長いお別れ
昨日私は仕事のオンライン研修を午後から控えていた。前もって研修資料も読み込み、いつ指名されてもいいようにきちんと準備をする。加えて商品が大量に入荷される日でもあり、早急に売り場変更もしなくてはいけない。忙しいことこの上なかったのだ。昼休みはもう昼食を摂らない。眠くなったら困るから。スマホでメールやLINEをチェックしておくか。軽い気持ちでスマホの画面を見て、その場に凍り付いた。夫からで義父の血中酸素濃度が80%台になり、救急搬送されたという連絡が入っていた。夫はもう実家に車で向かっているとの事。いや、この間会ったばかりで、確かに元気いっぱいとは言えなかったけれど!そんな重篤な状態ではなかったはず。頭の中を研修が~とか、売り場変更が~とか単語が駆け巡りその場にへたり込んでしまいたくなる。先ず夫が様子を見て何かあれば連絡するから、ということでそのまま仕事は続けることにした。でも、正直研修に身が入らない。無理だわ、これ。数時間後夫から「肺炎。急変しなければ1,2週間後に退院」と連絡が来て、やっと仕事に身が入る。指先から血を噴き出しながら売り場変更も片付けてしまう。ともかく一安心とは言えない。施設長さんから「そろそろ看取りの時期なのかもしれないですね」と夫は言われたそう。最初は何で、何で!と反発したが、本当は私にもそれはわかっていた。会いに行くたびに弱っていく義父。反応も鈍く、会話もあまりできなくなってきた。施設の職員さんからは、「眠っている時間が長くなってきました」とも聞いていた。そう、それはそういう事なのだ。突然あの世に逝ってしまった実母。凄絶な闘病の末に旅立った義母。2人とは違う、緩やかに旅立つ準備を義父はしているのかもしれない。もう私もそれを認めなくてはいけない時期にきたのだ。数年前に読んだ中島京子さんの小説のタイトルが、ふと頭の中をよぎる。昨日血を噴き出させた指先をそっと撫でる。いつも人生は思い通りに行かないし、大事な人達ともお別れしなくてはいけない。時間は立ち止まらないね。にほんブログ村