたら、少しウトウトとしていたようだ。街中を流れる川からの爽やかな風、なんと気持ちがいいのだろう。どのくらい時間が経ったのだろう。しばらくして、初老のいかにも流れ歩いたような男の客が来た。男はビールを数本飲んですっかり気分がよくなったらしく、チップを彼に差し出した。どういう対応をするのだろう。興味があった。だか、これを彼は断った。その態度に店にかける信念のようなものを感じた。オープンしてまだ日が浅く運転資金も大変であろう。すこしでも売り上げをと考える、今この時期に客からのチップを断る。私がその立場であったらどう対処するであろうか。　彼からの言葉で2つ印象に残っているものがある。ひとつは、「人間納得しないと動けない」もうひとつは「時期がきたらやるっていう時期っていうのは、自分の決めた時だ」このふたつの言葉は迷っていた私の背中をすっと押してくれたようだと今となってきずいた。そうか、私は彼のファンなのだ。今頃気付くとはおかしなものである。グラスのビールを飲み干し、心の中でこうエールを送った。「心配は私の取り越し苦労でした。自分の信じた道を突っ走ってください」と。帰り際、「このくらいさせてくれ」といって差し出してくれたのは、包みにくるまれたワインだった。これからは、このトンネルを通るのが年中行事になるなと思ったとき、ちょうど松本から隣町に入っていた。（１９９９年）タマちゃんのお店のHPです。信州松本のカフェ　オークリヨードヴァン

  2006.03.10

• ビアガーデン　第七話

  これは、１９９２年夏、地方都市のホテル屋上ビアガーデンの思い出を綴っています。　さて、今日はその七回目です。例年どおりの梅雨明けと共にやってきた猛暑のおかげで、７月の予算をクリアーしたわがビアガーデン。でも、憎きバーコードからの、われわれに対する就業締め付けを食い止める条件は、「前年比１５０％」。前半の好調を続けていかなければなりません。このビアガーデン開店当初より、アルバイトを含むスタッフ全員に、毎日行うミーティングで、その日の目標金額、昨日までの売り上げを伝えていました。バーコードは、私のこの行動を「そんなこと、アルバイトにまで言うことはない！」と非難していました。私は、バーコードの言うことは聞きません。全く畑違いの仕事をしてきた素人総支配人など眼中にありません。　みんなに、同じ目標と達成感、問題意識をもってもらえるメリットは、公開することによるデメリットより上回ると信じていました。こうすることにより、みんなの結束が固まったのはいうまでもありません。　そして、とうとう迎えた天王山、お盆の週末。　私は、この土日で３００万円の売り上げを目標に掲げました。一日平均１５０万円というのは、ほとんど無理な数字です。　でも、この数字に限りなく近づける努力を惜しむことは、われわれにはできません。　まず、客席用イスをイベント会社より、１００脚レンタルしました。幅が従来のものより狭い為、これで客席５０席増加しました。また、チケット制のレジを２台用意し、新規客用レジと追加用レジを設け、お客様の流れをスムーズにしました。　そして、ピーク時の、生ビール１．８リットルピッチャーの値段を割引して、生ビールサーバー部隊の作業の効率化を図りました。　私は、満席時に来店する新規お客様の取り逃がしを最小限にとどめる為、屋上のエレベーターから降りてきたお客様を帰さない方策を実行しました。　それは、すぐに紙コップで生ビールを無料で配ることでした。待っているお客様を飽きさせないため楽しいトークとパフォーマンスを心掛けました。なによりアイコンタクトで、大人数のお客様を食い止めました。　結局、土曜の売り上げは、僅かに予算に届きませんでした。でも、われわれビアガーデン部隊は諦めません。　日曜にすべてを賭けました。＜つづく＞

