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emeraldsea

海が見える

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「海が見える」 2008.08.19日記
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随分前のこと『π』という白黒の外国映画を観た。
インディー映画、低予算らしき様が画面から途方もなく伝わってくるミッドナイト・ムーヴィー・・・そんな映画であった。
にも関わらず実に熱のこもった作品のように感じたものだった。
金はない、だけど力は込めた。
そんな風な監督の熱意の結晶なのであろうか?画面の隅々にまで低予算で作られた感は歪めないのに引き込まれてしまう映画のように感じられた。


今でも僕が鮮明に憶えているのはラスト・シーン。
様々な混乱の末に自ら頭部にドリルで穴を開けてしまった主人公の末路。その直後、画面は一転して白昼夢の如き公園を映し出す。
絶命したかのように思われた主人公が、何故かベンチに座りながら、そこで微笑んでいる。
目の前に見知らぬ小さな子供が近づいてくる。
主人公は微笑みながら、その子に向かってこう呟くのだ。
「私は今、幸せだ」



主人公が円周率πが導き出す激しい混沌の末に掴んだものは果たして何だったのだろう。


3.14159265・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

果てしなく続く物語。そして真理。
解き明かすことの出来ない無限大に広がる数学の宇宙。








笑顔は、πで解析できない。

そこに気づいた末の、いや、そこに気づくための激しく緻密な混乱の様相。
物語の主人公が痴呆症の如くに公園でひだまりにつつまれて微笑むラストシーンが、人間の限界と可能性を提示していたように、今は思える。

















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