野ブタ。をプロデュース1話
木皿泉の脚本には、秘密の合言葉があると思う。普通に生活する上で、誰かと一緒に暮らすことはなかなか大変なことだけど、誰しも一つのこだわりを持てば、それにしがみついて生きることができる。時代は豊かになったけど、悲しみや苦労はつきない世界で、うんしょと腰をあげる。世界へのアキラメが変化する瞬間を、友情は呼び起こしてくれる。世界は変わらないけど、世界の見方は変わっていく。それが木皿さんの世界のとらえ方かもね。1話では修二(亀梨)が信子(堀北)をプロデュースしてあげる説得を試みるけど、簡単に断られてしまう。修二がお気に入りだった防波堤の柳の木が引っこ抜かれた場所で、首をつろうとしていた信子。二人は気持ちが通じ合う前に、モノ(柳)と場所(柳が生えていたところ)を共有した。あの柳の木みたいに引っこ抜かれてしまうのか、信子!(まあ、桐谷がこんなことを言うのですが……)お話なんだから、奇跡の一つぐらいあってもいいんじゃない?魔法だってあれば素敵でしょ。てな感じで視聴者をあっさりと抱え込む木皿さんは奇跡を一つ用意します。【事情をしるキャラクターと視聴者しか、奇跡に見えないんだけどね。矛盾してるけど起こる奇跡は普通のことなんだよね】柳の元気な姿を確認することができた信子はこういうんです!「あたしも大きな木になれるかな」いつも・どこでも・すぐそばであなたと似た境遇の人が頑張っている。過去の人かもしれないけど、俺たち私たちには分かる。何も言わなくても、気持ちがジンジン伝わってくるのが木皿さんのいい所。