  2006.03.07

• ビアガーデン　素敵なアルバイトたち　2

  今日は１９９２年にこのビアガーデンで出会ったアルバイトの短大生のミキ（仮名）のことを書きたいと思います。ミキは、都内の短大２年生。夏休みを使って帰省し、このビアガーデンにアルバイトにやってきました。　私は、ミキと最初に会った時、なんという気配りのできる娘なんだと驚きました。きっと、このビアガーデンにとって素晴らしい戦力になると直感しました。笑顔の可愛らしい、スマートな女性です。　その直感は当たりました。アルバイトの中でも中心となって働き、「一を聞いて十を知る」どころではなく二十も三十も知ってしまうように感じました。お客様との応対、身のこなし、言葉遣いなど、何年もやっている女性社員よりも堂に入っています。　そんな彼女を、私は、お客様の案内係にしました。なにしろ、一日で仕事を覚えてしまうのですから驚きです。信頼できる彼女は私の大のお気に入りでした。しかし、周りのスタッフたちの中には、その様子を面白く思わない者もいるようでした。「ミキと私ができている」とか根も葉もない噂が流れはじめました。私は、そんな噂に弁解などしません。いいたい奴には言わせておくというのが私の信条です。　でも、女性スタッフの何人かに「ミキちゃんは○○さんが好きみたいです。」と言われた時、なぜか悪い気にはなりませんでした。ミキは、みんなの人気者だったからです。　ある雨の降った帰り道、傘もささずに歩いているミキを見つけました。私は、すぐに車を止め、ミキを呼びとめ、「送っていこうか？」と言って、車に乗せました。ミキは、四駆に乗ったのが初めてらしく「高い目線っていいですね。」と喜んでいました。そして、私のカーステレオから流れる音楽に「私も、これ好きなんですよぉ。」私は、後ろの席にあるタオルで髪を拭くように言いました。すると、「○○さん、お腹すいてません？何か食べにいきましょうよ。」私も、断る理由もないので「ああ。」と答えました。　でも、もう午後１１時近くで、気の利いた店は閉まっています。素敵な女性をしょぼい居酒屋に連れて行くわけにもいかない。ここは、考えどころでした。　そこで私は、とんでもなく汚くて、とんでもなくおいしいラーメン屋に連れていきました。この店は、誰にも教えない秘密の店でした。でも、ミキは不思議と連れてきました。　ミキは、店が気に入ったのか、ラーメンが気に入ったのか、どんぶりをかかえ最後の一滴までスープを飲みました。「ラーメン屋で一緒に食べている男女って深い関係が多いんですって。」と言って笑いました。そんなこと言われたら、鼻から麺が出るではないか・・・・　その後、家まで送りました。ミキの家はとても、大きく立派でした。お父さんがいくつもマンションを経営していると言っていました。　しばらくして、私が、この秋に結婚することを誰かに聞いたようで、「結婚する人はどんな女性ですか？」とか「何年くらい付き合っているのですか？」と聞いてきたことがありました。もちろん、仕事中でしたので、その事には答えませんでした。　本当にミキは、よく働いてくれました。ムシ暑い中、汗びっしょりになりながら、接客していました。　後で聞くと、大学生の彼氏と海に行くのをキャンセルしてまで、このアルバイトに来ていたということです。本当に頭が下がります。ビアガーデン最終日の打ち上げの時、私の隣には、ミキが座りました。お開きも近くなった時、ミキは私に「社食（社員食堂）の食券、○○さんが払い戻してください。これが、私の都内の住所と電話番号です。明日東京に戻りますので・・・」と言ってメモを渡し、席を立ちました。　社食の食券は、総務に行けばすぐに払い戻すとアルバイト全員に言ってあります。それを承知でミキは私に言ったのです。　私は、ミキに食券分のお金と、車の中で聴いた「ボブマリー」のカセットを送りました。そしてこう書き加えました。『ビアガーデンでの２ヶ月どうもありがとう。こちらに戻ってきたら、ぜひお立ち寄りください。そしたら、またあのラーメン食おうぜ』ミキから、返事が来たのは、年が明けた春のことでした。　その手紙には、『ご結婚おめでとうございます』と書いてありました。=========================================================２日にわたって、「素敵なアルバイト」と題して、私が１９９２年の夏のビアガーデンで出逢った「テル」と「ミキ」について、書いてみました。　もう十数年たった今でも、この夏のこと、そしてこの二人を思い出します。　きっと、どこかでふたりとも幸せに暮らしていることでしょう。

