京都伏見の松本酒造「澤屋まつもと」お家騒動？！　新社長インタビュー

2021年01月08日

カテゴリ：日本酒

2020年12月上旬、某所でお酒を飲んでいた際、SNSで日本酒にかかる激震が走りました。

京都伏見の松本酒造の杜氏松本日出彦さんが蔵元を去るというニュースが流れ、その内容が社長の強制退任に触れられていたため、インパクト大でした。

日を少し置いて特約店である佐野屋さんのコメントが。

その後、12月25日にようやくインタビューという形で、松本酒造の新社長に就任された松本正治さんより、今回の経営判断の背景や、松本酒造の今後についての情報が公開されました。

澤屋まつもと守破離（しゅはり）、私のニックネーム「しゅはり1188 」の語源と同じ銘柄のお酒を醸すこの蔵元については、少し思い入れもありますので、経過を整理してみました。
（中立の立場のつもりでこの記事を書いてます。）

＜経緯＞

12/1
・松本日出彦さんのコメント（facebook）
　https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=1460890740783109&id=100005865908272

12/2　　佐野屋〜日本酒・ワイン通販専門店
・特約店佐野屋さんに送られたFAXと松本庄平さんとの会話　（佐野屋 -JIZAKE.com-）
　https://www.jizake.com/f/20201202

12/25
・新社長松本正治さんのインタビュー　（SAKEーTIMES）
　https://jp.sake-times.com/special/interview/sake_matsumoto_interview

＜澤屋まつもと特約店あてFAX＞

『
澤屋まつもと特約店樣各位

　　　　　　　　　　　　ご案内

拝啓
日頃より格別のご愛顧賜りまして、誠にありがとうございます。

コロナ渦による市場環境の変化等に対応する為、松本酒造株式会社は代表取締役社長及び、杜氏を変更する運びとなりました。澤屋まつもとが産声を上げ、25年述経ち、企画室を創業立案した松本庄平の精神を受け継ぎ、社員一同、力を合わせて澤屋まつもとの信念である究極の食中酒を追求していく所存でございます。

つきましては、松本酒造 230 年の受け継がれた技術を集結させ、今後ともご愛顧頂けるような酒を目指し、皆様に愛される酒造りに励みますので、宜しくお願い申し上げます。

　　　　　　敬具

　　　　板本庄平

　　　　2020.12.2

　　　　松本酒造株式会社
　　　　代表取締役社長
　　　　松本正治
』
（佐野屋さんの公開資料をテキスト化しました）

＜澤屋まつもと人物相関図＞

社長インタビューについて、文章を読んでいると頭の中の整理に手間取りましたので、簡単な人物相関図を書いてみました。

澤屋まつもと人物相関図（しゅはり1188調べ）

※新社長インタビュー、特約店佐野屋さんの記事等をもとに作成

以下、SAKETIMEのインタビューより引用
『─ そもそも、新社長に就任された松本正治さんは、松本酒造とはどういった関係なのでしょうか。

私の祖父が、先々々代（8代目）の社長でその弟が先々代の社長（相談役）でした。
先々々代の長男が会長、次男が先代社長、三男が専務という構成です。
松本酒造は、13年前からこの3名を中心に経営をしていました。
そして私は会長の長男、日出彦さん（前取締役）が先代社長の次男です。
私は、2001年に松本酒造へ入社して、主に関東で営業を担当していました。』

＜感想＞

SNSで騒がれている次の内容は、現社長のインタビュー公開前であったということもあり、情報が少ない時点での拡大解釈かなと思いました。
[SNSでの騒がれた内容]
・酒造りの途中に杜氏が解任されるなんて、信じられない。
・「澤屋まつもと」の味（酒の造り）が変わるから今出荷されているお酒を買わないと。

[社長インタビューより抜粋]
・事実と時系列を整理すると、今年の11月30日に弊社の臨時取締役会があり、その場で、経営を見直すために代替わりをしようという話が出ました。相談役・会長・社長・専務が自ら辞任し、経営を若いメンバーに任せようとほぼ全員が一致して社長を説得したのですが、社長がどうしても辞めたくないと。そこで、全員の決議のもとで解任となりました。
・日出彦さんの処遇については議題にあがっていませんでした。しかし、父が辞めるならと日出彦さん自身も辞める決断をされ、専務らの強い説得にも応じることはありませんでした。
・基本的には「澤屋まつもと」の根本を変えるつもりはありません。根本は変えずに今後、枝葉の部分でさまざまなチャレンジをしていきたいです。

[しゅはり1188の理解、感想]
・新社長は、全くの外部関係者ではなく、会長の長男で長年松本酒造の営業等に携わってきた人物である。
・解任されたのは前社長であり、杜氏ではない。
　解任については臨時取締役会で了承されていた。一族経営であり、外部からの乗っ取りではない。杜氏については慰留したが辞任された。
　（実の父が解任されて、そんな蔵に残りたくないという心情は理解できます。）
・新経営陣は、現段階ですぐに酒造りに大きく干渉する意図はない。（根本は変えるつもりはないとの発言。）
・杜氏は辞任されたが、近代的な酒造りにおいて、単純に一人の経験と勘だけで製造されているわけでないため、昨年に近い手法で酒造りは進められるのではと期待する。

「澤屋まつもと」の醸すお酒の行く末を今後も見守りたいと思います。

澤屋まつもと公式サイト
https://sawayamatsumoto.com

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