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2010年05月09日
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カテゴリ:緊張した話
子どもの頃キスすると妊娠すると思っていました。その後 ロマンチックノベルで初めてのキスはレモン味とか、甘いとか、甘酸っぱいとか・・・を読みキスが憧れに変わろうとした頃です。中学の保健体育の授業、キスすると性病になると散々教育されたのです。キスへの恐怖が再び頭にしみつきました。
その上、必勝痴漢撃退法として 股間を蹴り上げる。キスされたら、舌を噛み切る。これで絶対男は逃げるって、今思えば 笑ってしまいます。

ところが、笑えない事態が起こりました。
その頃飼っていた雑種犬のサブの散歩には、自宅から1キロほど北の公園に行っておりました。遊具のあるグラウンドの北側は急斜面ですが階段状に石が積んであり高台にはベンチがありました。その見晴らしベンチは私のお気に入りの場所でした。

その日、初夏の新緑の香が風にのってわたるような心地よさ、見晴らしベンチから町をぼうっと見下ろしていました。
「われ、気持ちいいやん。」
急に声をかけてきた男
「キスしよ。」
抵抗できない力で引き寄せられぶちゅー・・
その時、条件反射のように例の教えが実践されてしまいました。
ただ、私の反応が早くて舌でなく彼の唇を歯で奪った形。
男は 飛びのくと口からツルルーとたれた血を手の甲でぬぐいました。
「われ、女を殴りたくないけん・・・」
と言いながらまぶしそうな目で私をじっと見ました。
そしてまた何か言いましたが聞こえません。

私は男の股間から目が離せなくなり
またもや条件反射、こちらから飛び掛かりました。
でもそれは届かず 空を蹴り上げてあっという間に万策つきたのでした。

男はふっと失笑して
「われ、きのう**隊、辞めてきたんや・・・」
というと階段を下りるのではなく
崖を登って 見えなくなりました。

下のグラウンドを見ると とっくに逃げ出したサブが走り回っています。
急いで下りサブを捕まえ水のみ場で懸命に口をすすぎました。
短い怖い白昼夢のような出来事でした。






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最終更新日  2010年09月30日 11時55分04秒
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「遠くのものはつかめない」
虹をつかむことはできますか。
雲をつかむことはできますか。
近寄ると見えない虹。
雲は近づくと雲ではない。
リンゴ狩りをすると遠くのリンゴが赤く見えます。遠くの木まで行き、採ってみるとなお遠くのりんごが美味しそうです。山岳の花、海中の貝、宝石のように輝いている川底の石も拾い上げてみると、とたんに輝きを失います。
自分の周りの煌めきにはなかなか気づきません。
12月・・・自分の感性を磨きじっくり周りを見てみよう。


「人間は弱い」
父の口癖「人は弱いもんだよ」
「人間は体も弱い。意志も弱い。誘惑に弱い。」
だから、現金を見えるところで数えたりすると、悪事を誘うようなことだと怒られた。
人に優しく、自分に厳しく、清く正しく貧しく生きた人。自分のしたことには責任を取る。逃げない。書いていると息が詰まりそうだ。
「人は弱いものだから、お金や情実で裏切ったりもするさ。でも怨んじゃいけないよ。」
だが、父は自分を裏切った人を許せなかった。死ぬまで交流しなかった。できなかった。
人は弱いものでしょう?なぜ許してやれなかったのだろう。心から「許す」というのはまず、相手が「許し」を請うてきて始まるのかもしれない。私は父を裏切った人が亡くなった時、火葬場で父に会った。父はずっと怒った表情で黙ったままだった。彼女は謝らないまま旅立った。「死」は和解の機会を永遠に奪ったのか。それとも「死」は恨む対象が存在しなくなることで、父の心に氷解をもたらしたのだろうか。

「幻の選択」
もしあの時こうしていたら・・・「自分の人生を振り返った時、ふと考えてしまうんだよなあ。こういうのを『幻の選択』っていうんだよ。」
ベッドに横たわる老人は、自力で食事もできない状態でしたが、わずかに微笑んでいました。彼は自分の夢を捨て、家族のために生きたことを後悔していたわけではありません。愛する者のためなら命を捨てることも躊躇しない男でしたから。
ただ、長い人生の中では何度も岐路に立ち、その中には夢をつかむチャンスもあったのでしょう。
「幻の選択」は、終焉にて彼がみた甘く切ない『夢』なのか。
パラレルワールドがあるのなら、その人生では自分の夢を選択してるのかなあ。いや、彼はどの世界でも、家族とともに歩む。そして最期にちょっと感傷的に自分の『夢』を思い出すが、「わが人生、幸せだった」と微笑むに違いない。

「死」
彼が亡くなった。もう二度と声をきくこともないのだと思うと悲しかったが、その「死」はなんか遠い信じられないものだった。お棺の中の死に顔を見た時、「美しい死に顔で・・・。」というささやき声が聞こえたけど、私は怖かった。
まるで粘土で作られたお面のような顔、「生きている」はずもないが、「生きていた」という感じも残っていない。本人でなく別人、いや別物、「物体」になってしまった。
生きる実感を得るために死に近づく人がいるが、「生きること」は何なのか考えてほしい。いや、教えて欲しい。「生きること」は「苦」ですか?


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