  2006.03.05

• ビアガーデン　素敵なアルバイトたち　1

  今日は１９９２年にこのビアガーデンで出会ったアルバイトの１７歳の少年テル（仮名）のことを書きたいと思います。テルと初めて会ったのは面接の時。緊張していたのか、私の問いかけに小さな声で答えるだけでした。身長は１６５センチくらいでしょうか。太い二の腕が印象的でした。履歴書には、「高校中退」と書いてありました。　私は、アルバイトの方、全員に「この夏の楽しい思い出にしよう」と言っていました。テルも小さく頷いて、私の手を力なく握りました。　ビアガーデンの仕事は、料理を出したり、お客さんを席まで案内の他、力仕事もあります。　それは、ビールサーバー係です。何百杯ものビールを注ぎ、ビア樽が終われば、チャンバー（大型冷蔵庫）から樽を走ってもってくる。炭酸ガスがなくなれば、専用工具で交換する。私も、新入社員の時にやりましたが、本当に汗とビールまみれになる大変な仕事です。　私は、テルにこのビールサーバー係をやらせるよう後輩に指示しました。どれだけ、この少年ができるか試したかったのです。　テルは働きました。来る日も来る日も、ビア樽を担ぎ、走り、ビールまみれになりながらも楽しそうにやってくれました。　そんなある日、私はテルに話しかけました。「どうだい。大変だろうサーバー係は?」と言うと「楽しいですよ。毎日。自分が役に立てることがうれしいんです。それに見てください。」というと、スニーカーを脱ぎ、靴下も取って「この足、水虫になっちゃいました。」と、笑いながら言いました。　私は、胸が詰まりました。何時間もビールを注いでいると、靴の中もビールが入ってグジュグジュになります。それを毎日やっているのですから、当然水ぶくれになって足の皮がむけるのです。私も経験があるからわかります。とても痛がゆいのです。　それを、この少年は楽しそうに笑って話してくれたのです。　ちょうど、１ヶ月たったある日、後輩の提案で、ビアガーデンスタッフ全員で、飲み会に行った時、テルはこう話してくれました。　「先生を殴って、高校辞めちゃったんです。それから、いろいろ仕事したんだけど長続きしなくて。大人はオレのこと全然認めてくれなくて・・・・・たまに、仲間と走りにいったり（暴走族だった）騒いだりしてたけど・・・・・ここのバイト２ヶ月だけでしょ。だから、何がなんでも続けようと思ったんです。それにオレ、このビアガーデン好きですよ。」　テルは、飲みなれない酒ですっかり酔っ払っていました。でも、これがテルの本心だったと思います。私が見たところ、本当にテルは頑張っていました。後から入った大学生にも仕事を親切に教えたり、率先して仕事をやり易いように工夫していました。　テルはビアガーデン終了とともに、このホテルを去りました。　私は、テルがこのビアガーデンで感じ取ってくれたこと、そして、教えてくれたことを忘れることはないでしょう。

