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大好きだった彼と別れたのは、卒業後私が帰郷し遠距離恋愛になったため、彼がなかなか就職できず結婚できるのか悲観したため、そんな理由は後付け・・・。
ほんのわずかの時間でも離れると辛くて淋しくて悲しくて・・・不安が大きく膨らんでもう耐えられなくなって・・・で、両親の勧めでお見合い。
心の中では、
「結婚しないでくれ!」
と彼が結婚を止めてくれるような期待をしていた。
でも彼からは何の連絡もなく、私は見合いの相手と結婚・・・・しそうになって、でもその後、ひと波乱あって、後 長男の今の夫と知り合い結婚・・・(話せば長い話なので省略)
新しい家族、舅、姑、小姑、・・・めまぐるしい新婚生活。
1年後、実家に戻って出産し、その日は父母が外出、生まれたばかりの我が子はすやすやと眠って久しぶりに平和な時が流れていた。
リリリリリ・リ・・・・ 電話のベル!
「はい、もしもし」
「もしもし」
即、彼だとわかった。黙ったまま受話器を握り締める。
いる!今そこに!音はないけど息遣いを感じる。長い長い沈黙。今までのすべてが夢で 今この瞬間 私たちは向き合い見詰め合っている。
抑えに抑えた声で彼は話し始めた。
「幸せですか?僕、結婚しようと思います。君が今幸せかどうか確かめたくて・・・」
「幸せよ・・」
声が上ずったので思わず口を押さえてしまったが、私ははっきりと答えた。
「よかった。」
安堵の声・・。
彼は私のお見合いを聞いてすぐ手紙を出したという。
それは彼の最初で最後のラブレター。受け取っていないラブレター。
私は今初めて知った真実にクラクラした。
でも時計の針は戻せないのだ。
「これで僕も安心して結婚ができるよ。」
「ぅん」
私はウンと相槌をうち続けた。それ以外に何も言えなかった。言ったら泣いてしまいそうだった。
「ふぎゃー!」
わたしは、とっさに受話器を置いてしまった。彼にこの泣き声は聞こえてしまっただろうか。「お幸せに」と言えればよかった。
彼の手紙は父母に握りつぶされていたんだ。
興奮して頭の中が高速回転をしているようだ。
「ふぎゃー」
我に返り、我が子を抱き上げあやしているうちに涙があふれ、止まらなくなった。私は、我が子に涙を吸い取ってもらうかのように胸元にギュッとひきつけ泣き続けた。
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最終更新日
2010年09月30日 12時28分36秒
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「遠くのものはつかめない」
虹をつかむことはできますか。
雲をつかむことはできますか。
近寄ると見えない虹。
雲は近づくと雲ではない。
リンゴ狩りをすると遠くのリンゴが赤く見えます。遠くの木まで行き、採ってみるとなお遠くのりんごが美味しそうです。山岳の花、海中の貝、宝石のように輝いている川底の石も拾い上げてみると、とたんに輝きを失います。
自分の周りの煌めきにはなかなか気づきません。
12月・・・自分の感性を磨きじっくり周りを見てみよう。
「人間は弱い」
父の口癖「人は弱いもんだよ」
「人間は体も弱い。意志も弱い。誘惑に弱い。」
だから、現金を見えるところで数えたりすると、悪事を誘うようなことだと怒られた。
人に優しく、自分に厳しく、清く正しく貧しく生きた人。自分のしたことには責任を取る。逃げない。書いていると息が詰まりそうだ。
「人は弱いものだから、お金や情実で裏切ったりもするさ。でも怨んじゃいけないよ。」
だが、父は自分を裏切った人を許せなかった。死ぬまで交流しなかった。できなかった。
人は弱いものでしょう?なぜ許してやれなかったのだろう。心から「許す」というのはまず、相手が「許し」を請うてきて始まるのかもしれない。私は父を裏切った人が亡くなった時、火葬場で父に会った。父はずっと怒った表情で黙ったままだった。彼女は謝らないまま旅立った。「死」は和解の機会を永遠に奪ったのか。それとも「死」は恨む対象が存在しなくなることで、父の心に氷解をもたらしたのだろうか。
「幻の選択」
もしあの時こうしていたら・・・「自分の人生を振り返った時、ふと考えてしまうんだよなあ。こういうのを『幻の選択』っていうんだよ。」
ベッドに横たわる老人は、自力で食事もできない状態でしたが、わずかに微笑んでいました。彼は自分の夢を捨て、家族のために生きたことを後悔していたわけではありません。愛する者のためなら命を捨てることも躊躇しない男でしたから。
ただ、長い人生の中では何度も岐路に立ち、その中には夢をつかむチャンスもあったのでしょう。
「幻の選択」は、終焉にて彼がみた甘く切ない『夢』なのか。
パラレルワールドがあるのなら、その人生では自分の夢を選択してるのかなあ。いや、彼はどの世界でも、家族とともに歩む。そして最期にちょっと感傷的に自分の『夢』を思い出すが、「わが人生、幸せだった」と微笑むに違いない。
「死」
彼が亡くなった。もう二度と声をきくこともないのだと思うと悲しかったが、その「死」はなんか遠い信じられないものだった。お棺の中の死に顔を見た時、「美しい死に顔で・・・。」というささやき声が聞こえたけど、私は怖かった。
まるで粘土で作られたお面のような顔、「生きている」はずもないが、「生きていた」という感じも残っていない。本人でなく別人、いや別物、「物体」になってしまった。
生きる実感を得るために死に近づく人がいるが、「生きること」は何なのか考えてほしい。いや、教えて欲しい。「生きること」は「苦」ですか?
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