  2006.03.04

• ビアガーデン　第四話　やぶれたTシャツ

  前回までのあらすじ悪者ハゲ総支配人と戦う、若きホテルマンたち。無理難題をもろともせず、まっすぐに業務に打ち込むビアガーデンメンバーたちの楽しく、時には涙す、そんなヒューマンエッセイ。１９９２年夏の出来事です。さて、今日はその４回目です。ビアガーデンの初日７月１日から２週間ほど経ったある日、私は、隊長に呼び出されました。　「おい、今月もレストランの売り上げが悪く、これで３ヶ月連続だ。そこで、バーコードは、レストランのクローズタイムの１時間をカウントするなと今日の会議で言い出したぜ。（実質的な残業カット）バブルがはねてから、まともに売り上げは下がっていないが、時間の問題だ。婚礼も、今はホテルウエディングが全盛だが、今にもっと質素に個性的な婚礼になるだろう。だから、ここでなんとか就業条件の締め付けを少しでも、遅らせたい。それには、お前のビアガーデンの成績次第なんだ。なんとしてでも、前年比１５０％をクリアーしてくれ。」ビアガーデンは、その日の天候に売り上げが左右されるものです。そのため、例年は、屋上のビアガーデンと２階の宴会場のビアホールを同時開店していました。突然の雷雨でも、すぐに屋上から２階に移動できるからです。　しかし、この場合、どんなにいい天気であっても２つの場所で開店して戦力が分散され、屋上が手薄になることがあります。安全をとるか、一本勝負を取るか・・・・　私は、当日の４時３０分の時点でどちらか一方のみを開店することを決断し実行していこうと思いました。でも、これは、その時点では晴れていて突然雷雨に見舞われたり、その反対に雨が止んで７時くらいに晴れてきたりすることもあります。　そのリスクから、責任を負いたくない前回までの担当者は、なんら取り組んでいませんでした。　でも、私はそういった無難な線で満足する人間ではありません。「戦力集中」「一本勝負」で挑みました。　その結果、梅雨時のこの２週間、なんとか天気の「賭け」に勝って、そこそこの数字を残すことができました。　でも、それは、本来の姿である、屋上のオープンエアーの中で仕事をしたいスタッフたちの苛立ちを誘っていました。そのことを、うすうす感じていた私は、仕事帰りにいつもの居酒屋に後輩を誘いました。　店に入り、お互いの好きなサッカーの話など、差しさわりのない会話をつまみに、軽くビールを飲みました。この、後輩、サッカーで全国高校サッカー選手権に出場したこともある実力派です。熱血漢で、なんでも体当たりという感じです。　先日の、新入社員の歓迎会では、まぁ、ぼっとでしょうけど、会場の店の壁に穴を開けてしまい、スタッフ全員で２０万ほど支払ったこともあります。でも、本当に憎めないヤツです。「おまえ、なんか言いたいことあるだろう。」という私に「別に・・・・」「生ビールのチャンバー（大型冷蔵庫）のウラに、おまえの靴で蹴っ飛ばした跡がいくつもあったぜ。いいたいこと、言ってみろよ。」というと、少し顔つきが変わり「最近、無難な線で行き過ぎじゃないんですか。いつもの○○さんらしくないですよ。もっと、やっちゃいましょうよ。昨日だって、結局雨が降らなかったのに２階でやったし。そういうのはイヤなんですよ。」　私は、隊長から言われたことを話しました。でも、後輩は黙ったままでした。そして、しばらくして「○○さんは、会社側にコビているだけだ。そんなところを見たくない。イヤなんだよぉ。」と涙をこぼしながら私の襟首をつかみました。　私も、そんなこと言われてショックでした。なにしろ、普段私が上司に言っている言葉をこの後輩に言われてしまったからです。　その後、多少のもみ合いがあり、後輩は走って帰ってしまいました。この店では、皿とかグラスをよく割っちゃうけど、ここの大将はいつもなにも言わない太っ腹です。私たち、若い者の良き理解者。でも、今日は、イスの脚が曲がってしまった。弁償せねば・・・・「会社側にコビている・・・・」その言葉がグルグルまわって、その夜は結局一睡もできませんでした。　翌日、私は重い足取りで、会社に向かいました。　屋上に着き驚きました。なんと、もうほとんどセッティングがすんでいるからです。広いホールを見渡すとひとりで誰かテーブルを拭いていました。　それは、後輩でした。私は、後輩のところに向かいました。後輩もわかったようで、テーブルにダスターを置いたと思ったら、キャッシャーのロッカーに入ってしまいました。しばらくすると、何やら、手に持って、私のところに来て「夕べはすみませんでした。○○さんの気持ちも考えず。自分なりに納得しました。今日からまた、頑張ります。」と言い、私にヘインズの３パックＴシャツを渡し、また作業に戻っていきました。「なぁに、気にするな。仕事のことを真剣に思い悩んだ時に、信頼できる先輩に話す時なんか、自然と涙が出ちゃうもんだ。オレだっていつも隊長にそうやってるよ。夕べのもみ合いで、Ｔシャツがボロボロに切れちゃったことなんてなんとも思ってねぇぞ。しかし、お前のパンチは効いたぜ。笑うとアゴが痛いよ。でも、お前も目の周りの青タンが引くまでホールには出さないからな。」その日は、本当に暑い一日でした。そして、初めて売り上げが１００万円の大台を超えた日でもありました。

  2006.03.04

• ビアガーデン　第三話

  このシリーズは、私が十数年前の夏に、地方都市のホテルにおいて「ビアガーデン」に従事していた時のことを書いています。さて、その３回目です。その前に登場人物を紹介しておきます。◆「私」・・・・そのホテルの中堅社員。元気すぎて常に会社側から要注意人物とされている。無理難題を押し付ける悪党総支配人と戦う。良き仲間と一緒にビアガーデン成功なるか？◆「隊長」・・・料飲支配人。会社側の人間において、私の唯一の理解者。ホテルマン歴２５年のたたき上げ支配人。よく私ともプライベートでも遊んでくれる。◆「バーコード」・・・本社よりやってきたハゲ総支配人。数字をこよなく愛し、われわれの就業条件締め付けを企てている許せないハゲ。貴様の就任期間には誰も親身に働かないぞとみんなに思われている。◆「後輩」・・・・私のアイデアをいつもカゲで支えてくれる頼れる相棒。ファニーフェイスでアルバイトの女の子にモテモテ。でも、外見とはうらはらにホテル業務に情熱を燃やす熱血漢。　私は、その日、いつものように１２時出社でしたが、少し早く会社に着いてしまいました。今日は暑くなる夏らしい日だと、天気予報。　ここのところ全く休んでいなかったので少し体調もおもわしくありません。よし、屋上に行って生ビールでも飲むか。（なにしろ、生ビールは売るほどあるので、たまに試飲という名目で昼から飲んでいました。開店の５時にはすっかり抜けるので問題なし。）　私は、ビアガーデンのある屋上へとエレベーターに乗りました。扉が開くと、まぶしい光が私を包み込みました。でも、その光に目が順応してきた瞬間、信じられない光景に出くわすことになります。　なんと、裸の女性がイスに座ったり、寝転んだり。それも１０数名。中には男もいる。しかも日本人ではなく白人です。なんだ。おいおいパンツもはいてないよぉ。なんなんだ、こつらは・・・・大股開きの娘もいるよう。　実は、この団体。日本公演に、この地方都市にやってきた、あの有名な「○ィーン少年少女合唱団」ご一行さまだったのです。数日間このホテルに滞在していました。　それにしても、「少年少女」とはいえ、立派に出るとこは出て全く大人と一緒です。グラビアのヌード写真が私の目の前で、しかも動いています。　あとで聞いたら、この子たちは１３歳くらいなのだそうです。でも、どこから見ても大人です。その一行、私がいるのをわかっているのに、全くはずかしがらず、相変わらずまだ日光浴しています。　そこに、「毎度！」と、生ビール樽を納品に酒屋が登場。「えぇぇ。」私と顔を見合わせました。だって、すごい風景なんですもの・・・その後、私は何語とも思えぬ、自己流の英語で、「もうセッティング時間なのでここから出ていってくれ」と付き添いと思われる唯一の大人に頼み、ご一行様はエレベーターへと消えていきました。なんだったんだろう。そして、これを見たのは私と酒屋氏のみ。　この後、このことはふたりの秘密になりました。ウフフ

  2006.03.02

• ビアガーデン　第二話

  このシリーズは、私が十数年前の夏に、地方都市のホテルにおいて「ビアガーデン」に従事していた時のことを書いています。さて、その２回目です。その前に登場人物を紹介しておきます。◆「私」・・・・そのホテルの中堅社員。元気すぎて常に会社側から要注意人物とされている。無理難題を押し付ける悪党総支配人と戦う。良き仲間と一緒にビアガーデン成功なるか？◆「隊長」・・・料飲支配人。会社側の人間において、私の唯一の理解者。ホテルマン歴２５年のたたき上げ支配人。よく私ともプライベートでも遊んでくれる。◆「バーコード」・・・本社よりやってきたハゲ総支配人。数字をこよなく愛し、われわれの就業条件締め付けを企てている許せないハゲ。貴様の就任期間には誰も親身に働かないぞとみんなに思われている。◆「後輩」・・・・私のアイデアをいつもカゲで支えてくれる頼れる相棒。ファニーフェイスでアルバイトの女の子にモテモテ。でも、外見とはうらはらにホテル業務に情熱を燃やす熱血漢。===================================================好天にも恵まれ、すべり出し好調のわれらがビアガーデン。１１階建てホテル屋上ビアガーデンはドラマがいっぱい。ある風のある日、そのアクシデントは起こりました。　５時開店後の客足をみて、混みだすのはもう少し後と判断し、一階の事務所で今後の段取りを料飲支配人（この人だけは、体制側唯一の理解者）と話込んでいました。　そのときに一本の内線電話が鳴りました。「早く戻ってください。お客様が怒って大変なんです。」　私はすぐに従業員用のエレベーター（もうひとつお客様用エレベーターもある）に飛び乗りました。　屋上のパントリーに着くと、ひとりのアルバイトの女子大生が泣いています。その横にいた後輩が「突然の突風で、そのお客様の隣のテーブルが倒れ、カスターセットが飛び、ジャケットにソースがかかったらしい。そして、その近くにいたこの子に詰め寄ったのだ」と話してくれました。　私は、お客様のところに走りました。　キャッシャーのところで、女性社員に猛然と怒鳴り散らしています。スーツ姿の４０代後半男性会社員３人組です。　私は、駆け寄り「申し訳ございません。私がこちらの責任者です。」というと「このホテルは風速何メートルになったら、ビアガーデンを閉鎖させるとかの基準はないのか」「このホテルはなってない」「何の液体がかかったのか・・・・・・」「態度が気に入らない・・・・」よくもまあ、こんなに文句が言えると思うくらい怒鳴っています。私もクレームには慣れています。というか、クレーム処理が大切な業務のひとつなのです。怒鳴り散らすのは、３人のうち２人。よく観察してみるとひとりだけジャケットの胸のバッチが違う。そうか、接待だ。そして、接待を受けている人にソースがかかったんだ。「よし、これはポーズだ。聴くだけ聴けばおさまる。」そう判断しました。　そして、私は、その怒鳴っているお客様の胸のバッチをまじまじと凝視しました。それは、地元の中堅メーカーのものでした。その私の視線に気づいたのか、そのお客様の語尾が小さくなりました。「ここがチャンスだ」わたしは、相手より大きな声で「申し訳ありません。こちらにクリーニング代を請求いただけないでしょうか。」　その名刺を受け取るやいなや、そのお客様は名刺を破り捨てました。そして「もういい」と吐き棄て「さぁ、行きましょう」と他の二人と共にエレベーターに向かいました。私も後を追いかけ、一緒にエレベーターに乗り込みました。３人は私を完全に無視し続け、１階のロビーへと消えていきました。「さては、バツが悪くなって逃げ出したな。」　よく接待する会社員の中で、小物は、われわれホテルマンに非常に高圧的な態度を取ります。接待相手に「自分はこんなに強いんだぞ」というアピールなのです。ご苦労なことです。　先ほどのお客様も、怒鳴っている間中、右手が震えっぱなしでした。正真正銘の小物です。(今となっては、そのお客様の立場がわかる歳にもなりましたが・・・)　ビアガーデンは、その天候次第で売り上げが左右されます。最も恐いのが、夕立ですけど、この突風も気をつけなければならないと思いました。　その日から、「強風に注意してください」というタテ看板を置きました。よく山に行くと「落石注意」という標識。あれと同じ免責用です。　われわれのビアガーデンはまだ始まったばかりです。

  2006.03.01

• ビアガーデン　第一話

  昨日、昔勤めていたホテルが撤退するというニュースがありました。そこで、昔書いた、このホテルを舞台にした『ビアガーデン』という雑文を掲載してみることにします。ずいぶん季節はずれのタイトルですが、中年オヤジの感傷ということでお許しを!うっとおしいですよね。梅雨の時期は。ムシムシしてて。でも、梅雨明けすれば、ピーカンのあっつい夏本番です。そうなると、待ってました、「ビアガーデン」の季節ですよね。　そこで、今日は「ビアガーデン」の思い出をお話したいと思います。もう、十数年前、地方都市のホテルマンとして働いていた時のこと。そのホテルの慣例で、中堅の社員が、夏場のビアガーデンの責任者として、取り仕切ることになっていました。みんな、事なかれ主義というか、ホテルサービスからいったら低級なサービスと「ビアガーデン」の仕事を見る節があり、真剣に取り組んではいませんでした。　それは、アルバイト指導にも現れていました。毎年のアルバイトのサービスの乱れは部外者の私にも、目に余るものがありました。　私が、仕切る時は、必ずこの「ビアガーデン」をこの地域一番の店にしてやるぞと、静かな闘志を燃やしていました。　そして、とうとう私の番がやってきました。社員のスタッフは私を含め、２期後輩の男性社員、キャッシャーの女性社員、その年の新入社員の４人。それに、大学生、専門学校生のアルバイト２０数名が会社側から送りこまれました。　私は、会社側（体制側）には、かなり評判が悪く俗にいう「天井にらみ型」。でもこういう人間は、下の者に人気があるもので、私もその例外ではありませんでした。　そして、体制側からの要求。前年比１５０パーセント増。　私は、考えました。いかに、お客さまを満足させ、サービスの向上、予算達成ができるかを。いつも、エバリちらしている、ハゲの総支配人に、ひと泡吹かすチャンスでもあったからです。　まず、私は、早速、手あたり次第に、この「ビアガーデン」を改革していきました。毎年センスの悪いアロハを制服にしていることに不満でした。そこで私は、ブルーの半袖のダンガリーシャツにオレンジの蝶ネクタイ、ボトムはベージュのチノパンという「アーリーアメリカンスタイル」の制服に変更させました。　また、キャッシャーにあるナイター専用の大型テレビを撤去。居酒屋じゃないんだから。ここはホテルの「ビアガーデン」なんだからという理由です。　そして、なによりこの「ビアガーデンの主役はアルバイトの方々だ」と宣言し、大事に大事に働いてもらおう、その能力の１２０パーセントを出し切ってもらおう、われわれ社員４人がいくらやっても、この仕事の目標（総支配人にひと泡吹かすことです）は達成できないからです。　それは、面接に来た時から始まっていました。アルバイトの面接に来た学生すべての方にこうお話しました。　「この夏のアルバイトを最高に楽しい思い出にしましょう。」びっくりするのは、学生さんです。「これはこう、これはやっちゃダメ、髪型はこうで・・・・」なんて言われると思ってきてるのに「最高の思い出」なんていわれたら、もう目の色が変わるのがわかりました。　実際、アルバイトの方々に対して、お客様と同等以上に気を使いました。当然、アルバイトの方々は大事にされれば、「お金の問題じゃなく、このビアガーデンを成功させよう」と一丸になりました。　さあ、下準備はできました。　私たちの「ビアガーデン」は、１９９２年７月１日午後５時にオープンしました。

  2006.02.28

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